ある日、H専務が面白い記事を持って言った。

「Namizo-、転職すんなよ」



その記事には、サイバーエージェントの事が書かれていた。

と言うより、サイバーエージェントを創業された方達が、

Web上に熱い想い(日記みたいな感じ)を書いていて、

きつそうだけど、すごく楽しそうな起業の風景が浮かぶものだった。

それを全部読んで、正直いいな~と、ただただ思うばかりだった。



H専務いわく、東京にはこんな刺激的なことが沢山起こっている。

でも、今が楽しくないからといって、誰かについていくだけなら今と変わらない。

ベンチャーに入ったって、経験出来る事はココとたいして変わらない。

と、いう感じだったと思う。



確かにそうかも、と思った。



時を同じくして、広島でも同年代の人たちがどんどん起業しはじめた。

自分で起業する人、起業する友人について行く人、会社の役員に抜擢される人、

親の会社を継ぐ人、ベンチャーの重要なポジションに転職する人。。。

会社の一営業マンをやっている自分とは、明らかに違う体験を積み重ねていく人が多くいた。



なぜか、そういった人たちに気に入られ、若手経営者交流会などに参加することもあった。

交わされる会話についていけない。そう感じた。



この頃の景気と言えば、有名企業(証券会社や銀行など)が次々倒産し、

自分が営業していたB-ingという転職情報誌も日に日に薄くなっていき、

訪問する企業では、人材採用の話よりも、リストラ・人事制度改定などの話がほとんどだった。

営業していても盛り上がらないので、毎日どんよりした感じだった。



一方で、ベンチャーブーム。

株価についての話も良く聞いていた。

YAHOOの株価は一時1億円を超えたりとか、光通信、グッドウィルなど、

景気が良さそうなのは、全部東京の会社ばかり。



自分はと言うと、好業績な企業を担当していたので社内の成績は良かったが、

気分は最悪で、そろそろ起業したほうがいいんじゃないか、とか、

いやここまで頑張ったのだから、このままココにいた方が出世出来るんじゃないか、とか。

そんなことばかりを考える毎日。




何のためにココで働いているのか。



自分はどうなりたいのか。




考えて考えて、いくつも自問自答を繰り返した。

その当時受けた研修「7つの習慣」。

ちょっとだけ、清く正しくみたいなマインドに自分を持っていくことは出来たけど、

本質の自分はわからないままだった。




入社4年目。




初の(心の)スランプを経験した年だった。







つづく。。。