ある時、村上春樹が「私には小説のアイデアが天から降ってきて、一度書き始めると言葉が溢れ出して止まらなくなるんです」というようなことをエッセイに書いていました。引用元がわからないんですけど、確かにそんなことを書いていて、実際に彼はプリンストン大学に客員教授としてきていた時も「書きたくてうずうずしている」と授業で言っていたとプリンストン大学の先生が言っていました。
以前にボストンで音楽家の人たちと話した時にも「練習が辛いなんて思ったことがない。音楽が天から降ってきて、それを音にしているだけ。」と言っていました。
芸術家の人は時間も忘れて自分の創作活動に専念できるのでしょうね。私の娘はとにかく書くことが大好きです。でもそれは実社会というか実生活からの逃避のような感じで、誰かと一緒にいても自分の世界にこもりたくて、頭の中には違う世界があって、ただ自分の世界の中で創作活動がしたいんだと思います。
そのせいか、娘は人に作品を見せたがりません。以前は匿名(というかハンドルネーム)でネット小説に投稿したり、ビデオ作品をアップロードしたりしていましたが、最近はそれもあまりしていないようです。そして学校の課題とかにはあまり自分の世界を出しません。かなり「大衆に寄せている」らしいのですが、それでも相当かっとんでいます。
独自の世界を持ち過ぎているので、私や先生のフィードバックを受け入れたがらないし、他人に評価されるのも大嫌いのようです。コンテストなどに応募するのは「ただ見てもらえるから」であって、入賞できなくても批判されるわけではないので自分の好きなようにできるのがいいらしいです。
以前にロサンゼルスのリトルトーキョーをテーマにした英語か日本語のエッセイコンテストがあり、日本語をベースにかなり英語を入れたとても面白い作品を書きました。英語か日本語のどちらかのカテゴリーを選んで出さなくてはいけなかったのですが、敢えて両方に出し、日本語部門で入賞しました。日本語の方で選ばれた理由は、ベースが日本語だったからなのですが、自分のバイリンガルの能力を上手に使っていたと思います。
娘の場合、小説やフィクションを書くのが好きなので、学校で書かされる作文(クリエイティブライティング)はお手のものだと思っていたのですが、いざ『課題』として書くとそれほど筆が進まないようです。小論文だと形式が決まっていて、トピックも決まっているので、語数さえ達成すればそれほどたいへんではないのですが、作文(クリエイティブライティング)の方は創造性が技術を上回ってしまって収集がつかなくなってしまうらしいです。
昨日も明日までの1000語の課題作文をまだ100語くらいしか書いていないので「大丈夫?」と言ったら「頭の中に構想があるから大丈夫」と言って、本当に2時間くらいで書き上げていました。村上春樹のように「小説のアイデアが天から降ってきて、一度書き始めると言葉が溢れ出して止まらない」んでしょうか。根っからの作家気質なのかな。
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