ランパードとジェラードがフィットする組み合わせを模索し続けたイングランドと、育成に力を入れコツコツ選手を輩出し続けたドイツ、そう感じた試合だった。

 イングランドはランパードとジェラードを入れた組み合わせを考えているうちに世界のサッカースタイルに取り残されてしまった。守備意識を高く持ち、なおかつ走れないと容易には勝てない。さらに不倫問題、第3CBなど問題を抱えながら大会に入ってしまった。それらが全て出てしまった試合だった。テリーがロングボールの処理を誤り先制点、カウンターから3発と、ランパードのゴールが取り消されたというエクスキューズがあったとはいえ…。

 ドイツは守備意識や走力など戦術の上で若手が伸び伸びプレーし、それを中堅がサポート、さらにベテランが支えるといったようにチーム上手くまとまっていた。メンバー(スタメン)表を見るとバランスがとても良いように思う。やはりドイツキッチリ本番に合わせて来た。

 ベテランを中堅と若手が支えるイングランドに対して、若手を中堅とベテランが支えたドイツ、さらにイングランドは本番までにチームが出来上がらなかった。ランパードの幻のゴールが決まっていたとしても結果が変わっていたかどうか…。まぁあのゴールが決まり、劇的な勝利を上げチームが一つになった可能性も否定できないが…。
 W杯グループステージが終了し、ここからは一発勝負の決勝トーナメントに入る。グループステージを振り返ってみると南米勢は順調、ヨーロッパとアフリカ勢は苦戦、アジア勢は健闘といったところだろうか…。

 その要因はコンディションとボールにあるように思う。ヨーロッパの各リーグは一部を除きリーグ終了後、逆に南米は(詳しく知らないけれど)シーズン中のはず、そういう時期にW杯が行われているはずである。この差による影響は少なく無くリーグを戦い終えた選手を多く抱えたチームのパフォーマンスは低く、苦戦を強いられていた。

 強豪国はコンディション調整に苦戦、負傷者を抱え、とにかく時間が無かった。もちろん強豪国はグループステージの先にある決勝トーナメントを見据えた調整だとも思うが…。逆に中堅以下の国がグループステージの3試合に全てをかけキッチリ調整してきたともいえる…。

 FKからの直接ゴールが韓国と日本の計3本だけだった。またミドルレンジからズドンと決まるゴールが無く、キーパーのキャッチミスや目測を誤るゴールが多いこと、標高差によるボールの軌道の変化も影響して、まだ新しいボールの扱いに選手は慣れていないように思う。

 コンディション調整不足、ボールへの順応、海抜と気温の高低差への対応が強いられている。そこへ内紛などチームの分裂が重なりアップセットが起きたように思う。
 もしも、ディフェンスラインを上げ相手を押し込み自陣ゴールから離れたところにボールを置いて戦うのであれば、1トップの岡崎は守備に走れる走力とヘディングを買われての起用だったのだろうか…。それだったらDFを背負っても苦にしない森本でディフェンスラインを押し込むか、本田を使いゼロトップでディフェンスを掻き回すほうが良いのではないか…。いずれにせよ森本と本田をワントップでテスト出来なかったのは痛い、それぞれ1試合ずつ試しておきたかった…。でもまぁテストどころではなかったから仕方が無いか。

 ただ日本に対して引いて守るのはセオリーだ。そこを逆手に取って戦おうということだと思うが、相手も90分付き合ってくれるとは思えない。ロングボールを放り込んで来るだろうし、日本が先制しようものならものすごい圧力で攻めて来るはず。今まで一度押し込まれるとなかなか押し返せない状態は改善しなければやられてしまう。耐える術、カウンターで相手ゴールを脅かし押し返せなければ勝ち点を奪えない。

 どちらにせよ準備不十分のまま試合に臨まなければならない。


 駄文失礼


 了