来月の本番を前に・・・ | That's my line !

That's my line !

不肖久世恭弘が、疑問に思ったこと、感動したこと、驚愕したこと、憤慨したことなど、その未熟がゆえ、学習し向上して行く様を綴った成長記録です!

多くの方が来月の本番を前に、コツコツと順調に稽古が進んでいると思ってらっしゃると思います。

 

フフッ・・・!

拳銃を突きつけられた被害者のような、諦めの笑いしか出ません。

 

役者の凄いところは、どんな劣悪な環境の中でも何事もなかったように、自己を殺し、役に徹することができるところと、この年になって思います。

 

この業界は親の死に目にも会えないと言われます。

 

実際、私も本番中に親御さんが亡くなった役者と共演したことがあります。

他の役者に微塵も気を使わせないよう立ち振る舞って、こちらが胸が詰まる思いをしたほどです。

 

そんな彼も千穐楽の公演が終わると同時に、もちろん演出家の許しをもらって、観客の退場より早く劇場を後にし、その姿を見送った覚えがあります。

その後、カーテンコールに並んだ役者のほどんどが涙してたこともありました。

その時の座長は、無粋を嫌い、事の事実を観客には伝えませんでした。

お客さんは、役者の千穐楽での万感の想いなのだろうと敬意を示し、まさに万雷の拍手を送っていただきました。

 

本番が始まると何があっても幕を降ろしてはならない掟を背負って生きているのが舞台役者です。

観劇いただいてるお客様に写っている私どもには、別のドラマや思いも多々同時進行していることがあるのです。

 

人生を描いているものがドラマです。

ドラマを演じるのが役者。

人生というのは、アンビバレンツ(二律背反)の連続です。

なので、役者もアクシデントやトラブルにアタフタしているようじゃ一人前ではありません。

 

まず、公演を打つ時からアンビバレンツは始まっています。

劇場をおさえるのは、1年から1年半前。

まだ、キャストも決まってない状況からのスタートです。

劇団によっては、やる演目も決まってません。

松竹や東宝や四季のスターさんを扱うところは違うかもしれませんが、所謂、大劇場以外の劇場で開催する新作を上演する劇団やユニットは、そのようなものです。

 

うちなどは若輩ながら27年、62回ほど公演を行なってきてますが、ただの一度たりとも余裕をもって安心して公演を打てた試しがありません。

 

毎回、初日の幕が開くまでは気が許せません。

本番始まったって許せません。

本番が終わると気が緩み、救急車がらみの怪我もよくよく発生します。

そんな環境下、何事もなかったようにお客様の前で装うのです。

 

平成が終わって気がついたのですが、そんな生活が31年も続いております。

嘘つきではないのですが、大抵のトラブル、ハプニングには何事もなかったように振る舞う習慣がついているようです。

 

 

先日、鹿児島に帰りました。

毎年、恒例なのですが、上演する作品が鹿児島に因んでいるため、宣伝・営業を兼ね、この時期に鹿児島に帰ります。

 

 

縁のある慰霊碑にも、公演の成功を祈ってきます。

 

それは毎年のルーティーンなのです。

ですが、今回はそのルーティーンを打ち破る事が発生したのです!

 

半世紀以上も生きていて初めてした経験です。

アンビバレンツな劇団運営のトラブルには慣れていても、全く初めての経験です!

 

滞在最終日、慰労を兼ねて、地元で有名な焼き鳥チェーン店に出向く。

黒牛日本一、黒豚、黒鳥(?)で名を馳せてる食肉王国で食べる焼き鳥は格別で、満足して会計に向かった。

 

カードでの支払いをお願いしたところ、「じゃぁ、カードをお預かりします」といつものルーティーンだが、私の提示したブラックカードを鹿児島ではあまり見たことがないのか、従業員が次に発した言葉は・・・

 

「じゃぁ、暗証番号お願いします」

 

冗談かと思ったが、従業員の機器に向かって入力体制万全といった体勢に、「いや、それ俺が自分で・・・」と言おうとしたが、トラブルに慣れている私は、ある考えに至った。

 

『待てよ?!これ、実はドッキリかもしれない』

 

そう思った私は、店内にカメラはないか見回したが、店員が「暗証番号、お願いします」と再度請求したので、『こういうやり方で進行するんだぁ・・・』と思い、クレームを言っては負けだなと判断。

何事もなかったように堂々と「8329」と伝えた。

 

それからは、TVのドッキリ番組が気になって仕方ない状態で、芝居の稽古に支障が出てきてるほどである。

 

このようなケースのドッキリをご覧になった方、ご一報ください。