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2011-12-31 19:30:08

濃い色の絵の具、薄い色の絵の具

テーマ:向精神薬
向精神薬を絵の具に例えると、本来、濃い色と薄い色の絵の具があると思う。

濃い色、つまり強い色の絵の具を使って描くと、もちろんケバくなる。

薄い色の絵の具は、抗精神病薬の範囲で考えると、例えばルーラン、エビリファイ、ロナセンのような薬物が相当するが、これらは本質的なパワーがない。ここが薄い色に擬える理由である。

しかし、こういう薬を使いこなせるようになると、服用感のない処方になる。患者さんが、全く服用している感じがしないという。その他、セロクエルもどちらかというと薄い色の絵の具だと思う。

抗精神病薬は普通、幻覚や妄想に対し処方される。時に、薬の量が極端に多くなったり、あるいは多剤になるのは、薬が思うように効果が出ないという理由が大きい。薬が効かないから多量処方になるのである。

薬が効かないのは、入院している場合、服薬は遵守できているので、本人のせいではないし、また看護者のせいでもない。むしろ、疾患性そのもの(個人差)及びその病状のタイミング(病期と言っても良い)が大きい。

つまり、同じ薬でも効く時と効かない時がある。過去ログで、何度か失敗していたのに、何度も同じ繰り返しをしていると、4回目とか5回目に効いたという話が出てくる。

薄い色の絵の具は最初はうまくいかないが、時間が経ち病状が安定して来ると、次第にフィットすることがある。これはあらゆる効果がはっきりしないタイプの薬に言えることである。

これは、昔、失敗した薬が、今、失敗するとは限らないことを言っている。

向精神薬は柔軟に使いこなさないと、硬直した処方になり患者さんへの負担も大きくなる。

きっと・・
向精神薬の再トライの失敗ですら、寛解、治癒に向かう1ページなんだと思う。

参考
赤と黒の壷
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2011-12-29 20:35:33

エンゼルパイを握ったまま寝ていた・・

テーマ:非定型精神病
これは診察時に出てきた言葉。

彼女(非定型精神病)はてんかん性の不機嫌に類似した病態を呈しており、何をしてもなかなか改善しなかった。もちろん最近の気候も多分関係がある(急に寒気が来たこと)。しかし、何かのきっかけでその状態から抜け出せそうであった。

彼女はリーマス、テグレトールは中毒疹の副作用のため服用できず、また3環系抗うつ剤、SSRIも服用できない。また、アナフラニールの点滴もできないのである。

抗うつ剤では、サインバルタとブプロピオンのみ短い間だけは服用できるが、時間が経つと必ず思わしくない経過に至る。サインバルタは希死念慮が出現するし、ブプロピオンは不注意になりボケる。ブプロピオンはADHDの人にも使える薬であるが、人によると、たまに逆の副作用が出ることがある。

ラミクタールはなんとなく不機嫌になることが多いため、使わない方針であった(中毒疹は出ないため判断を保留していた)。トピナはラミクタール比べると悪くはないが、決定的に改善はしない。過食傾向は改善するので服用している時期もあったが、やがて中止してしまった。リリカは過食が出るといい本人が望まないので処方しないことにしていた。

彼女にとってデパケンRとセロクエルが重要であることがわかってきた。この2剤は彼女には過食も体重増加もない。デパケンR800~1000mg使っているが、セロクエルは200mgまでに留めている。他はベンゾジアゼピン系眠剤(もちろんロヒプノール)と便秘薬くらいなので、滅茶苦茶な処方ではなかった。

天候もあろうが、よくわからない理由で病状が悪化した。最初、アパシー傾向になり、やがててんかん性の不機嫌状態のような病態に至った。意識は清明である。ここで、ラミクタールを12.5mg追加したのが、最大の失敗。

ラミクタールは思わしくないのはわかっていたのに・・

最悪の不機嫌状態に至り、打つ手がないので、エビリファイ液とセロクエルを服用するように言う。

エビリファイ液は1日24cc、セロクエルは最大700mgである。

本人には、セロクエルは上限まで飲んでもかまわないが、エビリファイは多く飲んでもそこまで良くなるとは思えない上、彼女の睡眠を悪化させるケースもあるため、最高3本まで(6ccなので18cc)に抑えるように伝える。

