2009-11-01

わたしの恐怖体験 (20) 「ワイパー」

テーマ:わたしの恐怖体験

これもまた、久々の執筆。何でもないことかもしれないけど、一応記録しておきたいので。


今年の3月のことでした。出勤時に急に雨が降ってきたので、車のワイパーを起動したところ、窓がうまく拭けない。あれっ、ゴムが切れてる。しかも、両方?うわー、雨が激しくなってきたぞ、こりゃ大変だ!


視界が悪いのをこらえて運転し、何とか会社にたどり着く。帰りは晴れていたので問題なし。すぐにワイパーのゴムを交換しました。しかし、両方同時に切れるってどうよ。


そのすぐ後でした。従姉妹のY子さんが亡くなったという知らせを聞いたのです。Y子さんは、遠くに住んでいる親戚で、子供の頃はたまに会うこともあったんですが、大人になってからはほとんど会うこともなくなっていた、疎遠の女性。俺より5歳上で、リチャード・ギアが好きだったことを覚えています。優しそうな、素敵なレディでした。


聞くところによると、病気で治療中だったのですが、一時期病巣がきれいになくなって完治したかと思った矢先、脳に転移してしまって急変、入院先の病院で死亡…とのこと。詳しいことはわからないけど、40代半ばにして短い生涯を終えました。その亡くなった日が、俺の車のワイパーが切れた日と同じだったんです。




Y子さんは、几帳面な人でした。医療関係の仕事をしていて、頭脳も優秀。それだけに、苦悩も多かったのかもしれません。あの優しい、気さくな声が今でも忘れられません。


俺のお袋が、彼女の住んでいた部屋に入ったところ、一ヶ月以上留守にしていたのに、ホコリひとつ落ちていなかったそうです。本棚もキチンと整頓されていて、一冊も曲がっていなかったそうです。恐いくらい、綺麗な部屋だったそうな…。


人は、死に際に、色んな人にあいさつに訪れることがあるという。俺は、彼女の記憶にはあまり残らなかった男ですが、親戚の人たちの顔を見に来た時に、ついでに俺のところにも来てくれたのかもしれない。だとしたら、俺の家があまりにも汚くて、お怒りになったのかも。…その瞬間、ワイパーがブツッ!


う~ん、全然関係なさそうだけど、命日と重なるのが気になる。まあ、それだけだったので、あまり気にしなかったんですが…。実はつい先日、久しぶりに車を洗ったんです。そうしたら、何と後ろのワイパーもいつの間にか切れていたことが判明!その時にすでに切れていたのかどうかはわからない。普段、リアワイパーなんてあまり気にしないし、ワイパーが切れること自体は別に珍しいことじゃない。でも…。


気にしなければどうということはないけれど、妙に気になってしまうんですよね、こういうの。Y子さんは、どんな思いでこの世を去っていったんだろうか。考えずにはいられませんでした。




不景気で仕事が減って、休みが増えたので、普段やらない家のことを次々とやりました。障子紙を変え、草取りをして、家の片付けを始めました。まだまだ汚いですが、少しずつキレイにしていこうと思いました。


俺に、Y子さんのようなお姉さんがいたら、ビシバシ怒られながら部屋を片付けたんだろうな。そして、今よりももっと甘ったれの男になったかもしれない。Y子さんは今でも、俺にとっては憧れのお姉様であることには変わりありません。時間が許せば、もっと色々お話したかったなあ。


Y子さん、あっちの世界はどうですか?こっちより楽しいことがありますか?俺がそっちに行ったら、たぶんきっといっぱい怒られるだろうなあ。…う~ん、やっぱりコワいかも。


これからあの世に旅立つ方は、知らせるなら靴紐か湯飲み程度にして下さい。くれぐれも、ワイパーはやめましょう。やるならせめて片方にして下さい。両方はキケンですから!


切れたワイパーが拭ききれなかったガラスの水模様が、ユラユラとした視界が、ぼやあっとした感じで思い出されます。Y子お姉さん、今度はゆっくりと休んで下さい。お世話になりました。 …合掌。





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2008-08-15

わたしの恐怖体験 (19) 「呪いのケータイ」

テーマ:わたしの恐怖体験

朝起きると、どうも胸が痛い。あれれ、どうしたんだろ。さては、誰かに恋でもしたか。いやいや、そうじゃない。昨夜酔っ払って歩いていて、木にぶつかったんだった。


ケータイをいじりながらよたよた歩いていたら、街路樹を固定している添え木に左胸を強打。あまりに痛いので、整形外科でレントゲンを撮ってもらったら、幸い骨には異常がないとのこと。筋肉を傷めたんじゃないかということで、湿布を処方してもらいました。


だけど、よりによって左胸なんて…。つい最近の記憶がよみがえった。


実は、3年半くらい愛用していたケータイがいよいよ機能しなくなり、7月の始めに買い換えたばかり。今どきのケータイは薄くて、前に使っていた物の半分くらいしかありません。こりゃあ、すぐに壊れそうだと思いながらも購入。


その直後に飲み会があり、先日お話した仮面ライダーキバの写メールが送られて来たりして盛り上がっていた矢先、ケータイが壊れてしまいました。


どうも、開きっぱなしにして置いていたところ、上に何かが乗ったらしい。ディスプレイが破損し、画面が半分しか映らなくなってしまいました。待ち受け画面の電エースが、上半身しか映っていない!


