こんばんは。
森澤 恭子です。
2022年12月より品川区長です。
本日、墨田区にある賛育会病院がいわゆる「赤ちゃんポスト」「内密出産」の受け入れを開始することが明らかになりました。
賛育会病院は熊本市の慈恵病院に続いて2例目となるわけですが、その覚悟に心から敬意を表する次第です。そして、病院と連携する墨田区にも合わせて敬意を表します。
先月熊本市で、いわゆる"赤ちゃんポスト"である慈恵病院の「こうのとりのゆりかご」の現場を見てお話を伺い、また、熊本市の妊娠内密相談センターの取り組みを聞いて、これは生半可な気持ちでは取り組めないなと思ったからです。
視察のきっかけは、熊本市の大西市長から、ぜひ一度見てもらいたい、とご提案いただいたことでした。予期せぬ妊娠で悩む方が非常に多く、誰にも相談できず困り果てて熊本の慈恵病院を全国から(東京からも)訪ねて来られるということでした。
私も2021年の都議時代に「孤独な出産をなくすために…」とブログに記しているように、予期せぬ妊娠に悩む妊婦さんの課題について、これまで、関心をもって質疑などもしてきました。
赤ちゃんを自分で育てられない方が、匿名で赤ちゃんを預けることができる場所について、諸外国には多くあるそうです。
(2024年6月の報道)
さて、実際に、門をあけて、「こうのとりのゆりかご」に至る短い小道を歩かせてもらいましたが、お母さんたちは、どんな想いをしてここを歩くんだろう、と思うと何とも言えない気持ちになり、
そしてゆりかごの扉を前にして、ここに子どもを預けざるを得ないお母さんたちが実際に立つのだと思うと、扉をあける気持ちはいかばかりかと、言葉になりませんでした…
また、慈恵病院がこのこうのとりのゆりかごを開始するに至った病院の歴史なども聞かせていただき、本当に愛のある取り組みをされていることに頭が下がりました。
(赤ちゃんポストに預けられた場合の費用は慈恵病院持ちで善意で行ってくださっています)
赤ちゃんを育てられない環境にお母さんたちが追いやられてしまうのには、様々な要因が複合的にからんでいます。ただ、やはり社会課題であります。
慈恵病院は、お母さんたちの相談にものってきました。そのような状況を踏まえ、熊本市は令和5年度から、「匿名で」相談できる妊娠内密相談センターを開始しました。
体制としては、保健師2人、社会福祉士2人、心理相談員1人、養護教諭1人の専門職がチームでソーシャルワークをおこなっているということです。
熊本市の方がお話くださったのは予期せぬ妊娠に悩みながら、誰にも相談できない方は全国に存在し、複雑かつ複合的な課題を抱えている(貧困、精神面・発達面の課題、パートナー不明、家族からの支援の欠如など)ということ。そして、予期せぬ妊娠等を防ぐためには、包括的性教育の推進が欠かせないということでした。
私たちには何ができるだろうか、何をすべきだろうか、とても考えさせられる視察となりました。
なお、大西市長は、こうのとりのゆりかごに預けられた赤ちゃんの命名をご自身で書いているそうで、首長としてのその責任の重さたるや...と思った次第です。
先日、内密出産や親が匿名で託せる「こうのとりのゆりかご」に預けられた子らを想定し、子どもが出自を知る権利について協議して検討会の報告書も公表されていました。
国による整理、法制化も必要なところです。
韓国では昨年、いわゆる"内密出産"が法制化されたということです。
引き続き、この課題については考えていきたいと思います。
大変お忙しい中、ご対応くださった熊本市の慈恵病院のみなさん、大西市長を始めとする熊本市のみなさまに心から感謝申し上げます。
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品川区長 森澤 恭子
(2022年12月4日~)