フランスのMOFをとったチーズ熟成士、エルべ・モンスさんがシンガポールにやってきました!
美しい夜景を望むことのできるモダンオーストラリア料理レストラン、Stellar at 1-Altitudeで、ドン・ペリニョンとコラボした特別なプライベートルーム、The Plenitude Suiteができるに当たって、その公開前の体験会も兼ねた、An Evening with Herve Mons and Dom Perignon The Plenitude Suite Previewが行われました。
まずは、チーズについて詳しく知る、マスタークラス。
Dom Perignonの2009年のシャンパンと合わせます。とても温かい年で、骨太でリッチな味わいになった、との説明が。柑橘のようなすっきりした香りの後から、豊かなナッツの味わいが追いかけてきます。
私が初めてMonsさんのチーズに出会ったのは、20年近く前のこと、銀座のフランス料理の店で、特別なチーズがあると言われて出していただき、その味わいと、ふんわりとした食感にすっかり引きつけられました。
良いチーズを作るのは、良いミルク、という考えのもと、130の契約農場に足を運び、実際に牛やヤギがどのように育てられているかを定期的に見て回っているのだとか。
Stellar at 1-Altitude のChris シェフも、熟成庫などを訪問して、その味を確かめました。
そして、驚いたのは、チーズ作りにおいて、食べるものがミルクの味に与える影響よりも、周りの環境によるものが大きいのだとか。
チーズに大切なのは、熟成させる際の常在菌の環境。そこで、チーズを洗う際には、20年ものの同じ種類の古いチーズをスターターがわりにまず洗い、そのあとに若いチーズを洗って、同じ菌が保てるようにし、味が保てるようにしているのだとか。
また、熟成の場所にどんな菌がいるのかも重要。そのため、チーズ熟成用の洞窟を作り、チーズの種類によって熟成する洞窟を使い分けているのだとか。熟成の際に、チーズを置く板も、香りの強すぎない木材を使うなどの配慮も。
チーズ作りのレンネットは、牛のミルクが材料のものには子牛、ヤギのミルクが材料のものには子ヤギのものを使うなどのこだわりも。
また、アフリカでもチーズ作りの技術指導をしているそうですが、チーズはその土地の風土を表すもの、との思いから、スターター用にフランスのチーズを持ち込むことはせず、地元のものを使い、フランス式に地元のテクニックを合わせた作り方をしているそう。
テイスティングでは、夏は山羊のチーズが美味しい時期、ということで、ロワール地方の灰をまぶした山羊乳のチーズを。
熟成期間を変えた、同じ生産者のものを。
5週はしっかりとした青草の香り、
7週はテクスチャがクリーミーになり、コクが出てきます。
9週は濃厚なコク、テクスチャはややドライになりました。
個人的には味わいの深さとテクスチャのバランスの良い、7週のものが一番好みでした。
そして、コンテチーズ。
8、17、30ヶ月と期間が違うものを。
コンテを熟成する際は、個体差を見分けるのも重要だそうで、クリーミーな個体は長く熟成できないので、先に出荷して、あとに残しているそう。
8ヶ月は、コンテ独自の濃厚さはありつつ、やや軽やかな印象。
17ヶ月は、しっかりとコクとナッティさが、30ヶ月になると、旨味の結晶が大きく、味わい深いものに。
こういった長期熟成のチーズは、冬に取れたミルクで作られるのだそう。冬は干し草を食べているので、野の草を食べている夏場より、ミルク自体の品質が安定している、というのがその理由。
最後に、オリジナルのチーズの箱に入った、チーズプラッター。
・栗の葉に包んだチーズは、マシュマロのようにふわっとした食感。質の高いミルクがこの食感を作るそうです。
・タイムを食べて育った羊のミルクで、タイムのエッセンシャルオイルを入れて、ほのかにタイムの香りがするチーズに仕上げてあります。
・パンチェッタの脂のような、パン酵母のようなナッティな香りのチーズ。美味しいカンパーニュのパンと食べたくなる味わいです。
・5月から10月に作られるという、夏ならではのチーズ、エティバ。新鮮な牧草を食べて育った牛のミルクの味わいを楽しみます。ほんの少しスモーキーな香りと、醤油のように濃厚な旨味があったのが印象的でした。
