2020年8月の読書メーター | 無精庵徒然草

無精庵徒然草

無聊をかこつ生活に憧れてるので、タイトルが無聊庵にしたい…けど、当面は従前通り「無精庵徒然草」とします。なんでも日記サイトです。08年、富山に帰郷。富山情報が増える…はず。

 旧蔵の全集や著作集の漱石とハーンをベースに、過去の読み残し本や父の蔵書などを読むというパターンをコロナ禍ということもあって、続けてきた。今月下旬になって、そろそろ自粛も限界、新しい本も徐々に読んでいくよ。

 

 ところで、たまに、糖質ゼロ、たんぱく質ゼロ、炭水化物ゼロ、エネルギーゼロと銘打ったコーラを飲む。ラベルを読むと、色素や酸味料、甘味料、香料、カフェインなどが入っているとも。これらの含有物にカロリーなどは含まれないのか? ある人のアドバイスだが、人工甘味料などはやばいかも、だって。

 

8月の読書メーター
読んだ本の数:14
読んだページ数:5204
ナイス数:8278



考えるナメクジ ―人間をしのぐ驚異の脳機能考えるナメクジ ―人間をしのぐ驚異の脳機能感想
率直に面白かった。読みながらスマホ(読書メーター)にメモ代わりに呟くものだから、読了に時間がかかった。脳が感覚器官としてもダイレクトに機能している。神経伝達物質は、哺乳類とナメクジとは、かなり共通する。グルタミン酸、アセチルコリン、GABA、セロトニン、ドーパミン、ヒスタミン、ノルアドレナリン(ほかに、一酸化窒素も)。クリオネ、ナメクジ、カタツムリは、同じ仲間! などなど。いつも思うことだけど、今現在生きている生物は、それぞれ進化の最先端にある。である以上は、生存する秘密を持っているのだ。
読了日:08月31日 著者:松尾 亮太


千夜千冊エディション 宇宙と素粒子 (角川ソフィア文庫)千夜千冊エディション 宇宙と素粒子 (角川ソフィア文庫)感想
筆者の本を読むのは何冊目だろう。初めて同氏を知ったのは、工作舎を設立し雑誌『遊』を創刊した頃だから、学生になって間もない頃か。『遊』や『現代思想』などを熱心に読んでいた。吾輩は本書を仕事の合間に読んできた。そう、知の巨人なのだろうが、あくまで知の編集者であり、必ずしも知の地平を切り開いた存在という認識は持っていない。本書は、「正剛が五十年にわたって読んできた科学書の中から宇宙論と素粒子論をめぐる代表的な本を厳選」したもの。吾輩の嗜好に叶うだけ、興味津々で楽しめた。題名を「宇宙という場」にすればよかったな。
読了日:08月30日 著者:松岡 正剛


飛田残月 (ちくま文庫)飛田残月 (ちくま文庫)感想
著者は、証券会社、闇ブローカー、同人誌「文学者」のグループに参加など、さすがに濃厚な人生経験の持ち主(Wikipedia参照)。多額の借金を抱え、「帰るべきところがなくなったために、退院後は釜ヶ崎(あいりん地区)のドヤ街、飛田商店街に近い東田町に移り住み、トランプ占い、キャバレーの呼び込み、「水道産業新聞」編集長などさまざまな職業を経験。飛田の娼婦たちとも顔なじみになる」という。本短編集は、特に飛田商店街に近い東田町に移り住み、飛田の娼婦たちとも顔なじみという経験が裏うちとなっている。
読了日:08月29日 著者:黒岩 重吾


さらば、神よ 科学こそが道を作るさらば、神よ 科学こそが道を作る感想
初学者向けのドーキンス科学への入門書。二部構成になっている。第一部は神を信じる正統性の危うさを徹底的に攻撃。特に「聖書」の物語は、あくまで言い伝えであり神話であって、歴史的事実には基づかないこと。旧約聖書の神がいかに嫉妬深く残虐かをこれでもかと説く。そんな遠い昔に書かれた聖書で現代に範を示すことの愚かしさをも説いている。新約でもイエスの行いは歴史的事実じゃないと説く。
読了日:08月28日 著者:リチャード ドーキンス


密命売薬商 (集英社文庫)密命売薬商 (集英社文庫)感想
必ずしも時代小説歴史小説については熱心な読者でない吾輩が本書を手にしたのは(書店でたまたま目にした)、題名に売薬商とあり、テーマとして富山藩と薩摩藩との絡みがあるからである。富山県人の吾輩、親戚に売薬さんがいた。身近だったのである。
 さらに、過日、「歴史秘話ヒストリア「富山の薬売り 知恵とまごころの商売道」 | 歴史秘話ヒストリア | 関西ブログ」を録画で観たからでもある。 https://www.nhk.or.jp/osaka-blog/historia/429936.html 
読了日:08月25日 著者:鳴海 章


天文学者が解説する 宮沢賢治『銀河鉄道の夜』と宇宙の旅 (光文社新書)天文学者が解説する 宮沢賢治『銀河鉄道の夜』と宇宙の旅 (光文社新書)感想
「『銀河鉄道の夜』をテーマに賢治の宇宙観に迫る。このユニークな童話はどのように構想されたのか。賢治は宇宙に何を見ていたのか。天文学者による、これまでにないアプローチ」というもの。科学者の視点からの賢治作品分析の本は過去少なからず出ている。現役の天文学者の知見による『銀河鉄道の夜』解析は実に面白かった。賢治が生存当時知りうる天文学の知識に違わないのはもちろんだが、時に現今の銀河像を先取りしているのではと思える記述も見受けられるとか。
読了日:08月24日 著者:谷口義明


