DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)に代表されるオメガ3脂肪酸は、細胞膜の流動性を高めることや、炎症抑制作用があることが知られています。

(DHA欠乏が精子の細胞膜構成に及ぼす影響についての論文を過去に紹介しています→こちら

 

また、DHAやEPAを豊富に含む地中海式食生活が受精卵の発育に与える効果についても過去に紹介しました→こちら(この論文はDHA、EPA等を含むサプリメント投与による研究となっています)

 

今回は、オメガ3脂肪酸が妊娠中および出産後の女性と産まれた子供に与える効果や、目標とすべきオメガ3脂肪酸の割合について考察した論文を紹介します。

 

 

 

オメガ3脂肪酸はサケ、サバ、イワシのような魚に多く含まれます。サプリメント(魚、オキアミ、藻類由来)も供給源として利用できます。マグロやカツオのような長寿命の大型魚は、メチル水銀や有機毒素を含む可能性があり、推奨されていません。

いくつかの科学団体は、妊婦がDHAを1日に200mg追加で摂取することを推奨しています。

 

この論文はドイツで執筆されたものですが、ドイツの妊娠女性では、EPAおよびDHAの個々のレベルは3.81%~11.10%でした。

妊婦では、胎盤から胎児へと積極的に脂肪酸が送り込まれるため、妊娠女性のDHAレベルは妊娠が進むと低下します。最適なオメガ3指数を維持し、DHAを不足させないために、妊娠女性のオメガ3指数は約10%に維持されるべきです。

(オメガ3指数:赤血球膜中のEPAとDHAの合計を総赤血球脂肪酸に占める割合で表した指標)

 

現在ドイツでは、妊娠中にオメガ3脂肪酸を補給している女性は11.5%に過ぎません。また、ベジタリアンやビーガンの妊婦は、EPAとDHAの血漿中濃度が低いことが報告されています。必要ならサプリメントを利用するのもよいでしょう。

 

2010年に発表された研究データでは、DHAサプリメントを投与した群では、DHAを含まないカプセルを投与した群と比較して、早産が51%減少し、子供の平均出生体重が68g多く、低出生体重児が少なく、集中治療を必要とした新生児も少なくなりました。

別の研究では、妊娠女性のEPAとDHAのレベルが低いほど、産後うつの可能性が高いことも示されています。妊娠中は胎児にEPAとDHAが送られるため、母親のEPAとDHAの欠乏が起こりやすくなります。EPAとDHAの欠乏は、神経炎症や神経伝達異常を起こす可能性があり、産後うつの危険因子と考えられています。

 

(なお、日本人と韓国人の多くは、魚を食べる量が比較的多いことから、オメガ3指数が8~11%の目標範囲内にあるとのことです)

 

 

 

適切なDHA、EPAの摂取は早産や産後うつのリスクを低下させること等が示されています。普段の食事に魚を取り入れていれば大きな問題はないかと思いますが、不足しがちな場合はサプリメントで補充するのもよいかもしれません。

 

 

参考文献:

Omega-3 Fatty Acids in Pregnancy—The Case for a Target Omega-3 Index

C von Schacky - Nutrients, 2020