EMC電源ラインフィルタの使い方等について、今一つ忘れてならないことがあります。それはEMC電源ラインフィルタを設置することにより、漏洩電流がふえることです。分電盤にある漏電遮断器の動作電流はたいていの場合30mAとなっていて漏洩電流がこの値を超えると回路を切るようになっている(トリップするようになっている)。

 30mA以下ではトリップしないかと言うとそういうわけでもなく、最低不動作電流として15mAをうたっているものが多い。つまり15mA以下では動作しないもののそれを超えるとトリップすることがあるのよと。

 勘の良い方はお気づきのように、前述のフィルタを数多く宅内で使用するとフィルタによる漏洩電流はそれだけ増えることになる。すると漏洩電流が少し増えただけでもトリップしやすくなるやもしれないということ。トリップするのは漏電遮断器なので、その下にぶら下がっているすべての機器の電源が一瞬でなくなるから...。あとは言わずもがなであります。

 漏洩電流 カタログ値の例
 TDK RSMN-2060   漏洩電流(Max.) 1mA [250V,60Hz]
 TDK RSEL-2006W 漏洩電流(Max.) 1mA [250V,60Hz]

 100V回路での使用なら漏洩電流も半分程度になるのでそれぞれ0.5mAくらいかな。似たようなフィルタは最近の電気製品の中にも採用されているものも多いので数が多いとちょっとは心配かなぁ。