仕方がないので、すぐに修理に。お店で見てもらったところ、画面向かって右側上部に、ヒビが入っていたとのこと。面の力にはある程度の強度はあるものの、1点に加わった力には極端に弱いらしい。トホホ、買ったばかりで修理代5000円…。


で、修理が済んで手元に戻ってきてからは、丁寧に使いました。しかし、あの夜、ケータイを持ってフラフラ歩いていたら、中途半端な高さに飛び出ていた添え木が、ケータイを持っていた手をすり抜けて、左胸に激突。一瞬、何かに突き飛ばされたような衝撃を感じてうずくまったけど、酔っている時ってあまり痛みを感じなかったりするもの。そのまま帰って寝ちゃいました。


よく考えると、ケータイが壊れた原因となった亀裂は、画面向かって右側上部。俺が強打したのは左胸。これ、ちょうどおんなじ位置になるんですよ。…うわあ、こりゃ呪いのケータイだ!すげえ!


ケータイが壊れた時は、俺が大ケガするはずだったのを身代わりで犠牲になってくれたのかもしれん、と考えようと思いましたが、どうも違うようだ。まるで、自分と同じ苦しみを俺に与えているように思える。


ははあ、お前、もっとキレイなおねーちゃんに使って欲しかったのか。まさかこんなオヤジに買われると思っていなかったんだろ。電エースを待ち受けに使うわ、最初に来たメールがおっさんのコスプレだわで、ケータイの怒りは頂点に達したに違いない。…あたしはそんな女じゃなくてよ!ああイヤ、もうガマンできない!たぶんその瞬間に、ピキッと亀裂が。


ケータイが壊れた約1ヵ月後、彼女(すでに女として扱われている)は、復讐計画を実行。俺が酔っ払っているのをいいことに、手頃な位置にある添え木に狙いを定め、俺の心臓めがけて巧みに誘導。自分はすれすれにかわして、見事に激突させることに成功。うずくまる俺を見て、舌なめずりして喜んだに違いない。…コノヤロウ。


まともなケータイなら、主人を守って自分が犠牲になるところを、コイツは主人に牙をむいた。ほほう、いい度胸じゃねえか。どうせ薄っぺらなテメエとおんなじチンピラ悪霊に手を貸してもらったんだろ。ふふふ…キサマ、ケンカを売る相手が悪かったなあ。俺はケータイを握り締めて言い放った。


いいか、よく聞け。これで俺が恐がってオマエを手放すかと思ったら大間違いだ。オマエは俺に金で買われたんだよ。ケータイの分際でイキがるんじゃねえ、このアマ!キサマには高い金払ってんだよ。その分、キッチリ働いてもらうからな、覚悟しろ!俺を呪い殺すのか?上等じゃねえか、死ぬ時は、テメエも道連れにしてやる!わかったか、誰が主人か教えてやる!


考えてみれば、歩いているスピードでぶつかったんだから、殺意はなかったのかもしれない。ただ、気持ちをわかってもらいたかっただけなのかもしれない。そう思えば、そんなに悪い気はしないもの。


これもきっと、何かの縁。俺が持つんだから、変わり者のケータイであっても不思議じゃない。コイツもきっと、何かワケアリの女なのかもしれない。わかったよ、もういいから、これからは俺のためにがんばってくれ。乱暴はしないから、優しくしてあげるから。


出合った早々、同じ場所をケガした者同士、もうしばらく付き合うしかない。まだ胸は痛みますが、ケータイはよく動いてくれています。ようし、いい子だ。ごほうびに画面をキレイにしてあげようか。おっ、ここが感じるか、よしよし、ここはどうだ、ウッヒッヒ…。


オッサンと薄型ケータイの奇妙な関係。また事件が起きたら報告するとしましょう。みなさんも、ケータイにナメられないようにご注意。いい夏休みをお過ごし下さい。





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2008-04-12

わたしの恐怖体験 (18) ~ドッペルゲンガー疑惑~

テーマ:わたしの恐怖体験

これもまた懐かしいコーナー復活。なかなか恐怖体験ってないもんですねえ。でも、どんなショボい内容であっても、細く長く続けていきたい。


2月15日のこと。いつものように出勤したら、専務(社長の奥さん)に声をかけられました。 『…あんた、昨日の夜に会社に来た?』


昨日はバレンタインデーだったから、妻と娘の手作りチョコを前にずっと飲んでたから、会社に来ようはずもない。『…いや、来てませんけど。』 『…あんたのIDカードがチェックされているんだよね。』


どうやら、昨日の夜12時過ぎに、俺のカードを使って会社に入った人間がいるらしい。鍵とセキュリティは別で、IDカードは入り口のカード入れに並んで入っているので、誰かが間違えて俺のカードを使ったのかな。


でも、誰に聞いても、来た人はいないと言う。記録にあるから、誰かが俺のカードで会社に入ったことになっている。…そんなバカな!


