【経済ニュースの核心】
2023/07/15 日刊ゲンダイ
小林佳樹 金融ジャーナリスト
ドラマ「半沢直樹」さながらの 銀行トップの不正が 金融界の話題となっている。
日本カストディ銀行は、昨年12月に退任した元取締役について、社内調査で不正があったと
6月9日に公表した。リリースでは 名前は伏せられているが、この元取締役とは 前社長の
田中嘉一氏であることが明らかになっている。
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同銀行は、三井住友トラストHD、みずほFG、りそな銀行などが出資する 資産管理信託銀行で、
生保や運用会社などの機関投資家が運用する有価証券の決済や保管・データ管理等を担当しており、
その預かり資産は 652兆円にも及ぶ。 生保などを介しているものの、実質的には国民の資産である。
事態を重くみた金融庁は 銀行法24条に基づいて報告徴求命令を出した。不正の詳細や原因分析、
再発防止策、経営管理態勢などについて、8月末を期限に報告するよう求めている。
田中氏は 昨年12月末に任期満了で退任したが、その直後の今年1月に 同社は 不正事案を検知、
すぐさま外部弁護士を中心とする調査委員会を設置し、調査を行ってきた。その結果、
「 外部委託業務に関連して、元取締役による利益相反や任務違背などの不正行為が認められた 」
と公表とした。
関係者によると、「 すでに木目田裕弁護士(西村あさひ法律事務所)を委員長とする調査委員会は
約50ページにわたる報告書をまとめている 」という。その中身は、まさにドラマ「半沢直樹」を
彷彿とさせる内容だという。 「 業務を 外部委託する際に、田中氏の知り合いのコンサル会社を
間に入れることで、中抜きしようとしたとみられています。だが、不正は未遂に終わったようです 」
(関係者) また、「 報告書には 透かしが入り、外部に流出した場合、誰から漏れたか分かる
ようになっており、外部への流出をチェックする委員会も設置されている 」(関係者)という
念の入れようだ。
田中氏は、「 不正は行っていない 」と反論しており、調査委員会の聴取には応じず、資料の提出
も拒んでいる。だが、日本カストディ銀行は 田中氏について、「 法律上の対応を適切に講じていく
方針であり、刑事上の扱いにつきましても、現在、捜査機関に相談を実施している 」として、
刑事訴追も視野に入れている。 まさに 身から出たサビと言わざるを得ない。
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GPIF、1-3月期は運用収益10兆2788億円-5四半期ぶり黒字
7月7日 Bloomberg
日本カストディ銀に金融庁が報告命令、 前社長の不正行為で-関係者 - Bloomberg
6月30日
日本カストディ銀行
統合前の沿革については、
日本トラスティ・サービス信託銀行、資産管理サービス信託銀行、JTCホールディングスを参照
2018年(平30)10月1日 - 日本トラスティ・サービス信託銀行と 資産管理サービス信託銀行
との共同株式移転により JTCホールディングス株式会社設立。
2020年(令2)7月27日 - 日本トラスティ・サービス信託銀行が
資産管理サービス信託銀行とJTCホールディングスを吸収合併し、日本カストディ銀行に
商号を変更して発足。
2022年(令4)7月7日 - 2023年2月20日より
岡山市北区のNTTクレド岡山ビルに 人事や総務等本社機能の一部を移転することを発表。
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2023.2.20 ダイヤモンド・オンライン