円居挽「京都なぞとき四季報 町を歩いて不思議なバーへ」 | 行雲流水的くっぞこ

円居挽「京都なぞとき四季報 町を歩いて不思議なバーへ」

 以前、テレビゲーム「逆転裁判」の設定で書かれたミステリ小説「逆転裁判 時間旅行者の逆転」を紹介しましたが、その本をお書きになった円居挽(まどい・ばん)さんの別のミステリ小説です。

 京都での大学生活と、京都の観光名所をネタにした”日常の謎”ミステリとなっています。

 「京都なぞとき四季報 街を歩いて不思議なバーへ」


 円居挽(まどい・ばん)さんは、1983年奈良生まれ。2009年デビューの推理作家。


 主人公は、東京出身で一浪して京都大学に合格した大学一年生の遠近倫人(とおちか・りんと)。通称トーチカ。

 トーチカとは中学高校の同級生で親友、でも現役で京都大学に合格して、二年生の東横進(とうよこ・すすむ)が入っているサークルに、トーチカも誘われて入ることに。

 週末に京都の名所をぶらぶらと散策するサークル「賀茂川乱歩」(ダジャレか!笑)の歓迎会でトーチカは不思議な事件に遭遇する。

 以前、東横から、「京都大学構内のどこかで、何でも悩みを解決してくれるというバーが営業しているらしい。でもその場所は誰も知らない」という都市伝説みたいな噂を耳にしていたトーチカは、その噂を思い出す。何となしに京都大学構内をぶらついていると、真っ暗な校舎にポツンと一部屋だけ明かりが灯っているのを見つける。「もしや…」とその部屋の扉を開けると…



 京都大学構内のどこかで不定期に営業する不思議なバー「三号館」と、謎の女マスター蒼馬美希(そうま・みき)。

 代金はお金ではなく、不思議な謎をマスターの美希さんに話す事。出されるカクテルを飲むと頭が冴えて、たちどころに謎が解決してしまうんです。だから逆に、何かしら謎が無ければバーに来れないんです。


 他に重要な登場人物としては、同じ「賀茂川乱歩」サークル仲間で、トーチカが片思いしている一浪入学で同い年の一年生・青河幸(あおか・さち)。それに、「賀茂川乱歩」の部長で、京都の老舗会社の令嬢の二年生の千宮寺麗子(せんぐうじ・れいこ)。

 この二人とトーチカ・東横の、学年は違うけど同い年で同じサークル四人組が仲が良いんですね。

 月二回週末に行われる「賀茂川乱歩」の活動で何かしら謎が生まれます。新鮮な大学生活ですからね~(笑) ただ日常の謎ミステリなので、事件はあくまでも地味なものですけど(笑)


 そういう京都名所と片思い大学生と謎が絡まったミステリとなっています。

 作者の円居挽さんは有名な推理作家を多数輩出している京都大学推理小説研究会出身。まさに京都大学ですが、この小説の中には「推理小説研究会」ならぬ「京都大学ミステリ研」も登場します(笑)