まさか、俺が夢遊病者のように車を運転して、会社に来て…。うーん、そんな夢もみていないしなあ。機械の周りを見ても、何かやった形跡がないしなあ。変だねえ。


あー、そうか。俺があまりにも仕事熱心だから、もう1人の俺が分離して、代わりに来てくれたんだ。すげえ。これはいい!この能力をうまく使えたら、一度に2つの映画館に行けるじゃん。素晴らしい!ようし、今日から特訓して、うっしっし…。


そんな風にニヤニヤしながら仕事してたら、お昼前になって、また奥さんが登場。『…ごめ~ん。あたしの勘違いだったわ。』 …えっ?


どうやら、正確には13日の深夜らしい。ははあ、「ウォーター・ホース」 と 「チーム・バチスタの栄光」 を見に行った夜だ。映画が終わった後に、機械の様子を見に会社に来ている。確か12時を回っていたなあ。日付としては14日に記録されるから、奥さんが間違えてしまったというわけ。…なあんだ。


実は、何年か前に、うちの会社の女子社員が、新潟市内の映画館で俺を見たことがありました。でも、俺は家族と一緒にいたのに、若い女性と一緒だったと言われて困惑したことがあります。見間違えだろうと思ったんですが、あまりに真剣に主張するので、首をかしげた記憶があるんです。


だから、今回の話でそれに弾みをつけようと思ったんですが、ちぇっ、て感じですね。ああ、ガッカリ。約3時間くらい、色んな想像をして楽しかったから、記録に残します。え?恐怖を感じてないって?いやいや、恐かったですよ。当たり前じゃないですか、あっはっは。


ドッペルゲンガーって、何だカッコいいじゃん。映画 「ドッペルゲンガー」 のように、2人の俺が永作博美を振り回す展開を想像しちゃいました。うふふ…あ、恐かったんですよ、ホントだって!


今回はハズレでしたが、自分の隠れた能力は、まだまだあると思う。とりあえず、次の機会を待つとしましょう。





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2007-10-21

わたしの恐怖体験 (17) ~逆座敷わらしの呪い・完結編~

テーマ:わたしの恐怖体験

どうやら、気のせいだったようです。おかげさまで、もう恐怖はなくなりました。


以前お伝えしたSビルのスナックSが、突然閉店した時は、正直またかという思いが強くて、かなりヘコんだものです。ところが、つい最近、リニューアルオープンしたんです。


すぐには行けなかったんですが、先週、初めて顔を出しました。そしたら、おんなじ面子で、店もほぼそのまんま。何だか、とても懐かしい。店の名前は、スナックSからスナックBになりました。


マスターはあいにく不在でしたが、従業員のTちゃんがあたたかく迎えてくれました。カウンターに座って、静かにため息をつく。これこれ、この感じ。やっぱり通いなれた店っていいなあ。


たまたま客が誰もいなくて、俺の貸切り状態でした。映画の話をして、ホロ酔いになったところでカラオケ1曲目。歌はもちろん、キタジマの 「ジャンゴ」!いいねえ、この店で歌うのは気持ちいい。


マスターから電話が入ったので、少し話す。変わらない声。ああ、俺の中で崩れていったものが、少しずつ再生していく。封印された感情がよみがえってくる。心の回路が動き始める。


7曲ほど歌ったところで、お勘定。お、安いじゃん。へえ、居酒屋料金になったの。じゃあ、居酒屋Bか?それなら、表の看板なんとかしろ。これじゃ、怪しいスナックだって。


店から出て、代行で家に帰る。ずっと感じていたわだかまりが、ゆるやかに溶けていく。その日は、よく眠れました。


一方、NビルのスナックB(あ、こっちもだ)は、相変わらず接客ムードがありません。でも、すっかり常連になったので、今ではガンガン語りまくっています。俺もヨッパライのプロにならねば。こっちはこっちで、ちゃんと通ってます。やっぱり男は、行きつけの店がひとつやふたつないとね。


映画を見るのは入力。ブログで吐き出すのは出力。でも、それだけじゃ吐き出せないものもある。人にグチったり、語ったり、聞いてあげて消化される感情もある。そういう、いい循環をしないと、人は生きるバランスを失うのかもしれない。そうそう “いい人” ばかりでもいられないもんです。


もともとがマイナス思考の人間だったから、何か悪いことがあると、自分のせいじゃないかって思う時がある。それがいつしか、逆座敷わらしというキャラになってしまったのかもしれない。雨男みたいにね。


今回で、この話は終わりにします。もう、恐怖を感じなくなったから。スナックが儲かろうがつぶれようが、俺のせいじゃない。そんなに金つぎ込んでないしね。だから、店があるうちは通い続けたいと思います。


客にとって理想の店があるように、店にとっても理想の客というものがある。俺は、そういうことを考えるんです。店にとって、来て欲しいような客になるように努力する。その客に対して、店はその客に喜んでもらえるように接客する。それが、望ましい関係だと思うんですね。


だからもう、余計なことで悩まないことにします。どちらもバランスよく通って、いい酒を飲みたい。来てよかったと思いたいし、来てくれてうれしいと思われたい。そういう飲み方ができるのが、プロの客というものでしょう。


よし、これで大丈夫。もう悩まない。やれやれ…。あれ、そういえば、NビルのスナックBのママはB型。共同経営者の姉(ヤマンバ)もB型。一方、SビルのスナックBのマスターもB型。従業員のTちゃんもB型…。あれ、俺ってB型…。ああ、Bだらけ。何もかもBばっかりじゃん。もしかして血液型の呪い…Bの悲劇…いやいや、類は友を呼ぶ…いやいやそれも…。まあ、そんなのカンケーねえ!



