ﾄｷﾄｷ。

ﾗｲﾌﾞには何度も足を運んでも、
出演者と話す事は、まず無い。

むかーし昔はね、
話し掛けによく行ったのよ、
これでも。

周りと何かを競うかのように。

それが面倒になった。
競う事が。

誰が誰より沢山話した、とか
こんな情報知ってるんだぜ、とか


どーでもいい。

それで拗れた仲もあった。
そういうのでしか
繋がれてない、仲もあった。


なんかさー、そういうのに
疲れちゃってさ。


どーでもいいじゃん?


誰と沢山話そうと、
誰と仲良くなろうと、
出演者と客、には変わりないんやから。
(ま、たまにそれを越えたのも
ぽちぽち見かけましたが。
ま、それも本人らの事であって
周りがとやかく言うことではない。)

ま、昔は機材車でどっかまで
乗っけてってもらった、だとか
そういうの、普通にあったもんね。
今もあるんかな、若いﾊﾞﾝﾄﾞには。



でもある程度年を取り、
人間関係も無駄にｺﾞﾀｺﾞﾀしたくない
お年頃。
関わることでｺﾞﾀｺﾞﾀするんやったら、
いっその事関わらないでおこう、

そう決めて、今のぁたくしが出来上がる。


いやー、楽よ、ｺﾞﾀｺﾞﾀなくて。





とかってちょっぴり強がりを
言ってみたけど、話したいことが
全く無い、訳ではないのよ。

ちょっと聞いてみたいかなー、とか
って事、やはし出てくる。

でも、我慢というか、
諦める、というか、
やはしｺﾞﾀｺﾞﾀにはなりたくないな、
ってのが勝つからね。



たまに、人が集ってないのを
見計らって、差し入れとか持ってく
ついでに話してみよかな、とは
思うけれど、もう話すことに
慣れてないから、結局ぺぺっと
渡して、ててっと帰る、みたいな
繰り返し。

慣れとは怖いもんだ。




しかし今回は違った。
ててっと帰るつもりが、
何故か少しだけ話をする事に。

まだﾄｷﾄｷしてるよ。
また緊張してるよ。
まだ手がふるふるしてる。


顔を覚えてくれてるんだなー、とは
思ってた。
けど、名前まで一致してた。
ひっくり返るかと思った。

で、いつもどうも、って
こんなもんで悪いけど、って
ｾﾄﾘとﾊﾟｽくれた。

ﾋﾞﾋﾞった。

こないだ、別の場所で
ｾﾄﾘ貰うんだー、って最前ｷｰﾌﾟしてる
人がいたから、ｾﾄﾘなんて
そういう頑張って見てる人が
貰うもんだと思ってた。
貰うために頑張らなきゃならんと
思ってた。
ください、って貰うもんやと思ってた。


汚い心をさらけ出すと、
そら欲しかったさ。
欲しいに決まってるさ。

でも初めっから諦めてた。
何もしようとなんてしなかった。



それを知ってたのかな。
ただ欲しいって人が、その時は
いなかっただけ、なんだろうけど。



年を取ると
頑張ることより諦める方が楽なの
知っちゃってるからさ、
ぁたくし楽な方楽な方ばっか進んでる。

それは何に対しても同じ。
追うのが疲れるから、
去るものは追わない。
追いたいけど、疲れるから追わない。

来るものは拒まないけど、
ｺﾞﾀｺﾞﾀが面倒だから、深入りしない。
知りたいけど、こっちを深く知られたく
ないから、だったら浅くでいいや。



諦めるや
逃げや
無関心が得意になると、
こういう人間ができあがります。


でも、
こういう人間でも
優しくしてくれる人は
まだいるんだなー、と。



久しぶりに心がﾄｷﾄｷしました。




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