統合失調症の人の表情の改善(前半) | kyupinの日記 気が向けば更新
2010-03-28 23:06:23

統合失調症の人の表情の改善(前半)

テーマ:プレコックス感
統合失調症の人が緊張病症候群などで初診した時は、凄い表情である(←かなり素人ぽい表現)

しかしその後、治療を進めていくと、その険しさ、硬さが緩んでくる(←これもまた素人っぽい)。

普通、統合失調症の人が重い精神症状で受診した場合、薬なしで治療することはありえないが、稀に薬を使わないで治療するケースもある。

その稀なケースとは、すぐにECTを実施する場合が1つ。

かつては緊張病症候群はECTが奏功するため、薬を使わないで始めることもみられたが、今は特殊なケースでない限り、その方法はとられない。(その人に限ればECTが最もベストな治療法であることが経験的にわかっている時は行なわれることもある)

普通、ECTで急速に寛解させた直後はかなり表情が改善し、来た時とは別人のようである。これはECTは脳内の伝達物質を一気に出させる面があることも関係がありそうである。(ECTはうつ病に効果が高く、幻覚妄想にはそこまで効果的ではない。)

しかし、統合失調症の人はその効果が持続せず、結局は何らかの薬が必要になる人がほとんどである。

その他、薬を使った途端に悪性症候群に移行し、薬を中止して点滴、ダントリウムなどの治療をせざるを得ないケースもある。この場合、この非定型精神病的破綻が治療的であるため、トンネルを抜けると既に寛解状態に至っていることがある。(参考

しかしこの場合も、治癒ではないので、何らかの薬が必要である。

もう随分以前だが、そういう経過で劇的に寛解した後、維持療法に何を使うのか迷ったことがあった。結局、その人はルーラン4㎎とベゲタミンAを併用しそのまま退院した。その後、何年か経つが普通に生活されている。

統合失調症の人の表情の変化は、その疾患の精神症状の推移と関係しているが、何らかの病前からの変化が残遺することが比較的多く、それはプレコックス感などの構成要素になっている。プレコックス感は姿勢とか体型はほとんど問われない。表情のある種の不自然さや表現し難い雰囲気と関係している。

統合失調症の人の表情の改善は普通、非定型抗精神病薬の方が旧来の定型抗精神病薬より優れているが、定型でも高度に寛解すれば、表情の改善はかなりのものになる。結局、陽性症状(幻聴や被害妄想など)が消失しないと表情の改善も難しい。どこか硬さや険しさが残遺してしまうからである。

特に大学病院などで治療後の人で、エビリファイ単剤で寛解している人たちは、表情の改善が今ひとつだったりする。情緒が表情にあまり出ないような感じなのである。これはたぶん2つ原因があると思われる。

1つは無理に単剤処方をしているために、エビリファイの量が多すぎること。もう1つは気分安定化薬の併用などの工夫が足りないことがある。

ある時、エビリファイ24㎎単剤で処方されている人を紹介され治療したことがある。その人は体の動きもぎこちなく、表情も硬く、全然笑うことがなかった。その人は良くはなっているものの、ああ言うのは寛解とは言わない。寛解は陽性症状だけでなく陰性症状も含めるからである。

その人は本を読んでも全然頭に入ってこないなどの思考障害も訴えており、はっきりとした幻覚妄想こそないだけで、陽性症状的な所見も残遺していると言えた。

その人はリボトリールとデパケンRを追加し、徐々にエビリファイを漸減していった。デパケンRを追加するだけで少しだけ情緒が出るようになった。エビリファイを時間をかけて12㎎くらいまで減量した。これだけで、この人は笑顔が出るようになり、診察中の会話も以前に比べ自然になった。その人が数ヵ月後に実家に帰った時、その変化に家族が驚いたと言う。発病後、碌に喋らない人になっていたのに、自然に会話ができるようになったからである。

例えば、ロナセンでも合う人はかなり表情が改善する。ロナセンは幻聴に効果が高いが、やはり非定型抗精神病薬的な薬物なのがわかる。

一般に、エビリファイでここまで良くなっている人にジプレキサやリスパダールを追加するのは危険すぎる。変に賦活して増悪したときに困るからである。治療者からみると、そこまで危険な橋を渡らなくても良い。エビリファイとルーランは似ているところが少しだけあるが、ルーランもこのようにエビリファイで安定している人には併用処方し辛い。

ある時、統合失調症の患者さん本人が「自分は顔が怖いんですよ」と言う人がいた。もう何十年も患っている人だったが、こういう人でも薬物治療がうまくいけば表情は改善する。結局、表情は脳自体を表現していると思う。だから、表情が改善していない人は、疾患自体がコントロールできていないのである。

この人は薬物的な試行錯誤を繰り返し、今は、

アフラックの目

になっている。やはり自然な笑顔が出ないと、統合失調症のような疾患は真に改善したとはいえない。こういう風に改善して初めて、プレコックス感もあまり感じられなくなるのである。


(前半終わり)

参考
統合失調症の人の表情の改善(後半)
プレコックス感
単剤処方は美しいのか?

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