今日は、先日地球の歩き方でご紹介した$100Gourmetというダイニングイベントの取材でイタリアンレストランのPontiniへ。


私、道が川になっているようなすっごい雨の中、かつものすごいヘイズだったのでなんだかヘロヘロな感じですが


今回カナダからやってきた、TVなどでも有名なTrevor Bird シェフ(写真左)。
先日取材したThomas Cruse シェフとも同じレストランで働いていたこともあるそうですが、
Trevorシェフは、より現代的なアプローチをしている印象。「農場からテーブルへ」をコンセプトに、土の香りを食卓に届けたいと語っていました。
イタリアンレストラン、PontiniのDaniele シェフ(同右)とのコラボレーションです。

アミューズは、マッシュルームの載ったフォカッチャ。

マッシュルームの森の香りが、これからのコースのコンセプトを象徴している感じがします。


そして、Daniele シェフによる前菜
Trilogy of Antipasti

サーブされる際に、右から食べるように言われます。

右端は、イチジクと、カンタロープと呼ばれる赤い実のマスクメロンの一種、イタリアのプレミアムプロシュートのコンビネーション。温かいイチジクのソースが冷たいメロンと温度の対比、そして、プチプチした食感を与えます。イチジクと生ハムという組み合わせは、通常のメロンと生ハムよりも更に味わいの濃厚さを加えていて、赤ワインに合いそうな一皿に仕上がっていました。

真ん中は、サーモンに、刻んだりんごとフェンネル、オリーブレモンドレッシングを添えて。

低温調理したというサーモンは、まるで生のサーモンのようにしっとりと滑らか。フェンネルとの相性はもちろん抜群で、りんごのすっきりとした香りがアクセントになっています。
アイスプラントの食感とほのかな塩味も効いています。

真ん中は、トスカーナ風にマリネされたタコとグリーンピースのムース。柔らかいタコは表面だけ軽くあぶって香ばしく仕上げてあり、グリーンピースの緑の香りとあわせてフレッシュな印象に。

Seared Scollop

北海道産の大ぶりな貝柱は、濃厚なアボカドクリームとあわせて。ロンドンで栄養士の資格も取ったというDanielシェフは、健康的な食事を提供したいという思いがあるそう。こちらも、アボカドを使ってクリーミーさと、「農場からテーブル」というTrevorシェフのコンセプトともマッチした一皿に仕上げてあります。


そして、Trevorシェフによる最初の一皿は、ラザニア、Lasagna

ふわっとした食感の甘い香りのリコッタチーズを、表面をかりっと焼き上げたラザニアに仕立て、新鮮でジューシーなマッシュルームが入っています。サーブされる時に、シェフがやってきて、テーブルでトリュフをスライスして載せてくれます。


秋の味が満載の季節を感じる一皿。
Trevorシェフの言う、「農場から直送の、土の香りのする料理」は旬を感じる料理でもあります。確かに、一年中夏のシンガポールに来てすっかり忘れていた「秋」の季節感を感じることができました。

そして、出色はFish。

脂の乗った鱈を、日本の白味噌に、きび砂糖とライスワインを混ぜた「味噌グレーズ」で焼き上げ、デュカと呼ばれる中東風のナッツとコリアンダーなどのスパイスのミックスをかけて。パリパリの軽い鱈の皮とゴマ、何かこの食感はどこかで食べたような・・・と思ったら、「日本のFurikakeを再解釈してみたんだ」とTrevorシェフ。
Furikake? フリカケ?・・・ふりかけ!!かぁ。
と、納得。このふりかけはヘーゼルナッツとコリアンダーの甘い香りが効いていてエスニックな方向に舵を切ってはいますが、日本人からしても、いいバランスで美味しくいただきました。

メインの肉料理がコラボレーションメニュー、Beef Two Ways 

右がTrevorシェフ、左がDanieleシェフです。


面白かったのが、各シェフの牛肉の選び方。
グレインフェッド(穀物を食べて育ったもの)をTrevorシェフは、ロゼ色にシンプルにローストして。グラスフェッド(牧草を食べて育ったもの)をDanieleシェフはじっくりと蒸し煮に、

牛肉らしい香りがあるグラスフェッドは、調理で柔らかくなる蒸し煮に、調理時間の短いローストは、柔らかい肉質のグレインフェッドと使い分け、グレインフェッドは牧草の緑の香りをほうれん草のピュレで加えて、2種類のメニューが見事に調和しています。

Sweet Sensation 

デザートはDanieleシェフによるヴァニラのパンナコッタは、キウイやパイナップルなどと、カリカリのクッキークランブルを入れた品。上にラズベリーのソルベが載っていて、崩しながらいただくと、パンナコッタとバターのような香りのあるクッキー、そしてラズベリーやキウイなどの酸味、パイナップルの南国の香りとあいまって、満足感の高いデザートでした。


アジアの要素をうまく取り入れているTrevorシェフ、初めて来たというシンガポールでも蛙のおかゆや、チャークエティアオ(太い米の麺を炒めたローカルフード)を楽しんだそうですが、その背景には、バンクーバーにはアジア人が多く住んでいるという背景があるのだとか。
日本に来たことがないけれど、和食はよく食べるし、「ふりかけ」もよく口にすると話していました。

そして、衝撃的だったのが、これから取り入れたい新しい食材をお聞きしたとき。
なんと、「こおろぎ」という答えが・・・
こおろぎです、あのこおろぎ。日本の皆さんのすぐそばで鳴いているかもしれません、美しい音色を奏でる虫の。
今、アメリカなどでは高たんぱく質の食品として、粉末にしてクッキーなどに取り入れられているそうですが、Trevorシェフはパンにしようと考えているそうですよ。

昆虫採集をする少年のように、農場から食材を集めテーブルに届けるのが、Trevorシェフの「ファーブル」のコンセプトですが、まさか本当に昆虫がテーブルに載るとは!

でも、こおろぎ、美味しいという話も聞くので、私は少し興味があります(笑)
NOMAでは蟻を出したという話もあるし、これから新しい食のブームは「昆虫食」になるのかも知れません。

ちなみに、今回のコラボレーションではもちろん、こおろぎは使われていませんので、ご安心(?)くださいね。

Trevorシェフのコラボレーションは、きょうはお休み。あす30日から10月3日まで、Cocotteに場所を変えて新しいコラボレーションで行われます。



ちなみに、参加は以下の$100Gourmetのサイトからチケットを購入する形です。
http://100gourmet.sg/calendar/
メニューも見られますので、興味のある方はチェックしてみてくださいね。
10月1日と2日は、ランチが2人で100シンガポールドルの特別メニューもあります!