AGA治療薬として用いられるフィナステリド及びデュタステリドには副作用として
精液所見に悪影響を与えるという報告は多々あります。
国内で最近の報告ですと、2020年の日本生殖医学会の発表でAGA治療薬服用中止前後の精液検査の比較について発表されています。(1)
以下はその内容です。
休薬期間は最低3ヵ月
以下は4症例の平均です。
精子濃度:41.0×10⁶/ml→101.6×10⁶/ml
精子運動率:28.6%→67.1%
休薬することで精子数、精子運動率が著明に回復しています。
しかし、6ヵ月休薬した1症例で脱毛症が再進行しています。
少し前の論文ですがこの報告よりもデータ数が多い発表をご紹介します。(2)
以下はフィナステリド投与中と中止後の精液分析の比較です。
測定間の平均期間は6.45ヵ月(範囲:2~18ヵ月)
フィナステリド服用中止後の精子数が有意に増加しています。(平均11.6倍)
特に重度の乏精子症例で顕著です。
フィナステリド服薬中止前後で精子の形態、運動性、ホルモン値、精巣容積に有意差は認めません。
参考文献:
(1) 男性型脱毛症治療薬 フィナステリド・デュタステリドによるOAT症候群5症例の検討、塚本ら、第65回日本生殖医学会学術講演会
(2) Finasteride use in the male infertility population: effects on semen and hormone parameters Fertility and Sterility 2013 vol.100 No.6
患者様にはつらい決断ではありますが、不妊治療に取り組む際はAGA治療薬の内服中止を推奨いたします。