言葉と悲劇言葉と悲劇感想
内容紹介には、「「シェイクスピアからウィトゲンシュタインへ、西田幾多郎からスピノザへ。その横断的な議論は批評の可能性そのものを顕示する。計14本の講演を収録」とある。 30年ぶりの再読。久しぶりだからか、新鮮。バブル真っ盛りへ突っ込んでいく、ジャパン・アズ・ナンバーワンと世界から持て囃されつつあった日本。ポストモダンのモデルは日本にこそあると持ち上げられていたが、ほんの数年もしないうちにアメリカに叩き潰された。構造改革を自分では行えず、メタボな体がシュリンクしてしまった。
読了日:08月20日 著者:柄谷 行人


地図の記憶―伊能忠敬・越中測量記地図の記憶―伊能忠敬・越中測量記感想
上記のように、本書は伊能忠敬ら一行による越中測量記の書。特に石黒信由との絡みがメインである。石黒信由は、越中・射水出身の和算家・測量家、天文家。本来なら加賀藩の影響の強い越中では石黒は伊能忠敬に会えるはずもなかった。だが、実際には会っている。にも関わらず伊能の記録には石黒の記述はない。1800年、55歳という当時として高齢から日本測量の行脚の旅に出た。持病の喘息に苦しめられながらの旅だった。
読了日:08月18日 著者:竹内 慎一郎


夏目漱石全集〈1〉 (1973年)夏目漱石全集〈1〉 (1973年)感想
本巻には、「坊っちゃん」「幻影の盾」「薤露行(かいろこう)」「倫敦塔」など初期短編・日記・書簡などを収録。ちなみに、「薤露行」は、中国の漢詩の一形式である古楽府「薤露歌」からの題名。薤露歌とは葬送のときに柩を引く者が歌う歌で、人の命のはかないことを薤(かい)すなわちオオニラの上の露にたとえた歌である。「坊っちゃん」は言うまでもないだろう。歯切れのいい江戸弁の痛快で明快な小説…のようでいて、漱石の(シェイクスピアから学んだ)登場人物の性格をそれぞれ明確にし読者に分かりやすくする方法論が取り入れられている。
読了日:08月17日 著者:夏目 漱石


続・中国発掘物語 (講談社文庫―中国歴史シリーズ)続・中国発掘物語 (講談社文庫―中国歴史シリーズ)感想
漢以降の時代の古墳を扱う。中国には夥しい数の墳墓がある。大半は盗掘された。洗いざらい盗まれるものと思い込んでいたが、本書によると、壁画や墓碑などは盗掘を免れるという。盗人は、急ぐため、重いもの 嵩張るもの、換金の難しいもの等は無視。金銀など宝飾類が盗まれやすい。結果的に、考古学的に貴重なものが残っていることが間々ある。驚いたことに、昔は王らは、盗掘専門の部署を設けていた。盗掘は財宝があるのは明らかだし、手っ取り早く金を稼げるから。盗掘は必然。宋の時代からは墓には財宝を添えることはやめるようになったとか。
読了日:08月15日 著者:陳 舜臣


ラフカディオ・ハーン著作集 第6巻 文学の解釈 1ラフカディオ・ハーン著作集 第6巻 文学の解釈 1感想
ハーンの講義録は、一連の怪談ものなど新奇な作風が持ち味の旅行作家という欧米での評価を一変させた書。講義は東京帝大での1896年から1903年までの主要な英文学講義を編纂しアメリカで出版されたもの(ハーンは草稿も作らず、僅かなメモを手に語ったもの。文章に煩いハーンはアメリカでの出版に関わっていない。ダメだしを喰らったろう)。それだけにハーンの熱意や学生への思いやりの気持ちが溢れる書でもある。
読了日:08月11日 著者:ラフカディオ・ハーン


中国発掘物語 (講談社文庫)中国発掘物語 (講談社文庫)感想
父の蔵書。広大な中国。数千年の有史を持つ中国。欧米や日本の頸木を脱し、愛国心や誇りの自覚もあり、自国の遺跡を発掘調査しつつある。本書は、自国の手による発掘が始まる前から始まっていく段階のエピソードが書かれ面白い。掘れば掘るほど、『史記』などのお話が実は本当だったと分かってくる。古い本だという留保を前提に楽しんだ。
読了日:08月09日 著者:陳 舜臣


ドリアン・グレイの画像 (岩波文庫)ドリアン・グレイの画像 (岩波文庫)感想
まず、題名に違和感がある。画像とあるが、肖像が望ましいと感じる。「肖像とは、特定の人間の外観を表現した絵画や写真、彫刻である」。画像とは、「事象を視覚的に媒体に定着させたもので、(中略)定着される媒体は主に2次元平面の紙(後略)」とやや広義。本書の場合、まさに主人公の肖像画が狂言回しの焦点になっている。「ドリアン・グレイの肖像」が望ましい。
読了日:08月05日 著者:ワイルド


夏目漱石全集〈14〉 (1974年)夏目漱石全集〈14〉 (1974年)感想
書庫に眠っていた本。いつかはと思いながら、困難さを予感し、先伸ばししてきた。本書、読めば読むほど漱石は凄いと感じる。徹底して研究し講義する。こんな講義を聞いて理解できる学生も優秀なんだろう。昨夜の寝落ち寸前の箇所では、天才論が熱っぽく語られている。天才の多くは世に受け入れられず、理解されずに非業の死を遂げる。確かに、時代にあっさり理解されるようでは天才じゃないんだろう。つまるところは、己の信じるところを生き尽くすってことか。
読了日:08月03日 著者:夏目 漱石



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