看護職員が希望する眠剤の変遷 | kyupinの日記 気が向けば更新

看護職員が希望する眠剤の変遷

看護職員が不眠で希望する眠剤は、僕が研修医時代はハルシオンが1位だった。当時はレンドルミンやマイスリーのない時代で、短期型の睡眠薬はハルシオンしかなかった。ハルシオンは当時は0.25㎎と0.5㎎錠の剤型しかなく、0.25㎎を貰うと割れば2倍に使えるメリットがあった。

 

(ハルシオン=トリアゾラム、レンドルミン=ブロチゾラム、マイスリー=ゾルピデム)

 

当時の看護職員はシフト勤務での不眠が多く、毎日は使わないので一度、貰えばしばらく大丈夫だった。ハルシオンの次に希望が多かったのがデパスである。おそらく、今でも多くデパスが使われるのは、国産で安心感があるとかではなく、この辺りの歴史もあると思う。

 

(デパス=エチゾラム)

 

当時はドラールなどがなかっため、長期型を希望する人は稀だったが僅かにユーロジンの希望者がいた。たぶんユーロジンを希望する人はハルシオンやデパスが合わなかったんだと思う。ユーロジンなんて飲んでると仕事にならないじゃないと思うかもしれないが、慣れると全然問題ないらしい。最近、僕が研修医時代にユーロジン4㎎を飲んでいた女性看護師が、なんと今でもユーロジンを服薬していることがわかった。

 

最近の眠剤は副作用面でアップグレードされているので、「最新バージョンの薬が良いですよ」と言うと、「私はこれが合っているので」と話していた。こんな風なのである。

 

(ドラール=クアゼパム、ユーロジン=エスタゾラム)

 

自分が看護者を診ている範囲では、ロヒプノールやネルボンを希望する人はあまりおらず、服薬を希望した人はむしろ自分の患者さんと言うか、精神病も治療している人たちである。

 

しかし、ロヒプノールやネルボンを飲んでいるからと言って、仕事ができないわけではない。眠剤もやはり相対的なものだ。

 

(ロヒプノール=サイレース=フルニトラゼパム、ネルボン=ニトラゼパム)

 

時代が変わり、現代社会の特に精神科病院では、シフト勤務のために不眠になり眠剤を貰う人より、加齢の影響で不眠になり眠剤を希望する人がずっと増えた。高齢化社会はここでも影響している。

 

加齢の影響で睡眠パターンが変わりどうしても長時間眠れないという人は、マイスリーを希望する人が多く、次いでレンドルミンである。なぜかハルシオンは滅多にいない。ハルシオンは時々飲む頻度によるが、たまに止めた時に多夢になるなど弊害も影響しているのかもしれない。ハルシオンが強すぎるため避けたとかそういう理由ではなく、そもそも医師がハルシオンを勧めないのもありそうである。この記事を書きながら気付いたことは、看護職員は眠剤を2種類服薬している人は全然いないことである。ただし、マイスリーを10㎎服薬している人はいる。

 

ずっと以前から服薬している人はデパスも少数ながらいる。ドラールやアモバンも滅多にいない。他の昔の薬も最近服薬している人にはいない。ベルソムラはもう少しいてもおかしくないが、少なくともうちの看護職員には1名もいない。ベルソムラは筋弛緩などがなく工夫された眠剤であるものの、服用感が今一つ悪いようである。

 

(アモバン=ゾピクロン)

 

評価として、「やたら夢をみて自然な眠りではない」とか、「起きた時、なんだかボケてて仕事がしにくい」などがある。これは他の薬と同じような副作用だが、薬により多寡があるし、その人に合う合わないもあり簡単ではないのである。またベルソムラは先発品なので、3割負担だとかなり高くなるのもある。

 

日本の睡眠薬はほとんどがジェネリックに代わり劇的と言ってよいほど安価である。しかし加齢による不眠の場合、身体的に合うものを探すべきだし、もし睡眠時無呼吸などがあれば、安易に眠剤に頼らず他の方法も試みる方が良いと思う。

 

眠剤の服用感やその副作用的な自然でない感覚はかなり個人差がある。

 

個人的に加齢などの生理的なものから来る不眠は、サプリメント的なもので良いなら、それでも全く問題ないといった考え方をしている。