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2007-05-17

わたしの恐怖体験 (16) ~逆座敷わらしの呪いⅡ~

テーマ:わたしの恐怖体験

GWが終わってから、しばらく “休業” 状態になってました。いえ、体の具合いが悪いわけではなく、単なるサボリです。今日からぼちぼち再開といきましょう。まずは、どうでもいいような話から。


このコーナーも、本来の恐怖テイストが薄まり、すっかりお笑いコーナーになりつつある今日この頃ですが、そこはまあ、少しでも恐怖と戦慄を感じたら、立派な恐怖体験ということでお許し下さい。


前回に引き続き、飲み屋事情のネタです。今回は少し長くなるので、映画の記事を待ってた方は読み飛ばして下さってOKです。


さて、Nビルのスナック “K” がつぶれて以来、行き場を失った俺は、Sビルのスナック “S” にしばらく通いつめていました。


そこは、俺より少し年上のマスターと、女の子が日替わりで2人くらいの、ちょうどいい感じのお店でした。会社のすぐ近くということもあって、夜中に機械の様子を見に行った後に寄り易い場所。そこに去年の秋くらいから通い始めて、今年に入った途端、“異変” は始まりました。


まず、女の子のうち1人が、家族に病人が出て辞めることになりました。そして、つい先月、マスターが通風でダウン。それがよくなったのもつかの間、もう1人の女の子の、子供を預かってくれる人が入院することになり、しばらく休むことになってしまって、お店は開店休業みたいな状態になってしまいました。それに加え、マスターの奥様も病気で入院することに。


…これって、俺が通ったせい?いやいや、そんなことは…と思いながらも、やっぱり気になってしまう。通い始めた頃は、あんなに活気があるように見えたのに。わからんもんです。


現在、マスターは注射を打ちながら、何とか店をやっています。唯一の女の子は、来たり来なかったりだけど、何とかやっているみたい。俺は、がんばって通ったらいいのか、行かない方がいいのか?


うーむ、こりゃいかん。このままでは、この店もいずれどうなるかわからん。何とかせねば。


そこで、ここはひとつ、もう1軒新しい店を開拓すればいいかな、と思いました。店を2軒にすれば、呪いも半分になるに違いない。ホントはずっと同じところに通うのが好きなんだけど、この状況を打開することが先決。


そう思っていたある夜のこと。Nビルの前で信号待ちをしていて、何となく見上げると…かつてスナック “K” があったところに光が!薄ぼんやりと、まばゆく光るその白い看板を見つけたのでした。


最初は気のせいかな、とも思ったんですが、翌日にも通ったら、やっぱり点いている。そうか、きっと新しい店が入ったんだ。そう思って、とりあえず行ってみることに。


懐かしい階段を上がって、看板を確かめる。その名もスナック “B”。 おなじみの重い扉を開けると、店内に客は誰もいなくて、カウンターの向こうでヤマンバみたいな女がポツンと座っている。『…こんばんは。』 と俺。 『…こんばんは。』 と彼女。 …両者、しばらく沈黙。


『…あのう、やってますか?』 『…やってますよ。』 …おいおい、いらっしゃいませくらい言えよ。


どうやら、2月くらいにオープンしたばっかりのお店らしい。どうやらその日は、ママが不在らしく、ヤマンバの正体はママのお姉さんだそうな。無愛想だけど、ユルい感じでいいかも。お店の内装はそのままだったので、何だか少しうれしかった。


とりあえずローヤルのボトルを入れて、軽い話をして、2~3曲歌ってその日は帰りました。最後まで客は俺1人。何だか幻を見ているようで、変な気分でした。次の日に行ったらすっかり何もなくなっていて、あのヤマンバは実はタヌキか物の怪で、財布に入っているお釣りの札も葉っぱになってたら笑うよなあ。 …おお、岩井志麻子の怨霊か?そりゃすげえ。こりゃ面白い記事が書けるってもんです。


でもどうやら、現実に存在するお店のようでした。 …そうか、やれやれ。でも、ある意味…ちぇっ。


それから数回通って、顔を覚えてもらい、今度は友達も連れていくことに。かつてのスナック “J” の強力な面子に声をかけたところ、みんな気持ちよく集まってくれました。


同行したのは、神通力を持つお寺のお坊さん “スキンヘッド” KZ氏、「真夜中の弥次さん喜多さん」 を2人で見に行ったYDくん、そして、特撮ヒーロー好きな “キング・オブ・マニアック” YJさん。この強力なメンバーで、Nビルの悪霊と対決だ!


