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前回ご紹介した、ミシュラン二つ星のDennisシェフのコラボレーションディナーに行ってきました!
オランダのミシュラン二つ星レストラン、&Samhoud Placesから、Dennis Huwaeシェフが登場。
インドネシア人の父、オランダ人の母を持つDennisシェフは、フレンチ、オランダ料理、
そしてその後は7年間オランダのホテルオークラに勤務するなど、様々なバックグラウンドを持っています。
会場は、ラッフルズプレイスのイタリアン、Osteria Art(オステリア・アート)。Andrea De Paolaシェフとのコラボレーションです。
こちらのレストランは初めてお邪魔しましたが、中はまさにイタリア!
イタリア人のサービススタッフの明るい、でも程よい距離感のサービスに、心が和みます。

そんなDennisシェフの一皿目は、Perfect Eggs。完璧な卵、という名前通り、中には62度で1時間半加熱したという、
卵黄が入っています。上には、ホースラディッシュとスモークしたオランダ産のウナギをエスプーマでフォーム状にしたもの。


温かいフォームと濃厚な卵黄、カリカリのクルトン、しっとりとしたウナギの身。
食感の対比が楽しいだけでなく、スモークの香ばしい香りとうまみのフォームが絶品。
実は、Dennisシェフは、ホテルオークラ時代に日本料理の基礎を教わり、昆布だしの取り方をマスター。
この一皿にも、昆布だしが使われているのだとか。まろやかで繊細なうまみを、ほのかに効かせたホースラディッシュが引き締め、
上に散らしたチョコレートが甘い香りを添える、という、新しくも調和のとれた一皿。



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続いては、Andreaシェフとのコラボレーションの一皿。Seabass。
もともとは、&Samhoud Placesの人気の定番メニュー。
ふっくらと焼き上げたイタリア産のスズキに、黒ニンニクや白みそ、マッシュルームで作ったピュレが載っています。その横には、
ほのかな苦みのアーティーチョーク。仔牛とアンジェリカのソースに、マイルドなポテトピュレを合わせて。
苦みと、味噌や黒ニンニクから来る複雑なうまみ、そして仔牛のソースの甘み。
まるで、西京焼きを再解釈したような、それでも、まったく新しい美味しさのメニューとして存在している一皿でした。


料理を作るのに大切なのは、いかに良い素材、面白い素材を仕入れるか、とDennisシェフ。
オランダは小さな国なので、食材を求めて、フランスやベルギーに行くこともあるそう。
それ以外にも、森や海などの自然の中や、野菜の生産者や漁師。
いい食材を探すというのは、自分たちにとってとても重要なんだ。ほぼ毎週、どこかに食材を見つけに行っているよ、
とDennisシェフは語ります。
この一皿に使われていたスズキやアンジェリカも、そんな中で探し当てた食材なんだそう。


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続いては、Andreaシェフによる、Guinea Fowl Ravioli。
ホロホロ鳥のラビオリに、モリーユ茸と、モリーユ茸のクリームソース、ソラマメを合わせています。
奥行きのあるモリーユ茸の複雑な香りに、ホロホロ鳥のコクがよく合います。
重たくなりがちなクリームソースですが、ソラマメの若々しい緑の香りだけでなく、ミントとカモミールのエキスが隠し味になっていて、
繊細な一皿に仕上がっていました。


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料理を作るというのは、とてもパーソナルなものでもある、とDennisシェフ。
新メニューを作るときは、まずは、自分の好きな味であるかどうか、そして自分の子どもに食べさせたい料理であるかどうか、
と語ります。

子供時代、週末は父方の祖母の家で、インドネシア料理を食べるのが習慣だったというDennisシェフ。16人兄弟だったという
父の兄弟たちが集まり、まさに毎週末がパーティー。いまだに、祖母の作った、
中はふわふわに、外はさっくりとしたタラの揚げ物、インドネシア風の野菜いため、白米という組み合わせの料理の味が忘れられないといいます。

そんな思い出のタラの揚げ物が魚のメインディッシュのCod。濃厚な「オランデーズソース」をかけ、オランダ風にアレンジ。

個人的にはスパイシーな味付けは好きだけれど、今回はあえてそういう料理は作らなかった。
シンガポールにはスパイシーな料理がたくさんあるのだから、と、逆のタイプの料理を考えたのだそう。
その結果が、オランデーズソース。タラのふんわりとなめらかな食感、
サクサクとしたカリフラワーの野の香りとタラとの相性の良いディルビネグレットの香味、
グレープフルーツのすっきりとした酸味とほのかな苦みで、複雑味のある、でも調和のとれた味わいに仕上げました。
インドネシア料理と共通の要素がある、シンガポールのマレー系の料理は大好きで、
シンガポールでも特にナシレマ(ココナッツで炊いたご飯にフライドチキンなどのおかずをあわせたもの)やサテ(マレー風の焼き鳥)が気に入ったそう。
「シンガポールにいる1週間で、5キロも太ってしまった。でも、おいしかったから別にいいんだ」と笑います。
そのほかにも、インドのトーサイ(ドーサ、塩味のクレープにスパイスの効いたジャガイモが入っている)など、スパイシーな料理が好きだというDennisシェフ。

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肉のメインディッシュは、Andreaシェフによる、Smoked Balsamic Pork Jowl。
豚の顎肉のスモークで、表面をうっすらと焦がしたスモークの香りに、バルサミコ酢とブルーベリーのソース。
まるではちみつのような香りのある、ほんのり甘いバターナッツかぼちゃのピュレと合わせて。
スパイスの効いたブロッコリーと一緒にいただくと、ソースやピュレの程よい甘みと、豚肉のとろけるような脂に、このスパイスがよく合います。


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最後のデザートも、Dennisシェフのシグネチャー、Ice Cream of Green Cardamomをアレンジした、コラボレーションメニュー。
エキゾティックなカルダモンの香りのクリームに、酸味のあるラズベリー、そして、イタリアンのAndreaシェフらしく、
カントゥッチーニのクランブルをプラス。ヨーグルトのようなまろやかな酸味のクリームチーズのソースと、マンダリンオレンジのソルベ。
甘みと酸味のバランスの良い、素晴らしいデザートでした。


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Dennisシェフに、ミシュラン二つ星のシェフでいることについて、お話を伺いました。

ミシュランの二つ星レストランのヘッドシェフとして、毎月新しいメニューを考える、というのは確かにプレッシャー。
だけれども、自分はそのプレッシャーの中で仕事をするのが好き。
「新しいメニューを作らなければ、と思えば思うほど、イメージがふくらまないもの。むしろ、
ニュートラルな気持ちでいたほうが、いい結果につながる」と話します。
夢は、&Samhoud Placeを三ツ星にすること。「特別なことをするつもりはなくて、今と同じ努力を続けていれば、
三ツ星になると信じている。そして、シェフにとって、ワークライフバランスというのも重要。
ただがむしゃらにハードワークをするというのではなく、賢い努力をしていきたい」と話すDennisシェフ。

担当した料理はすべて自ら席まで届け、ゲストのリアクションを見て、また料理に戻る。
研ぎ澄まされた集中力を感じるDennisシェフ。
ご本人のいう通り、三ツ星も遠くないかも?と思わせてくれる、素晴らしい料理でした。

そして、この100グルメ、好評のため、今年12月までの延長が決まりました!
会場は、人気のタパスバー、ESQUINA。スウェーデンから、一つ星を獲得したHakan Thornstromシェフを迎えて行われる予定です。
詳しくは公式サイト
http://100gourmet.sg/をご覧ください!