そして、今回新しく、東南アジア初のDom Perignon Room ができたと言うことで、そのお披露目として、Monsさんや他のメディアの皆さんと共に、食事と共に農場への旅を楽しむというコンセプトの、「Virtual trip to farm」を楽しみました。
まずは、Chrisシェフが去年訪れたMonsさんのチーズの熟成室の様子が上映され、その後に実際にMonsチーズを使った料理が提供されるという趣向。
アミューズは、人参のピュレを乾燥させたチップと、米粉のせんべいのようなものに、ポルチーニ茸と梅のパウダーをまぶしたもの。
トマトをかたどったカマンベールチーズに、ローストしたパプリカパウダーをまぶして。
ペアリングは、
Dom Pérignon P1 Vintage 2009
続いては、フレッシュなブリアサヴァランのチーズに、セブルーガキャビアを乗せ、ごく薄いホワイトチョコレートで挟んだもの。
炭のパン、そしてオリーブオイルとバルサミコ酢を詰め込んだカカオバターの球体。
割ったものを、パンにつけていただきます。
続いて、照明が暗くなり、魚が泳ぐ海の中が投影されます。四季の中の「夏」をイメージしたセッティング、涼しげなブルーに変わったテーブルの上には、こちらではレーザークラムと呼ばれるマテ貝、生のものにサフランのクリームとマンダリンオレンジのアイオリソースを添えたものと、「クラムチャウダー」のように仕上げたスープとともに。
タイムの香りのチーズで作ったゼリーを飾り結びのように結んで。パプリカのソース、そら豆、黒オリーブ、サフランフォームで地中海風の仕上がりに。
続いては、コンテチーズを焦がしたチップスと、同じく焦がしたコンテチーズのエスプーマを添えて。そこに、透明なヨーグルトのスープ、フラックスシードをまわしかけて。
ウニ入りの茶碗蒸しに、乾燥させたイベリコハムのチップ、そしてキャビアを乗せて。今回使っているのは、以前もこのMeet the farmerのイベントでやってきた、フランスのキャビアブランド、SturiaのVintage。
ここからは、ナッツ、トースト、ミネラルの香り豊かな、Dom Perignon P2 Vintage 2000に。
ローストしたパイ生地の上にキャラメリゼしたシャロットのジャム、フレッシュなゴートチーズを添えて。
こちらも、以前生産農家の方を招いたMeet the Farmerイベントを行った、オーストラリアの田島和牛のリブアイを、ジョスパーオーブンで焼き上げたもの。
トリュフを削りかけ、キャラメリゼした玉ねぎとセルリアックのピュレを添えて。
ペアリングは、Dom Perignon P1 Rose 2005。
デザートは、Jasiminシェフによるインスタレーション形式のもの。
シンガポールならではのバタフライピーフラワー、ラベンダー、ドッグフェンネルなどを使ったフローラルな香りのハーブを加えた、バイオレットアイスクリームとレモンタイムヨーグルトに、日本の紅茶で味をつけたチョコレートの土を添えて。冬から春に移り変わる季節感を表現しました。
このデザートを一口食べてからP2を飲むと、キャラメルプリンのような味わいになったのがとても印象的でした。
最後はもちろん、Monsさんのチーズで締めくくり。
そして、その後にサプライズが!
全員が目隠しをした後、それを取ると、
思いがけない演出に、一同盛り上がります!
なんとこんな幻想的な風景が。
ピアノの生演奏が入るロマンティックな雰囲気はまさに特別な夜にふさわしいのでは?
今回のスペシャルゲスト、Monsさんと共に、季節を感じるエンターテイメント性を高めた新しいコンセプトの個室The Plenitude Suiteを楽しみました!
<DATA>
■An Evening with Herve Mons and Dom Perignon The Plenitude Suite Preview
日時:2018年6月14日 19:00〜(終了)
■Stellar at 1-Altitude(ステラ・アット・ワン・アルティチュード)
営業時間:ランチ 11:30~13:45(平日のみ)、ディナー 17:30~21:30、(いずれもL.O.)無休
住所:1 Raffles Place, Level 62, Singapore, 048616
電話:+65 6438 0410
アクセス:MRTラッフルズプレイス駅徒歩1分