声ってのは自分の外に向かうもの。内に向かう声なんてものはない。そりゃそうだって感じだけど。

その、外へ向かおうとする声を邪魔するのが、鼻腔周りや顎周りや喉周り等々(もっとあるかな?)の筋肉。ああ。表情筋とかもかな。それらが力んで硬くなる事で、声を増幅してくれる共鳴空に蓋をして、音声を身体の外に出しづらくする。
また胸やお腹の筋肉も力んで硬くなると、これは発声をする事自体に支障が出る。

それが解って出来るようになるなら世話はない。
「力まないで」と言われても力んでしまう。だから「脱力して」と言われる。脱力したらしたで発声なんて出来ず、呻き声が出るのがせいぜい。そしたら「もっと身体を使って」と言われる。そして「力まないで」。15年間そのループ。へへ。

…パニック!

今なら「力まない」「脱力する」「身体を使う」等のアドバイスは、とても的確だなぁと思う。どうやらそれらのアドバイスは1つ1つを聞いてはダメだったようで。

「しっかりと身体を使えば発声気管周辺が脱力出来るから力まずに済むよ」

という文章で聞かなきゃいけなかった。


【身体を使うとは】
先ず身体を使うとは何かって事なんだけど。
身体は筋肉を収縮させる事で力を発揮して動いているらしい。筋肉を収縮させないと、指の1本だって動かない。

つまり、身体を使うというのは筋肉を収縮させる事。

【身体を使った脱力とは】
例えば手をパーにしようとする時。パーにするための筋肉(以降、パー筋と呼ぶ)は当然収縮していく。
手をグーにしようとする筋肉(以降、グー筋と呼ぶ)は当然収縮していない。

つまり。

手をパーにしようとする時、グー筋は脱力している!!何てったってグー筋使ってないからね!!

いや、当然やんて。
いや当然なんだけども。

俺はこれが、発声においては中々出来なかった。原因は上記したように、アドバイスの1つ1つをつなげて考えられなかった事。
「身体を使う事」「脱力する事」に加えて、「発声をする事」も別に捉えていたように思う。


「力んで歌う歌手になる!」ってグレて、力むつもりで思い切り声を出した時。たまたま意識がパー筋のみに向いていて。そしたらスコンと楽に声が出た。

昔言われた事があった。
「出来て仕舞えばなんて事無いものだよ」って。

確かにストレスがなさ過ぎて何て事ない感じだった。
でもそれ以降は中々その声が出ない。何て事ないなんてとんでもない。コンスタントにその声を出せるようになるため、また練習と研究の日々に戻っただけ。

慣れてないから、
パー筋を使おうとしてもグー筋も癖で動いてしまって⇒力む。
パー筋を収縮させ過ぎて脳のリミッターがかかり、生理的にグー筋も収縮⇒力む。
もう1回グレてみる⇒力む。
まぁ結局⇒力む。
の繰り返し。


まぁ意識するところが解ったおかげで前よりは少し、練習の仕方がよくなった。かな。