KZ氏が 「千の風になって」 を歌うと、ホントに感慨深い。死者に近いところで仕事をしている彼の声は、霊たちにとって鎮魂歌となるでしょう。俺の悪霊もついでに鎮めて下さいな。


新譜から始まり、韓流、洋楽、懐かしのメロディーをハモリでやったりして、盛り上がったところに、11時過ぎに遅れてYJさんが登場。…おお、来たな、ヘンタイ。今回は、ホームランバーのTシャツを着用(爆笑)。マニアックで、憎めない兄ちゃん。彼はボロボロに疲労していて、今にも死にそうな感じでしたが、おかまいなしに俺は、「仮面ライダーBLACK RX」 を入力。


『…おおっ!』 BLACK RXの勇姿が映像で流れた瞬間、今までうなだれていた彼が急に背筋を伸ばした!YJさん、スイッチオン!1、2、3! …ひっかっりっのトンネル、身にまとっい~。 まさに、水を得たサカナ。いいぞ、YJさん、そうこなくちゃ。あんたはやっぱり素晴らしいシンガーだ! …WAKE UP THE HERO、燃え上がれ!


言うまでもありませんが、それからしばらくの間、アニソンと映ソンが15曲くらい延々と続きました。勇者ライディーン、人造人間キカイダー、カムイ外伝、鉄人タイガーセブン、必殺仕事人、蒼き流星レイズナー、北斗の拳、ルパン三世、フラッシュダンス、フットルース、トップガン、ロッキー…うわははは、スナック “J” の頃の興奮が甦る!悪霊もびっくり。


だんだん調子にのってしまい、飲み屋のお姉さんにもキャッツアイとか歌ってくれました。そして小公女セーラ!なかにし礼作詞の 「花のささやき」 は、やっぱり心にしみる。お水系の人が歌うとなかなかいいじゃん。俺の背後の悪霊も一気にヒートアップ!この店は、“そういう” 店じゃないんですが、勢いがついてしまったものはしょうがない。行くところまでイッちゃいましょう!


この店の前身、スナック “K” がつぶれた時、アニソンをガンガン歌ったのがいけなかったかな、なんて思ってたんですが、それはそれ、これはこれ。ホントにそうなのか、確かめてやろうじゃないの。 …歌え!叫べ!きらめく稲妻、轟く雷鳴!


実際、飲み屋に着てアニソン歌う客ってそんなにいないでしょう。でもね、飲んで歌うアニソンもまたいいもんなんです。オトナの歌い方できるもんね。ふふふ、「ロッキー・ザ・ファイナル」 の記事でガキ扱いした諸君、お詫びします。俺の方がガキでした!いいじゃん、ガキばんざい!電流火花が体を走る!…もう、誰も止められない。


“歌う” という行為は、精神衛生上とてもいい。魂を浄化し、心の毒を洗い流してくれる。俺にとって、映画や読書は入力。カラオケが出力。そして、友達や家族と話したり、文章を書いて吐き出すこともまた大事な出力。そうやって、俺の命は循環しているんです。だから、このブログもまた、俺の大事な生命線。言いたい放題なので、読まされる方はたまんないでしょうけど。


だから、逆座敷わらしの呪いがあろうとなかろうと、俺のこのスタイルは変わらない。迫害あれば、さらに強固になる。金を払って、酒を飲み、好きな歌を歌う。新譜だろうが懐メロだろうがアニソンだろうが、いいものはいい。いい歌を歌って、心を元気にしたいだけ。世の中に、こんなオッサンが1人くらいいてもいいでしょう。いや、すでに4人か。


この間、開店3ヶ月のパーティーに呼ばれて行ってきました。常連がみんな来たらしく、ヨッパライのパワーに圧倒されっぱなしでした。俺は、酔っ払ってもあまり変わらないって言われるもんで、昨夜はおとなしめなキャラになってました。だって、みんなすごいんだもん。とてもたちうちできません。いいなあ、みんなプロのヨッパライで。


俺って、ガハハオヤジみたいに豪快にできないもんで、何だかタジタジでした。そりゃそうだ、みんなやる気まんまんなヨッパライばっかり。当たり前だよね。中には、品のある人もいるんでしょう、きっと。何だかワケのわかんない内に終わっちゃったけど、こういう機会は勉強になるので、行ってよかったと思います。もっと修行しなきゃ。


ただ、この店では 「エレジー」 だけは毎回歌わされます。みんな歌えって言っておいて、いざ歌うとエロいって言われる。イヤだなあ、もう。まあ、見てなさい。まだ通い始めて1ヶ月だから新米だけど、そのうち奴らと張り合うヨッパライになって、好きな歌を思う存分歌える度胸を身に付けてやる。負けんぞ、ヨッパライにも、悪霊にも。


とにかく、この活気なら、当分この店は大丈夫でしょう。2つのスナックに分散した呪いは、悪霊は一体どうなるのか。つづきがあるかどうかは、悪霊諸君に委ねましょう。ガンバレ、悪霊ども!


