スペイン首相が辞任の可能性示唆、妻の汚職疑惑巡り裁判所調査開始

                  2024年4月25日   ロイター 

[マドリード 24日 ロイター] - スペインのサンチェス首相が24日、辞任する可能性を示唆した。

 サンチェス氏の妻の汚職疑惑を巡り、裁判所が この日 予備的な調査を開始すると表明。 その後

   同氏は 今後1週間 全ての公務を取りやめると述べ、来週29日に進退に関する決断を明らかにする

 と説明した。

  同氏は X(旧ツイッター)に投稿した書簡に 「 私は立ち止まって考えなければならない。

   現時点では 正直に言って、政府を率い続けるのか、それともこの名誉(ある首相という地位)を

   放棄するべきか分からない 」と記した。

      また 同氏は、妻は 調査に協力するし、無実を主張していくと説明。 汚職疑惑が広まった背景

   には 野党の動きがあったのではないか との見方も示した。

      一方、野党国民党のフェイホー党首は、サンチェス氏は 裁判所の行動を野党のせいにしよう

   としているが、自身や妻に恐れるものが何もないなら法廷で堂々と疑惑を晴らすべきだと反論した。

 

 

スペイン混迷、首相が「辞任検討」 妻の利益誘導疑惑で捜査始まる 

                                                 2024/4/28           毎日新聞

    スペイン政界が混迷の度を深めている。スペイン紙エルパイスなどによると、

サンチェス首相は 24日、利益誘導疑惑などで 自身の妻に対する捜査が始まったことを受け、

辞任を検討していると表明した。 29日にも 結論を出すという。

 スペインでは 昨年7月の総選挙で 左右両陣営とも過半数を取れず、穏健左派・社会労働党を率いる

サンチェス氏が 小政党の支持を得て かろうじて政権を樹立した経緯がある。仮に サンチェス氏が

辞任した場合、議会での新首相選出は 難航が予想され、依然として 不安定な政治状況が続くと

みられる。

 

   新首相が決まらない場合、サンチェス氏が 解散総選挙に打って出る可能性も指摘されている。

このほか、辞任せずに 自身の「信任投票」に持ち込むシナリオも取り沙汰されている。

 

 疑惑が持たれているのは、サンチェス氏の妻のベゴニャ・ゴメス氏。司法当局は 詳細を明らかに

していないが、報道によると、ゴメス氏は 首相夫人の立場を利用し、公的機関から自身のビジネスに

便宜を図ってもらった利益誘導などの疑いがあるという。サンチェス氏と敵対する極右系団体

ゴメス氏を告発し、スペインの裁判所が 24日に予備的な捜査の開始を発表した。

 

   サンチェス氏は X(ツイッター)で、「 妻は無実 」と主張し、告発は極右による政治的攻撃だと

訴えた。一方で、この状況で「 首相続投に価値があるのか 」とも述べ、辞任を検討していることも

明らかにした。

 

 スペインでは 昨年7月の総選挙で どの陣営も過半数に届かず、まず 第1党となった中道右派・

国民党のフェイホー党首が 政権樹立を試みたが、失敗に終わった。その後、第2党の社会労働党が

北東部カタルーニャ自治州の独立を訴える小政党などの支持を積み上げ、過半数を確保。

サンチェス氏が 同11月に 第3次内閣を発足させた。

  だが 独立派と連携したサンチェス氏に対し、右派陣営は「 国家を分裂させる動きだ 」と批判を

強め、国内各地では首相退陣を求めるデモが頻発している。

一方、サンチェス氏を支持する左派系勢力も 27日、首都マドリードで 首相続投を求めるデモを

実施した。【ロンドン篠田航一】