まず入口はお約束的に桃太郎。
お人形屋さんですので、桃の節句だけじゃなく端午の節句も祝いますので
当然、推しになります!



男子四人編成なのがオツ。猿雉犬の擬人化が今風です。
お節句男子!
御供の三人のうちの誰か、一人メガネかけてくれるとキャラが立ってますますいいかなとおもいました!

それはそうと潜入です。

まずは一階。

 

 

 

 

 

 


あの!切手の女の子がこの子です!


こちらは作家物と、お人形にかかせない、お道具(小道具)をみることができます。
五人囃子の使う楽器だとか、仕丁の使うお掃除道具だとかです。

 

 


まるでヲタホイホイです!あっというまに吸い込まれました。
何と立派な御嫁入道具でしょうか。
女の子がお嫁にいくのに、市原悦子とその掃除機までついてくるだなんて!

そしてそのお道具を作るにはまたその専門の職人さんがいるのです。その紹介もあります。
豪奢なことです。
分業するのはそのほうが効率がいいからでしょうが
小さくても家具は箪笥の引き出しが開閉したり
楽器も笛には実際に穴があったりしますので
お人形を作るのとはまた別の知識や技が必要なのでしょう。
お道具ですからこちらが主役になってもいけないのですが
出来のいいものが揃うとお人形がぐっと引き立ちますので欠かせません。
そんな繊細な美意識に貫かれたお道具。
こうしてお道具だけみせていただくこともあまりないのでとても見応えがあります。
大きすぎず、小さすぎず、
ちょうど心の柔らかいところに刺さってくる六分の一サイズ!!ですよ!



ちなみに、東久さんでは歴史館でもお店でも
色んなところに藁束が置かれています。
完成前のお人形パーツを乾燥させたり、ちょい置きするのに使います。
近年これが手に入らず困るのですが
マスターは現役で活躍する藁束を沢山お持ちです。
これもお人形造りにかかせないお道具のひとつですね。
私は偽物を使っています。
乱暴に扱うので汚れているのですが、
マスターのは胡粉がとびちったり粘土がこびりついたりしていません。
道具を汚さないのも職人です。
(と、どなたかおっしゃっていました。納得です)

 



ひとしきりガン見したあと、
いそいそ二階に移動します。
その手前のどんつきの場所には、
乙女ちっくな髪飾り、フランスポーズ人形、
そしてかっこいい兜一式が出陣していました。

 



髪飾りかわいい。
こんな髪飾りの似合うお人形が作りたいものです。
なぜかここだけポップなかんじ。
りかちゃんやブライスにも似合いそうな飾りでした。

ここ数日、締切前のストレスからか
毎朝足がつる、その激痛で目覚めるのが通例になっていましたが
そのせいで足が肉離れ気味。
右足のふくらはぎめっちゃ痛いので、
家の階段も手すりにすがりながらびっこをひいているわたくし。
無理は禁物なのですが、
お人形館の階段を、途中までそろそろあがったあと
途中からはかけあがってしまいました。
「はよ、こい、こい」とよばれている気がして!(気のせいなんだとおもいます)
二階にあがると案の定、シーンとして音はなし、
人間は私だけなのでとても静かなのですが
何かの気配がざわ・・・ざわ・・・としているのを感じます。
その気配ですが怖くないのです。
お人形をみて喜んでいる私なのですが、
人形も私をみて面白がっている、なんかそんな風に感じられる。
ここが、マスター東久の脳内世界なのかもしれない。
お人形宇宙。

鼻息荒く、二階もみていきます!
まずは、お人形のできるまでを時系列で並べてくれたもの、
その材料やできあがった頭の展示。

 

 




 

 

 


ぽっちゃりしたほっぺが並んでいるのでなでなでしたくなりますが、
そんな気持ちを見越してか
「御手を触れぬように」と注意書き。
ちょうどなでなでしたくなるサイズが危険です。


 

 

 


和ドールの目玉は頭の内側からでなく外側から貼り付け。
これが最初は不思議でなりませんでした。
しかも、目の開け方が洋ドールとまるで違うのです。
そのやり方もここでみることができます。
まぶたをつくりません。
胡粉でぬりつぶしてしまって、そこを割るとドールアイがでてくる。
割り方がそのまま目のかたちなのです。
なんという技!
見本のお人形さん、胸像ですがとても美人です。

この見本をみると、頭は頭、
首から胸まではまた別の型でパーツを抜いているのがわかります。
出来上がりの状態が鮮明にイメージできていないと
肢体がバラバラになってしまいそうです。
慣れでしょうか。
職人さんの凄いところです。

