(株)ボナック | TSR速報 | 倒産・注目企業情報 | 東京商工リサーチ

                                     2024/02/15

 

~核酸に特化した医薬スタートアップ企業~

 (株)ボナック(久留米市)は 2月9日、福岡地裁久留米支部に破産を申請した。
 申請代理人は 宮原三郎弁護士(弁護士法人みらい法律事務所、福岡市中央区警固1‐12‐11)。
 負債総額は 約15億円。

 遺伝情報に直接働きかける核酸に関する研究開発に特化した医薬スタートアップ

2012年4月には 核酸医薬に関するプラットフォーム技術の基本特許を 国内で初めて成立させ、

核酸合成製造委託(試薬~原薬)や 核酸系合成技術 コンサルティング、核酸 フォーム 関連特許ライセンス事業

等を手掛けていた。


 住友化学(株)(東京都中央区)からの資本提携を受け、ライセンス契約を締結して 同社治験薬

に用いる核酸原薬を製造していたほか、東レ(株)(東京都中央区)とは 突発性肺線維症を対象

とした  BNC―1021/TRK―250に関するライセンス契約 および 資本提携を、旭化成(株)

(千代田区)や(株)ニチレイフーズ(東京都中央区)とは 製剤化に関する共同研究を行ってきた。

 

    

日本経済団体連合会
第10代 奥田 碩 (トヨタ自動車会長)
2002年5月28日~2006年5月24日
那須 翔 (東京電力相談役)
2002年5月28日~2002年9月9日
森下 洋一 (松下電器産業会長)
2003年5月27日~2006年5月24日
第11代 御手洗 冨士夫 (キヤノン会長)
2006年5月24日~2010年5月27日
西室 泰三 (東芝相談役)
2006年5月24日~2008年5月28日
米倉 弘昌 (住友化学社長)
2008年5月28日~2010年5月27日
第12代 米倉 弘昌 (住友化学会長)
2010年5月27日~2014年6月3日
渡 文明 (JXホールディングス相談役)
2010年5月27日~2014年6月3日
第13代 榊原 定征 (東レ会長)
2014年6月3日~2018年5月31日
岩沙 弘道 (三井不動産会長)
2014年6月3日~2018年5月31日
第14代 中西 宏明 (日立製作所会長)
2018年5月31日~2021年6月1日
古賀 信行 (野村ホールディングス会長)
2018年5月31日~2022年6月1日
第15代 十倉 雅和 (住友化学会長)
2021年6月1日~
冨田 哲郎 (東日本旅客鉄道会長)
2022年6月1日~


 2012年7月には 特許成立に伴う営業強化から 東京支店を開設し、

 2013年2月には バイオ研究の強化から「沖縄バイオ研究所」を設置。

さらに、

 2019年4月には 管理面の強化から 福岡支店を開設するなど 積極的に展開していた。

この間、

   2015年10月に 核酸医薬に関するプラットフォーム技術の基本特許が日米欧すべてで成立し、

 2018年12月期には 売上高約5億7100万円をあげていた。


こうしたなか、

 2020年12月に 福岡県および久留米市の協力のもと 福岡県保健環境研究所と共同で

着手してきた「新型 コロナウイルス 」感染症治療薬「ボナック核酸を用いたCovid‐19治療薬」の開発が、

国立研究開発法人日本医療研究開発機構(千代田区)が実施する「医療研究開発革新基盤創成事業

第5回公募」に採択され、2021年4月、同機構との委託研究開発契約の締結に至った。

これにより開発費として50億円の支援を受けると発表し、2025年度の承認申請を目指していた。


 しかし、治療薬の有効性が確認できず 目立った成果がないなか、

2022年には 創薬開発の中心を担っていた人物が役員を退任するなど、短期間で経営陣が大きく変化。

2022年12月期は 売上高が約200万円に落ち込んだうえ、約10億7800万円の大幅赤字となった。

 

 相次ぐ増資で穴埋めしてきたものの、同期時点で 約8900万円の債務超過に陥り、

2023年12月末には 久留米市の研究施設内に置く本社を退去。

    その後の動向が注目されていたところ、今回の措置となった。