雄阿寒岳 | 独り言ちの山暦

独り言ちの山暦

「風の又三郎、又三郎、早く此さ飛んで来!」「この頂で赤道から北極までの大循環の自慢話を聴かせてくれ。」

 

      2022。8.30。

      一昨日は北海道マラソンが3年ぶりに開催された。

      この日に向けて鍛錬していた人が多くいた。

      そのなかの一人。

      なんとか30kまでは走って5時間以内にゴールしたい、そんなプランだった。

      往年の青春時代は3時間そこそこで走っていたそうだ。

       出掛けの早朝にネットで結果検索。

       見事ではないか!

       芸術的ともいえる4時間59分11秒で完走していた。

       喝采と叫んだ!

     それにもう一人。

     それは身近な人物で「還暦」を迎えたSUGAさん。懸命に走った。

     こちらは5時間06分59秒で完走。

     見事である。多忙の中、フルマラソンを走るだけで驚嘆ものだ。

     そんな強靭な体力とスタミナをどう今後、活かしていくのだろう。

     他人事ながら気になるところだ。期待だけはしておこう。

      そうしてまた一人。

      楽しみしていた師匠。なんと直前の故障でDNS。

      その雄姿を見たかった、そして完走した自慢話を嫌という程に訊きたかった。

      本人が一番に残念だろう、来年があるさ。それは慰めになるだろうか。

      マラソンに参加する体力もない我々はと言えばである。

      夜逃げするがごとく早朝の2時に、こそこそと山に向かった。

     思い返せば2009以来の阿寒湖畔にある雄阿寒岳である。

       旭川からは約230km。

       遠い。車の運転も楽ではなくなった。

      5時過ぎには登山口に到着した。

      既に千葉県、埼玉県ナンバーの2台が停まっていた。

      考えて見ると今日は平日だ。

      地元の人ではなく休日を取得して「百名山」を目指す本州の登山客だろう。

      13年ぶりであるが登山道に覚えはない。

      こんな感じだった?と呟きながら。

      この山を初登山するKAWAさんからは高ぶる気持ちが伝わってくる。

      とのかく頑張るのだ。その辛抱強さ、挫けない信念には感服させられる。

      1合目、2合目と登っていくが、やはり4合目から5合目が辛かった。

     5合目に着くと「ここまで来たら8割がたクリア」との看板。

      山の合目の決め方はバラバラらしいが、5合目で8割方クリアの設定は

      少し趣向が過ぎる感じがした。

      詮ないことだろうが、努力に見合った報酬が欲しいのが人間の性だろう。

      5合目で8割がそうであるのか?

      前回、登ったさいは最初から最後まで深いガスの中であった。

      今日は見える。

      阿寒湖、そこを航行する観光船。

 

       雌阿寒岳も姿を見せてくれた。

       6合目からは頂上がもうすぐだ。

       マラソンでいえば38kmを超えたところであろうか。

      こんな風景には実に癒されるものだ。

      文句なしに、出来の良い風景は我々の感覚を爽やかにするものだ。

       8合目。

      旧陸軍気象観測所の跡も残っている。

 

      頂上が指呼の間に捉えられた。

      もうこの標識はいらない。

      これは謬見でしかない、そう決めた。

       13年ぶりの頂上である。

     眼下にはガスが立ち上っているが視界を遮るほどではない。

      パンケトーだ。

      そしてペンケトー。

       ペンケトーの背後のに一瞬だが屈斜路湖もみることができた。

     頂上では茨城県からの青年と一緒になった。

     トムラウシ山、十勝岳、旭岳を巡ってきたそうだ。これから斜里岳、羅臼岳

     へと単車で足を伸ばすそうだ。

     北海道の山巡り。

     どうか思いの丈を存分に果たして欲しい願う。

     袖振り合うも他生の縁ではないか、ましてや登山での出会いである。その

     願いは本物で深いものだ。

     下山に踏み出して考えた。

     考えて見れば頂上は折り返し地点だ。マラソンで言えば21km地点で

     あった。あと21.195kmあったのだ。何ともかんとも、である。

     完走を目指そうと、北海道マラソンを走った仲間の顔を思い出した。