さて、さらにすすみますとここからが早くも見どころ。
まずは大勢の市松さんが待っていてくれます。

 

 


どの子もとてもお行儀がよく、つやつやしたふくぶくほっぺです。
幼さの中にも賢さがあります。
このように、相反する魅力を一体にこめるのは
表現としてとても難しいのです。

 

 

 

 

 



衣装も綺麗で見惚れてしまいます。

そしてさらにすすみますと、今度は
3等身のちっこいドールが賑やかに展開しています。

 


これが大好物です!
ちっこいドールが大挙して、
「わしをみろわしをみろわしをみろ」するやつです!
人形にみろみろされるのが本当に好き。
遠慮なくジロ見していきます。
それぞれ思い思いのポーズでキメッ!としてくれているのです。
たまらんず!

 


丸顔まみれの親近感。
それぞれ人形師の技が光ります。
お雛様や五月人形もいるのですが
芸人や商人がちらほら混ざっています。

 

 

 

 

 

 

 


丁稚のような坊やや、食事の支度をしてくれている御姐さんも。
餅をつく子の腰つき、扇子を構えた人の手振りの見事なことはどうでしょうか。
この、機嫌よく惜しみなくもてなしてくれるかんじ
人形の良いところ!


みんなかわいいです!

 



ますます鼻息荒く奥にふみこみます!
本館の一番のみもの、岩槻裃人形の大群です。
こちらに1000陳列されているとのこと。
あと500持ってる、とマスター談。
さて、どこで展示しましょうか?
マスターは横浜をみすえています。楽しみです!!!!
(注:横浜には芸術を理解する人が多くいるそうです)

 



さて大群ですが、まずいきなり1000体みても、
わ、お人形がいっぱいいる、ということを脳が認識できません。
あまりのことに一旦は平常心になるのです。

 

 

 

 



ですがあれ、とだんだん目前にひろがる光景を受け入れてきて
あらためてわーと驚いてみるのですが
何に対して驚いているのか、私はこのとき自分でもわからなかったのです。

ですが帰宅しつつじわじわと理解しました。
それはこういうことです。
東久という人形師が岩槻にやってきて。
岩槻人形の元祖といわれる人形を集めてそれが
1500にも数えた、というがそれは違う。
いつ消えてもおかしくない素朴なつくりの人形が、
東久のところに集まって集まってそれが1500にもなったのが本当なのです。
人形が東久を求めたのです。
そんな風に思ったら納得できました。
そしてあらためて驚き感嘆したのでした。

じりじりと最後のエリアにすすみます。

 


ここにはドールハウス的お雛様と、
小さな女の子がお友達にしたり、
弟妹にして可愛がるようなちびっこドールが並べられていました。

 



なんと着せ替えて遊べるような女の子ドールもいました。
リカちゃんのご先祖様です。
御着替えや、おざぶも小さくかわいい。
尻をだしてくつろぐ赤ん坊ドールも印象的です。
赤子の体はなぜにあんなにくびれるのでしょうか?
そのくびれの弾むジューシーが見事に表現されています。

 

 

 



一体で複数の日本髪ズラを所有するお嬢さんが気に入りました。
1人で6通りのマゲを楽しめます!赤い着物もかわいいです。

 

 

 

 



御所人形もかわいく、桃からいままさにうまれる桃太郎も発見。
そしてキメコミのお雛様も数セット。

 

 


とても趣味のいいものです。
色合いも綺麗。
まるっとした魅力ですがそれぞれ職務について働いている様が
びびっとに伝わり、
その造型はお見事です。


古いお雛様の衣装は、色が褪せていました。
時の経過を感じさせます。
過ぎた時間が戻らないと教えています。
今このときも過去になると告げています。悲しいことです。
過ぎていくばかりのものをとどめたい気持ちで
人は何かを作るとおもいます。
それが自然とヒトガタになったとおもいます。

私は旅したのです。
行くはずのない場所、いるはずのない時間にいって
出会うはずのない人形と出会ったのです。
それはとても贅沢なことでした。

胸いっぱいな気持ちで歴史館をあとにしました。
マスター東久にあらためて尊敬と感謝です。

お人形お好きな方もそうでないかたも、
ぜひとも岩槻におでかけになってマスターの世界をご覧ください!

 

さて、そんな東久マスターも積極参戦の重陽の節句イベント!

本日14日より岩槻にて!

 

皆様ぜひお運びください!!