平均年金28万円だったが…65歳・高齢夫婦がもらえる「本当の受取額」

                                       幻冬舎  GGO編集部   2022.7.31

 生きている限り、払拭されることのない「老後不安」。生活を支える年金は いくらもらえるのか、

さまざまな統計から平均値が出ていますが、そこには 思わぬ落とし穴が……みていきましょう。

 

平均年金受取額14万円 … 共働き夫婦であれば 月28万円もらえる計算

   あなたのご家庭では、老後の暮らし (高齢者は 今後の暮らし)について、経済面で どのようになる

とお考えですか。

 

   金融広報中央委員会『 家計の金融行動に関する世論調査 [二人以上世帯調査](令和3年) 』で

老後不安について尋ねたところ、全体で 77%が 「 心配 (多少心配である、非常に心配である

の合計) 」と回答。 年齢別に 20代〜50代の現役世代では どれも 8割以上が老後不安を口に

しています。一方で 60代では 70.1%、70代で 62.4%と、実際に高齢者になれば、「 こんなものか 」

と心配しなくなる人も 多くなっていきます。それでも高齢者の 6~7割が「老後(今の生活)が心配」

というのですから、老後不安は いつまでも尽きないもの、という諦めが必要なのかもしれません。

 

  そんな老後生活のベースになるのが、多くの人の場合、やはり 公的年金。  自営業であれば

国民年金(老齢基礎年金)会社員や公務員であれば国民年金に加えて 厚生年金(老齢

厚生年金)が受け取れます。

 

  実際の年金額は、それぞれ 以下の計算で算出されます。

 

    ■国民年金                                           

                        780,900円 (平成16年度額)×改定率×保険料納付月数/480月

                                          480月=40年

  ■厚生年金(報酬比例部分)

            平均標準報酬額※ × 5.481/1000×被保険者の月数

                 ※過去の標準報酬に 再評価率を乗じて 現在価値に置き換える

 

  厚生労働省『令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、自営業など国民年金の

平均受取額は 月額 5万6,358円。 一方、厚生年金(第1号)の受取額は月額 14万6,145円でした。

厚生年金について さらに男女別にみてみると、男性は 17万0,391円、女性は 10万9,205円。

 

    つまり 自営業の場合、夫婦でもらえる年金額は 月々 11万円程度、 片働き夫婦の場合は、

合わせて 20万円程度、夫婦共働きであれば、合わせて 28万円程度となる計算です。

 

   これだけの年金が手にできるとして、先ほどの老後不安は 払拭できるでしょうか? 

ライフスタイルにもよりますが、心から安心できる金額ではないかもしれません。

 

 共働き夫婦の生活費「月22.5万円」だが…

夫婦共働きであれば 月々28万円。総務省『家計調査』(2021年)によると、ともに 無職の65歳以上

夫婦の1ヵ月の消費支出は 22万4,436円。月々 5万円程度あまる計算です。

 

―― 共働きなら、1ヵ月に 28万円……老後は 余裕だな

 

  そう思ったなら、少々残念な話をひとつ。この 28万円。あくまでも給与でいうところの額面。

給与明細を見て 「 こんなに天引きされているんだ!」と ビックリしたことがあるでしょう。

   公的年金のうち、障害年金と遺族年金は 非課税。 老齢年金は 雑所得となり、課税の対象と

なります。課税の対象となるのは、65歳未満であれば 108万円以上65歳以上であれば 158万円

以上。 以下の式で計算されます。

 

      所得税 = (年金額-社会保険料控除など各種控除)

                                  ×5.105%(所得税率5%×復興特別所得税1.021)

                                                                   ※1円未満は切り捨て

 

   国民年金だけを受給している場合は、課税されません。 日本の平均的なサラリーマンであれば、

実際は 天引きされた年金額を受け取ることになるでしょう。

 

  ちなみに 公的年金等の受給額の合計額が 400万円以下、かつ、公的年金等に係る雑所得以外

の所得金額が20万円以下、という 2つの条件を満たせば、確定申告は不要です。どちらか一方を

超える場合は、年金受給者であっても 確定申告が必要になります。

 

    前出の家計調査によると、消費支出 22万4,436円に加え、実は 所得税や住民税、健康保険料等

の非消費支出が月々 3万0,664円かかっています。合計で 25.5万円ほどになる計算で、共働き夫婦

の黒字額は 月々2.5万円程度と、先ほどの半分になってしまいました。

 

   意外にも 年金に税金がかかる事実を知らない人は多く、初給与をもらったときのように「 えっ、

なんか年金が少ない!」と驚く人もいるのだとか。 年金だけが頼りとなる高齢者にとっては、数千円

でも惜しいもの。老後のマネープランが狂わないよう、本当の年金額は どれくらいになるのか、把握

しておきたいものです。