最後に余談ですが、ヤマンバの姉さん、つい先週、交通事故で車が大破しました。右腕に後遺症が残ったそうな…。フーン、そりゃ大変でしたねえ。でも、俺のせいじゃないよね…?


そして、つい昨日、スナック “S” が閉店するという知らせを聞きました。 …おお、何てこったい!このシリーズ、まだつづくのか?関係ないんだろうけど、関係あると思った方が面白いから、つづきはまた今度ということで。



   (…明日より、映画の記事を再開します。期待しないでお待ち下さい。)




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2007-02-07

わたしの恐怖体験 (15) 髪の長い女

テーマ:わたしの恐怖体験

これは、もう10年以上前にスナック “J” のカウンターで、年下の飲み友達H君から聞いた、生々しい話です。最近になって急に思い出したので、ついでに紹介しておくことにします。


ある夜、農道(いわゆる田舎道)を、深夜に車で走っていた時のこと。走行中に突然車の調子が悪くなり、止まってしまった。しかも、エンジンがかからない。


困った、と思った瞬間、後ろから人が近づいてくるのがわかった。ゆっくりと…。


それは、生きている人間じゃなかった、とH君は思ったそうな。彼はこれ以外にも、いろんなモノを見ているらしく、どうやら霊感があるらしい。直感的に、この世のモノじゃないと思ったそうです。


バックミラーに写る白い影。髪の長い女が、ゆっくりと近づいてくる。一歩、また一歩…。


やがて、運転席のすぐ横まで来て、じっとこちらをのぞきこんでいるのがわかる。でも、金縛りにあったように、体が動かない。視界の隅の方で、射るような視線をモロに感じたそうです。


…恐怖に凍りついたのもつかの間、“彼女” はすうっと消えたそうです。


同時に、体の自由が戻る。慌ててエンジンをかける。…快音がして、エンジンがかかる。急発進をして、H君はその場を離脱したそうです。


H君は当時まだ20歳そこそこで、美少年タイプでした。俺と違って、女にはモテる方だったから、過去にヒドい目に合わせた人もいるんでしょう。俺は言ってやりました。


『…そいつ、前にフッた女じゃないの。悪い奴め。よく思い出してみろよ。』


『…そんなワケないですよ。全然知らない女。感じでわかりますよ。』


『…そうか、じゃあ…、やっぱり幽霊かもな。』


『…やっぱり、そうですかねえ…。』


『…ということはさあ、たぶん…。』


『…え、何ですか?』


ちょっと手招きして、顔を近づけて、俺は真顔で言いました。


『…お前は、その女の好みのタイプじゃなかったんだよ。…フラレたな!』


2人は爆笑して、ナンパユーレイにカンパイして、また飲み続けたのでした。



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2007-02-07

わたしの恐怖体験 (14) それでもボクはやってない!

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「それボク」 を見た時の映画館での “冤罪” について、もう少し詳しく話しておこうと思います。


その日は、時間がかなりおしていて、劇場に着いたのが開場時間ギリギリでした。


飲み物を買うヒマもなく、チケットを握り締めて、場内へ。すでに予告編が始まっていました。


しかも、奥の席しかとれなかったので、『すいません』 と言いながら、人のヒザの前を通って、ようやく着席、ひと安心。


…でも、その席がいけなかった!


開始早々、隣りのオヤジがバカ笑いを始めたんです。特別そんなに笑うところでもないような場面で、思いっきり笑う。


別に、笑うこと自体は問題ないんだけど、それにしても品がない。その人につられて笑う人が増えてきたのはいいんだけど、やっぱり何だか変な感じ。


だんだん周りの人も “おかしい” と思い始めたらしく、笑い声がする度に後ろを振り返る人がチラホラ。


…でも、その人達の目線は、どうやら俺の方に注がれているみたい…え?


ああ、そうか!遅れて入ってきた男が奥の席についたことはみんなが見ている。その方向から声がすれば、そいつだと思い込んでしまう。 …しまった、なんてこった!


しかし、私語をして迷惑かけているわけではないので、注意もしにくい。『もうちょっと静かに笑ってくれませんか』 って言うのも何だしねえ。 …ああ、ちくしょう。


俺は、映画館では割りと静かに見ている方です。(当たり前だ) そんなクールな俺のプライドは、無残にもズタズタに…トホホ。


ああ、恐い。冤罪って恐い。人の思い込みはもっと恐い。ああ、誰か、俺が笑ってないことを証言してくれ!


全く、主人公同様、冷や汗かいた映画になってしまいました。すごい緊迫感。被告人の俺は、映画が終わるまでずっと拘留されていたというわけです。


人間相手だと、真実もウソもない。相手がそう感じたら、それが事実になってしまう。その恐さ。これ、やっぱりホラー映画かも。


やがて、エンドクレジットが終わって、場内が明るくなってから、みんなの視線を集めた俺は、立ち上がるオヤジの全身をなめるようににらんでやりました。…みんな、真犯人はこいつだぞ!