このように簡単に書いているが、相手は最高レベルの不機嫌状態なので、現場は修羅場である(←言いすぎ)。

これだけ服薬してもびくともしない。少し改善したように思われるが、大きな変化もなく、ぐったり寝込んだりもないので、いかに病状と釣り合っていたかがわかる(過去ログでは向精神薬は相対的なものという記事が出てくる)。そこで、

ここはヤケクソで、ジプレキサを追加してみましょう。

これはそれなりに根拠があり、かつてジプレキサを服薬して良かったことがあったからである。ただ、過食になったので、その後、本人が拒絶し服用しなかっただけである。

このジプレキサの追加は受け入れられたのである。彼女は、あのような不機嫌状態でも、僕の指示に従っていると最終的に良くなるのがわかっているのである。たぶん。

今回のタイトルは、ジプレキサ服薬の際の事件である。彼女によるとある日の夜、セロクエルを800mg服用しジプレキサザイディス5mgを追加した後、眠りこけながらいくつかパンかお菓子を食べた。(彼女の言葉)。

そのまま眠っていたが、ぱっと目を醒ますと、

エンゼルパイを手に握ったまま寝ていた。

という。これには2人で大笑い。エンゼルパイってまだあるんか?(ガキの頃1つ20円だった。あのお菓子は森永の傑作)彼女は、

あれはダメです!(もちろんジプレキサのこと)

と言い放った。過食が出るからである。彼女の話をよく聴いてみると、それでも3日連続で服用したらしい。その3日目の出来事だったようである。

この「エンゼルパイを手に握って寝ていた」日をもって、あの超絶レベルの不機嫌状態が全快した。不思議なことに体重もむしろ減っているという。

きっと、あの大笑いが良かったんだと思う。

(終わり)

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2011-12-27 20:45:10

トピナと過食の改善、情緒の安定について

テーマ:トピナ
今回のエントリは「105kgから62kgまで減量した人」の続きになる。また「トピナの用量をどのように決めるか」のエントリとも少し関係がある。なお「105kgから62kgまで減量した人」はトピナではなく「広汎性発達障害、アスペルガー症候群」のテーマにいれている。

あの105kgから62kgまで減量できた女性患者さんは、その後全く来院しなくなった。仕事はしているのを職員は見ており、だいたいの様子はわかっていた。どこのエントリか忘れてしまったが、彼女の場合、一般的に言う寛解や治癒とは異なるのではないかと記載している。それは服薬を止めると、再発する確率が非常に高いと思われるからである。

1年半ほど経ち、彼女は再診した。その時の体重がなんと85kgを超えていたのである。

彼女は肥満しやすい家系らしく、過食をトピナで抑えているだけで本質的にはさほど摂食障害が改善しているとは思えなかった。薬を止めた後、再び過食に悩むようになったらしい。

再診の際に内服薬を希望したためトピナを処方したところ、不思議なことが起こった。通院しなくなる直前のトピナの処方量が100mg(50mg2錠)だったので、そのまま処方している。ところが、彼女の話では、

服用した夕方、食事をしていると、左手が痺れ始めた。その数時間後から、顔も痺れてきたと言う。心配になり薬を止めたところ次第に消失。しかし、あれほどあった異常食欲が収まっている。

トピナ100mgであっという間に過食はなくなったらしい。過去ログを読むとわかるが、彼女は薬に弱い体質である。だから1年半も薬を止めていたのなら、少ない量で再開すべきだった。トピナは効いてはいるので、完全に中断せず、12.5mgから再開することにした。

これで、副作用がほとんどなく服薬できるようになった。徐々に増量し、100mgまで増やしたところ、最初に100mg服用した時の痺れ感は全く生じなかったらしい。

しかし・・
トピナ100mgでは過食の抑制は今ひとつなのである。それは少量から漸増したことも関係している。(仕方がないが・・)

しかし、本人の話では、むなしい気持ちやうつにはかなり効いていると言う。彼女はリボトリールを併用しているが、少量であるし飲まないこともあるようで、実質的にトピナのみの薬理作用なのは間違いない。

彼女は再び少しずつ体重が減り始めたが、劇的に減ってはいない。おそらく62kgになることは難しいのでないかと思った。

それでも、彼女は通院を続けることにしたようである(今のところだが・・)。

参考
105kgから62kgまで減量した人
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2011-12-26 20:45:58

