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1640年11月23日 寛永加賀大聖寺地震 M6.5
1725年 6月17日 享保加賀小松地震 M6.0
1729年 8月 1日 享保能登地震 M6.6
1815年 3月 1日 文化加賀小松地震 M6.3
1858年 4月 9日 飛越地震 M7.3 富山・岐阜県境
12月11日 能登半島西岸 M6.3
1896年 4月 2日 石川県北岸 M5.7
2020年 3月13日 石川県能登地方 M5.5
2022年 6月19日 石川県能登地方を震源とする地震 M5.4
(正式名称は令和6年能登半島地震)
2023年12月1日 東京新聞 TOKYO Web
◆政府が 科学を都合よく使っている。伝えねば
報道機関の受賞で 単独の記者が選ばれるのは 44年ぶり。本紙の受賞は3度目。
「30年以内に70〜80%という南海トラフ地震の発生確率が、水増しされた数字であり、
予算獲得などのために 科学がゆがめられている実態を、丹念な取材で明らかにした 」と評価された。
小沢記者は あいさつで、取材の端緒を得た5年前を「 政府が 科学を自分たちに都合がいいように
使っていると分かり、報道しなければと思った 」と振り返り「 これからも目を光らせ、民主主義社会
に役立つ取材をしたい 」と述べた。
選考顧問の阿川佐和子さんは「 個人で、1人で ひたすら問題を追いかけた。専門家という言葉、
政府の発表に、私たちが惑わされやすいことに 大いなる警鐘を鳴らしている 」と評した。
他の受賞者は、作家の東野圭吾さん(65)、歌舞伎俳優で人間国宝の片岡仁左衛門さん(79)、
アニメ「ドラゴンボール」主人公の孫悟空などを演じる声優の野沢雅子さん(87)、
野球日本代表「侍ジャパン」で監督を務めた栗山英樹さん(62)。
南海トラフ地震 静岡県の駿河湾から九州沖にかけてのフィリピン海 プレート とユーラシア プレート
が接する溝状の「トラフ」で起きるとされる巨大地震。 政府の地震調査委員会は 30年以内の
発生確率を 70〜80%としている。また 政府の中央防災会議は 1000年に一度か、それより頻度の
低い最大想定クラスの地震が起きた場合、死者約32万人、経済被害は220兆円に上ると予測している。
◇ ◇
第71回菊池寛賞を受けた小沢慧一記者の書籍「南海トラフ地震の真実」は、発生確率の「水増し」
という事実を、サスペンス映画さながらに調査報道で次々と明らかにした。見どころや著作に込めた
思いを、筆者が紹介する。(小沢慧一)
◆議事録では 地震学者が慎重論を唱えていた
ウォーターゲート事件を追うワシントン・ポスト紙の記者を描いた映画「大統領の陰謀」。
作中では 謎の人物「ディープ・スロート」が重要な情報を記者に伝え、それをヒントに取材が進む。
名古屋大の鷺谷威教授への取材は、私には 映画と重なって思えた。教授は こう告げる。
「 南海トラフ地震の確率だけ『えこひいき』されている 」と。
「 本当なら大変だ 」。政府の会議の議事録を開示請求して確かめると、南海トラフの確率だけが
特別な計算式「時間予測モデル」で算出されていた。このモデルには 科学的な問題があるとして、
地震学者らが会議で、確率計算に使わないことを提言していた。他の地域と同じ計算式では、確率が
20%に落ちることも判明した。
◆行政側委員は「 まずお金を取らないと 」
確率低下が 予算獲得に影響するとみた行政側の委員は「 まずお金を取らないと動かない。こんな
(確率を下げる)ことを言われたら 根底から覆る 」と猛反対。今の確率が発表された。
本書では 議事録と関係者20人以上への取材から、それぞれの思惑が交錯し、緊迫する会議を再現
している。
時間予測モデルの信ぴょう性については、東京電機大の橋本学特任教授らと調査した。
地震学者らの言うモデルの問題点を、明確に指摘した論文はない。「 完全に間違っている 」とも
言い切れなかった。
◆古文書を調べると「確率の根拠は破綻」
古文書を調べると、港では 当時、数千人を動員し、海底を掘り下げる工事を施した可能性が
浮上した。この発見で、確率の計算に使われたデータは 地震による変化の記録ではない恐れが強まり、
確率の根拠は破綻している という結論を導き出した。発見のヒントは 偶然、港で見かけた観光案内板。
本書では、なぜ 案内板から結論に至ったのかも詳しく描いた。
◆メディア不信をぬぐいたい 取材の内幕を記事に
ドラマ調で書いたのは、記者が 一つの事実を世に出す上で、どのようなチェックをしているか
関心を持ってもらいたかったからだ。フェイクニュースが問題視される背景には、既存メディアへの
不信感がある。あまり表に出ない取材の内幕を明かすことが、既存メディアへの理解の一助になれば
と願った。
・・・・
2024年3月8日 FNNプライムオンライン
南海トラフ地震の「 30年以内に70~80% 」とされる発生確率の算出方法について、
非公表の資料で「科学的事実に反するおそれ」が指摘されていることが、8日の国会審議で
取り上げられた。
政府の「地震調査研究推進本部」の2013年の会議について、非公表の議事録を入手した
日本維新の会・猪瀬議員が、参院予算委員会で質問した。
猪瀬氏は、地震学者らが「 科学的事実に反するおそれ 」を指摘した「時間予測モデル」で
算出された確率のみが公開され、低い数値が出る「単純平均モデル」での確率が伏せられた
として問題視。
「 南海トラフの発生確率が水増しされていなければいいが、“発生80%”という数字が
一人歩きして、いろいろな政策をゆがめてきたのではないか 」などと政府の見解をただした。
これに対し、盛山文科相は、会議での議論により、低い確率についても「 評価の詳細を記述
する本文に記載することになった 」として、「 科学的事実がゆがめられて公表されたとの指摘
は当たらない 」と答弁。
また、防災政策への影響について、岸田首相は、「 データだけに基づいて予算が配分されては
いない 」などと述べ、否定した。