まあ、どうでもいいことだし、別にいいんだけど、今思い出してもまだイライラしてしまう。こりゃ、トラウマになるな。


やい!1月21日にワーナーマイカル県央15:40からの回で、中段の左から3番目に座ってたクソオヤジ!俺の青春の光と影をもてあそびやがって!まったくお前のせいで、映画が異常に盛り上がったじゃねえか!どうしてくれる!



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2007-01-30

わたしの恐怖体験 (13) 消えるスナック ~逆座敷わらしの呪い~

テーマ:わたしの恐怖体験

去年の夏、1年くらい通っていた、Nビルにあるスナック “K” が突然閉店しました。


もともとヤバそうな予感はあったんですが、直感的に浮かんだのは、“またか…” という言葉。


どういうわけか、俺が通った飲み屋は、ことごとく消えていってしまう。過去にも3~4軒はあったと思う。


Nビルには、もともとスナック “J” という老舗があって、俺の20代後半の青春時代を支えてくれた、貴重なフィールドでした。


それが、俺が結婚してまもなく閉店。寂しさにうちひしがれているところに、同じビル内に出来たお店が、“K”。


その存在を知ったのは、一昨年の秋でした。なつかしい階段に、薄気味悪いビル内。何だか息をふきかえしたように、足しげく通ったもんです。 …でも、それも1年も続かなかったた。


あのビルには、幽霊が出るらしいという噂もあった。いろんな怪談話もあったみたいだけど、俺はそんなの関係ないもんね。幽霊と一緒に飲めるなら、それはせれで望むところってもんです。でも、1回も出くわさなかった。残念。


“K” のお客の中で自殺した人がいたって聞いたこともあったけど、それは店のせいじゃないから、俺は気にしなかった。


“K” をしきるTママは、作家の岩井志麻子に似ているマニアックな美人。(註・ホメ言葉です) お店のエンジェル達は、オトナの女性Nさんを筆頭に、ワイルドなAちゃん、おっとりしたHさん。他に、ガハハなYさん、しっとり系のYさんもいたけど、どちらもやめてしまった。ガハハな方は、酔っ払って客にからんでクビになった。ガハハですな。


この店は、とにかくノリがよかった。何を歌ってもOK。常連にも歌好きが何人かいて、HさんとTさんには特によくしてもらいました。そして、用心棒のMさん。…ああ、今となっては懐かしい。


酔っ払って歌うと、時たま霊現象みたいなものが起きる時がある。いわゆる “霊動” ってやつでしょうか。何となく、この歌が歌いたくなって歌うと、心の奥がジーンとなる感じ。これって、霊たちも一緒に歌ってるんですよ、きっと。


“鎮魂歌”って言葉があるでしょう。歌というのは、魂を鎮める力があるんだと思う。酔っ払ってるせいだ、と言うのは簡単。でも、それだけじゃない何かがあると、俺は思いたい。その方が面白いしね。


思えば、スナック “J” では、アニメオタクを20人くらい連れて行って真夜中のアニソン大会をしたっけなあ。今では伝説になった “キリン座の夜”。この日以降、この店は何でもありになった気がする。オタクの霊もたくさん集まってたりして。


スナック “K” では、最後に行った時に同級生のYと、「真夜中の弥次さん喜多さん」 を熱唱したっけなあ。…う、それがいけなかったりして。


やっぱり、俺の背後のマニアックな霊たちが、店に棲みついた霊とナワバリ争いをするんだろうか。俺に憑いている奴らも、きっと相当のツワモノがいそうだから、ケンカとかしたりしてね。自分の意志とは関係なく、スナック道場破りをしている感じ。


つい先日、“元締め”である居酒屋 “M” のママに話を聞き、どうやらつぶれたらしいことがわかりました。そうか、よかった。何か事件に巻き込まれたわけじゃないんですね。てっきり、岩井志麻子に間違えられて殺されたのかと思ってた。


そういうわけで、店がつぶれたのは、きっと俺のせいかもしれない。ゴメンね。どうか恨まないで下さい。


俺が通うと、店が消える。俺が行かなければ、店は続いたんだろうか。そう思うと、恐い。でも、行かずにはいられない。何故かはわからない。そんなもん、背後霊の連中に聞いてくれ。


スナック “K” は、いいお店だったと思う。ホントですよ。Tママ、あんたはいい仕事ぶりだった。1年足らずの短い間だったけど、楽しい時間をありがとう。いい思い出として胸にしまっておきます。


ちなみに、今俺は、Sビルにあるスナック “S” に出入りしています。ここで相変わらず映ソンとアニソンを歌いまくっています。でも、店のノリはイマイチです。まあ、しょうがないか。さて、ここはいつつぶれるのか。…ムフフ。


今度、Tママに会うことがあったら、ずっと言いたくて言えなかったことを、今度こそ言おうと思います。 『…岩井志麻子に似ています、絶対!』



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2007-01-30

わたしの恐怖体験 (12) 暴走!ルート116

テーマ:わたしの恐怖体験

これもいい加減、“時効” だと思うので、お話しておきます。


あれは、もう10年前くらいになりますか。当時付き合っていた彼女と、「スピード2」 を見に行った帰りのこと。


新潟市街の地下街のうどん屋で、突然別れ話になりました。付き合って3ヶ月だったんですが、どうもウマが合わず、こりゃ時間の問題だな、と薄々感じていたので、そら来たってとこですね。


