桜前線が北上する中
全国的に緊急事態宣言が解除され、
本格的な桜の季節が到来しているが、
残念な事に今日は日本中に雨雲が覆っている。
いっせいに見頃を迎えている
可憐な枝垂れ桜の花弁が落ちない事を想う。

先日、京福電気鉄道の「叡山ケーブル」が23年ぶりにリニューアルされ、
比叡山をイメージさせる濃緑色をベースにした車体がお披露目された。
延暦寺の「伝教大師最澄1200年大遠忌」に合わせた事業の一環。
なかなか渋めの格好いいデザイン!


京都新聞社の画像より

 

 

 


上京区七本松通仁和寺街道沿いの立本寺(りゅうほんじ)。
昨年は本堂が工事中だったので、
撮影はしたもののブログにはアップしなかった。
こちらの枝垂れ桜も早咲きなので、すでに見頃を迎えていた。

 

表門、鬼子母神堂前にはソメイヨシノも植えられているが、
開花には一週間から十日程は掛かりそうだった。

 

 

 

 

 

 


この枝垂れ桜の背後にも濃いピンクの枝垂れ桜が
あったような気がしたが、この時点では全く確認できなかった。
私の思い違いか?



立本寺には正行院、教法院、光源院、大輪院の塔頭が隣接していて、
50年ほど前、どこの寺院だったかは思い出せないが、
その寺の庭園に設えられた茶室でよく過ごす事があった。
勿論そこは友人の下宿で、
単に暇潰しに遊びに行っただけの事だが。。。

 



今はご時世がすっかり変わったが、
当時は観光寺院以外のお寺の懐状況は厳しく、
お寺の施設を学生に下宿屋として提供していた。
確かあのやしきたかじんも若かりし頃。。。
今は駐車場や介護施設など、色々なさっているようである。

 



友人は地元の出身で、高校卒業後、
クラシック奏者を目指して東京の音楽学校に入学。
ところが中高と吹奏楽部で頭角を現すも、
東京に集まる精悦の若い音楽家の才能に圧倒され、
クラシックからジャズにドロップアウト。
クラシック奏者の道を諦めて傷心の思いで京都に戻り、
大工棟梁の父親の家業を継ぐべく、建築学校に入学。

 




私自身音楽好きであったが、
ジャズについては有名どころしか知らなかったので、
彼の愛聴しているジャズのレコードは新鮮だった。
よく市内のジャズ喫茶にも連れ立った。

 


だが、最も私が好きな場所は元茶室の彼の下宿屋だった。

音楽家を目指していただけはあって、

音響機器とレコードは目を見張るものがあった。
特にジャズのコレクションはチャーリー・パーカー、

セロニアス・モンク、クリフォード・ブラウン、
マイルス・デイビス、ジョン・コルトレーン、etc.


彼はフルート奏者を目指していたので、
最も好きな奏者は恐らく、
若くして亡くなったエリック・ドルフィー。
少し前衛的でフリージャズにも分類される奇才だ。

エリック・ドルフィーの曲は訪問中は流される事は無く、
一人でいる時だけに聞いているみたいだった。
下宿に伺うのには庭園の裏戸から入るが、
ある時大音量の音が四畳半の部屋から漏れ、
さほど大きくない庭園をスッポリ覆い尽くしていた。
私は声を掛け、尽かさず部屋に入ると、
友人は気まずそうにいつものレコード盤に変えて、
何事も無かったように振舞ったが、
エリック・ドルフィーは彼の中では独り占めしたい、
誰とも共有したく無い大切なミュージシャンだったようだ。

 



ジャズ以外にも浅川マキや、
日本のフォーク嫌いだった彼だが、
その時デビューしたての荒井由実の『ひこうき雲』を、
この女の子は才能あるね!と言って、嬉しそうに聴かせてくれた。



あれだけ通っていたジャズ喫茶は今は全く持って行かないが、
もちろん京都のジャズ喫茶自体風前の灯火となり、
行くにも選択肢が無いし、それ以上にその下宿屋で聴いた環境程、
贅沢なジャズを味わえ音楽空間はあり得ないと思っている。



その時はこの枝垂れ桜の事は全く知らなかったが、
今でも見ると、
その時の張りつめた音が聴こえてくるような気がする。




彼も若くして亡くなった、私の好きなジョン・コルトレーン。

 

John Coltrane - My Favorite Things (1961) (Full Album)

 

 


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