アメブロの退会トラブル

テーマ:日記
日曜日のお昼頃、アメブロの自分のマイページを開こうとしたところ、既に自分が退会していることが判明。いったい、何のこっちゃ?と思った。

ログインのためパスワードを入れるが、何者かにより退会させられているためログインできない。しかし、自分のブログは普通に閲覧できるので、読者の人は僕が退会させられていることに気付かなかったのではないかと思う。

アメブロスタッフのお知らせによると、不正アクセスのために、かなりの読者が退会になるトラブルが発生しているらしい。復旧まで待つようにというコメントがあった。日経ネットを見ると、

ネット広告大手のサイバーエージェントは25日、コミュニティーサイト「アメーバ」が第三者からの不正アクセスを受け、一部会員が退会状態になって利用できなくなるトラブルが起きたと発表した。個人情報の漏洩や不正利用はないという。同社によると、約2千万人いる会員のうち、サービスが利用できなくなったのは約5万人。

といった記事も出ている。なんと、アメブロの会員は2000万人もいるのである。信じられない数字。日本は赤ちゃんから老人まで入れても1億ちょっとしかないのに・・

また、退会のトラブルに見舞われた5万人も大変な数である。その5万分の1に入ってしまったのである。(2000分の5と言うべきか。)

アメブロは無料会員と有料会員がおり、自分の場合、いろいろな制約があるので無料会員にならざるを得ない。

有料会員になると自分にとって、最もメリットがあるのはアメブロメールが2ヶ月で消去されないこと。これは非常に大きい。今のところごく一部の保存したメール以外は2ヶ月経つと全て消えてしまう。

またブログ周囲の宣伝が消去できるのもよろしい。自分の最新の記事の下に、妙な宣伝サイトが載るのは気分が良くない。このブログは無料会員だから、あのような変な宣伝も付いてしまうのである。

アメブロはずっとセキュリティが甘いと思っていたので、有料会員になると、万一ハッカーが侵入した場合、個人情報が漏れてしまう危険性がある。そのため、匿名を保てる無料会員のまま続けるしかないのである。

今回は、アクセスできなくなったのは相当に驚いたが、過去ログを消去されたりしなかったのは良かった。実は、ほとんどの過去ログは下書きなしで一発で書いているので、下書きのワード文書など残っていない。

しかし、何らかのアメブロの大トラブルの際に消えてしまうこともありえるので、過去ログをIE8のウエブの状態で保存している。しかし、個々の記事単位では保存していないので、復旧してもコメント欄は消えてしまう。

僕のアメブロは1ページに5つの記事があるが、1ページごと5つ分の保存をしているわけである。半年に1回ね。以前は10くらい?の記事を1ページに載せていたが、読者の方から、アクセスが集中した時に重いと言う意見があり、今は5つにしている。

このブログの過去ログには膨大の数の記事があり、どのようなことを書いているのか覚えていないものも多い(過去ログを探して見ると驚くほど。こんな記事を書いているみたいな・・)。もう一度同じ記事を書けといわれても多分書けない。相当に酔っ払って書いてるのもあるし(笑)

今回のトラブルで、7月以降全く保存していなかったので、急いでシャガールの記事までを保存した。保存する手間は5つずつだとたいしたことはない。

ちょっと思ったのは、今回のトラブルは新聞に載るほどの大事件だったので、サイバーエージェントも復旧にお金と時間をかけてくれたが、もし5万人ではなく5人くらいの被害者だったら、単に「パスワードの管理が悪い」で済まされてしまった可能性もある。無料会員であるだけに。だいたい、無料会員なので、復旧が後回しにされないか心配していたほどである。

アメブロは、いったん自分のブログのマイページに入ると、クッキー?のせいと思うが、IDやパスワードを入れなくても自動的に入れる。たぶん数週間は大丈夫である。これだけ手間のかからないブログも少ないと思う。

海外旅行の際、JTBの無料インターネットサービスで自分のサイトを検索し、マイページをクリックしたら、全く知らない女性のマイページが開いた。メールがいくつか来ており、またコメントもついていたようである。アメブロの別のユーザーが、そのコンピュータを使い、マイページに入ったままログアウトしなかったためである。(僕がログアウトしておいた)。