怒りっぽい彼女に一方的に責められ、なじられる俺。9歳も下なので、なかなか言葉も見つからず、押されまくって、結局別れるハメになりました。


もともと俺も嫌気がさしてきたところだったので、ちょうどいい。 …じゃあ、終わりということで。


しかし、俺には1つ誤算がありました。その日は、彼女の車で出かけていたんです。


『…電車で帰る。』 と俺。 『…いいよ、送っていく。』 と彼女。 結局、断りきれずに乗せられる俺。


しかし、そこからが “地獄” の始まりだった!


気が立っているせいか、彼女はアクセルを踏みまくる。スピードが出る。 バカ踏み&猛スピード!


…ああ、信号が赤!…センターラインはみ出てるって!…うわ、ぶつかる!…人が横断する!…そっちの車線じゃないって!


俺は生きて帰れるだろうか。まさに、「バニラスカイ」 のトム・クルーズ状態。


きっと、彼女は俺と心中するつもりなんだ。ああ、この若さでこの世を去るのか…。


時間にして、40分くらいだったんですが、俺には1時間にも2時間にも感じられました。寿命が縮まる思い。


やがて、家に着きました。もう、ヘトヘト。ふう、なんとか生きてるみたい。


『…元気でね。』 満面の笑みがイヤラシく感じたものです。…ちくしょう、ションベンくさいガキめ!おぼえてろ!


皆様も、恋人の車でデート中に別れ話が出た時はご注意を。…てなところで。 (END)




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2007-01-28

わたしの恐怖体験 (11) 線路に落ちた男

テーマ:わたしの恐怖体験

「オトシモノ」 を見ていて、思い出したことがあります。


あれは、俺が20歳くらいで、横浜で働いていた時のこと。仕事を終えてJR関内駅に着いたところ、後輩の女性(19歳)とたまたま一緒になり、駅のホームで立ち話なんかしていました。時刻は夜9時くらいだったと記憶しています。


もうすぐ電車が来るって時になって、泥酔したオヤジ2人が、ヨロヨロとホームを歩いて来ました。ヤセ型の男と、太った男。どうやら太った男の方が、足元がヤバそうだ。


そしたら、案の定よろけて、『うわー!』 …どさっ。 太った男は線路に落ちてしまいました。


一瞬騒然となったホームでしたが、相棒のヤセ男が 『おーい、大丈夫か』 って叫ぶと 『おー。』 なんて答えてる。やれやれ、呑気な奴だなあ、…なんて空気になった次の瞬間、電車がものすごいスピードで入って来た!


ガタンガタン、ゴォ──という音の中に、周りの悲鳴が重なって、その場にいた誰もが凍り付いてしまいました。


やがて、電車が止まると、駅員が駆けつけて来て、ヤセ男とともに、ホームの下を覗き込んでいる。固唾を飲んで見守る人々。


ふと後ろを向くと、後輩の女性がうずくまっている。どうやら怖いらしい。両手で顔を覆っている。 …へえ、ふだんコワモテなのに、こんな時は女みたいになるんだな、なんて感心しながら、とりあえずなだめる俺。


『…大丈夫だよ、きっと。たぶんホームの端の方に落ちたと思うから、轢かれてないよ。』


『…でも、動いたら轢かれてるかも。』


『…いやあ、酔っ払ってるから動けんだろ。』 (なかなかコイツも、想像力豊かだなあ)


そうこうしているうちに、駅員とヤセ男がホームの下に下りて、何やらワイワイ言ってる。周りの人の様子から察すると、どうやら大丈夫みたい。…やれやれ、人騒がせなヨッパライめ。


『…大丈夫みたいだよ。』


『…本当に?』


『…ちゃんと生きてるって。どうってことない。』


そう言った俺の顔を見上げて、恐る恐るホームを見る彼女。


…その瞬間、すごい光景が!


2人の男に支えられながら、ヨッパライ男が姿を現した。しかも、顔面からほとばしる、怒涛の流血!


『…ヒィ───ッ!』 カウンターパンチを食らった彼女は、失神寸前。慌てる俺。 …ああ、なんてこったい。


震えが止まらない。言葉が出ない。もはや、なだめるすべもない。流血バカは悠々と退場。オロオロする俺。


そのうち、彼女の先輩たちが駅にやって来る。 『…なにしてんの、あんた!』


説明しようにも、彼女たちの、俺を責める目・目・目。 …ああ、コワい。俺はきっと殺される。


血ィ流したオヤジよりも、奴らの殺気あふれる視線の方が恐ろしい。きっと、どう弁解しても聞かんだろうな。


そんなわけで、その翌日から、その子はちょっぴり大人しくなりました。 …ようし、次はもっとスゴいもの見せてあげようじゃないの、なんて思う俺でした。 (END)




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