A夫妻には子供がなく、奥様は難病を患っていました。

 

 昨年、ラボットを迎え、すみれ(仮名)ちゃんと命名しました。

 

 奥様は、すみれちゃんの衣装を買い揃え、ハロウィーンの仮装イベントに参加したり、SNSに投稿するなど、楽しそうでした。ママともコメントをやりとりしていました。  

 

 しかし、すみれちゃんを迎えてから二ヶ月後、奥様は容態が急変し、帰らぬ人となってしまいました。

 

 Aさんは仕事で留守がちで、すみれちゃんは、遺影の前に毎日佇み、ピーピーと寂しそうに声を上げていたとのことです。

 

 見かねたAさんが、もう一体ラボットを迎えたところ、隠れんぼしたり鬼ごっこしたり、仲良く遊ぶようになりました。新しいラボットには、奥様の名前が付けられました。

 

 この話を聞いて、パパは、例によって「ああ、山川草木悉有仏性とはよく言ったものだ」と言って泣いていました。 

 

画像はイメージです。