同じミスを自分がしないようにしないといけない。やはり少し不便でも、デフォルトで時間が経ったら自動ログアウトになる方が良いと思う。セキュリティを考えると。

しかし・・
今回は、いかなる方法で5万人も一度に退会させたのか不明だが、そのようなスキルがあるのなら、もう少し有用で人々のためになることに使ってほしい。

とにかく、無事復旧したのは良かった。




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2011-12-24 16:30:49

マルク・シャガールと10時10分

テーマ:音楽

マルク・シャガールのスライドショー。音楽は前半2曲(Brightest、Coffee)はアメリカのロックバンド、コープランドによる。コープランドはロックの中でも、エモ、クリスチャン・ロック、アンビエントなどのジャンルに属する。2000年頃に結成され2010年に解散。

マルク・シャガールはロシア(現ベラルーシ)出身の20世紀を代表する画家。彼は1887年、ベラルーシのユダヤ人家庭で生まれ1985年に亡くなっている。あの時代に生きた人としては長命で作品も多い。その作風から「色彩の詩人」と呼ばれている。

彼の作品の中で、度々振り子時計が出てくる。しかもその振り子時計は、ほとんどの場合、午前10時10分を指している。

普通、子供に振り子時計を描かせると、自然に10時10分の絵を描きそうである。あるいは午後3時くらいか?

だから、あのシャガールの10時10分は、図柄のバランスが良いだけで、あまり意味がないのではないかと思っていた時期もある。シャガールが最初に振り子時計を描いたのは、1909年(1910年?)の「安息日(サバト)」という作品と思われる。上の映像では、4分28秒目に出てくる暗い印象の絵なので参照してほしい。

この安息日では良く見ると10時10分というより、10時5分くらいに見える。後に出てくる絵ではほとんどと言って良いほど10時10分である。たまに11時10分と言って良い絵や、長針も短針も描かれていない空白の文字盤の絵もある。

この安息日では、当時のベラルーシの彼の家庭の居間が描かれている。目立つのは、石油ランプや蝋燭、吊りランプ全てに明かりが灯されていること。この居間は綺麗に片付けられているし、安息日のお祭りの準備ができていた様子が描かれている。

上のスライドショーには出て来ないが、1914年の「時計」という画面いっぱいに描かれた振り子時計の作品がある。この振り子時計は、彼の両親が大切にしていたものだったようである。この「時計」の絵では、巨大に描かれた振り子時計の向かって左下の隅に小さく、窓に向かって頬杖をつく男性の絵が添えられている。これは「憂鬱(メランコリー)」を象徴する図像であるという。また1949年の「青い翼の振り子時計」の作品も強烈である。この作品でもちょうど10時10分を示している。

どうも西洋的には、時計そのものに「うつろいゆくもの」や「存在の危うさ」を象徴するイメージがあるらしい(ヴァニタス)。東洋的には「無常」といったところか?


シャガールの絵では、しばらくの潜伏期を経てこれらの振り子時計や安息日で出てきた吊りランプが度々出てくるようになる。その時計の指し示す時間が、例え逆さまだったとしても、10時10分なのである。

上のスライドショーでは、8分11秒目に出てくる1943年の「軽業師」という作品では時計は逆さまなのに10時10分になっている(正確には10時8分くらいに見える)その他、スライドショーの9分21秒にも絵画の上のほうに10時10分を指し示す振り子時計が小さく描かれている。

シャガールの絵では、パズルの一片のようにある一定の「絵のマーク」の繰り返しが見られる。それは、時計、ランプ、梯子、雄鶏、魚、山羊などである。彼にとって、これはある種の象形文字であり、文字と絵画の中間的な意味を持つのかもしれない。

あの10時10分には意味があることが、何かの書物を読んでいたときに知った。あの10時10分はユダヤ教の主要教派の多くが聖典としているタルムードに由来するという。

午前9時は、アダムとイヴが神に禁断の実を取って食べることを禁じられた時刻である。そして午前10時は禁断の実を食べてしまった時刻(原罪)。午前11時は裁きを受けた時刻、更に12時は楽園を追放される時刻である。

つまり、10時10分は原罪を犯した直後の、まさに空中遊泳の時間なのである。罪を犯して裁きをまだ受けていない非常に不安定で不安感の強い時間ではあるが、今なら何でも許される時間でもある。

これは自分に擬えても、その時の落ち着かない気持ちが想像できる。1930年くらいから、あの振り子時計が多く描かれ始めたのは、その時代のヨーロッパの世相も関係していたのであろう。

参考
Ave Maria(Hayley Westenra)
クリスマスカード



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