美味しい靴を作る職人をめざして | 外反母趾と戦う靴職人の日記

美味しい靴を作る職人をめざして

こんにちは、


靴を作る仕事、靴の職人は分業で行われる事が多く、

一足の靴を責任を持って一人の手で作り上げられる人は少ない。

それに加えて、木型をも作る人いるのかな?

僕は、靴を形にする事は当たり前に出来ることだと考えるので、

木型を重要視し作る事に気持ちの8割くらいは入れていると思います。


靴職人は昔から綺麗にミシンをかけることや、綺麗にまとめる仕事を

職人の誇りとして競う事が多いのですが。

でもそれは、履きやすさを無視し続けている事にすぎない、と僕は修行時代に感じてきました。




靴製造メーカーに属す、靴職人の親方について職人の修行をしてきたのですが、

朝8時30分から夜9時まで働き

大都会で月給8万円、その中から家賃5万4千円を払い、

それこそ銭金に出るような貧乏生活でした。


先に述べたように、職人の仕事は分業です。

僕の親方は甲革師。

裁断された靴の部品を漉き、底をつける前の靴、アッパーと呼ばれる革をミシンをかけたりしながらまとめていく仕事を基本としていました。

新しい靴の見本やデザイン、型紙も作ることもしていたので僕にとってはよい勉強になりました。

職人の給料は、基本としては一足の単価の仕事としています。

足数を多くこなすだけ収入になるのですが、職人の給料は時給に変えて考えても

良い仕事でも千円いくかな?・・・くらい。

分の悪い物で700円くらいだと思います。

これでは、職人に魅力を感じて人も来ませんし、親方も大変です。

僕の月給にもしぶしぶ納得です。


僕は早く仕事を覚えるために7時とかに仕事場に行き、

革漉きやミシンの練習を革のくずを使いしていました。

そして、修行をしているうちに、

どこのメーカーも競争をしているのですが、売れるデザインの靴を作る事を重視していたり、

数を多く上げる事を良いことだと考えているため

履きやすさを重視して、人の足のことを十分考えての靴作りは既製品では難しく、

自分は職人をやっていく事が良いのか迷い悩んだこともありました。

結局迷う時間は無駄なので無理にでも先に進み、良くも悪くも見定めるのが僕の性格ですので、

目先を変える、違う視点も経験し、見る、まず手を動かす。

積極的に考えようと思い、

親方についての仕事は仕事ですが、仕事後、実は、他の靴メーカーの社長を訪ねて行き、

靴の底をつける作業、底付け師の仕事をこっそり手伝い、勉強しに行きました。

無給です。


すごく良い経験と分業の固定観念は僕には無く、一歩目江に出て、積極的に考え、時間がかかっても自分を、何かできる事を、出来るのなら人のやらないできるだけのことをしたい。

そんな思いがしてきて、勇気や希望が出来た気がして、

一足の靴を一から作れる可能性を感じるようにも成りました。


その当時、現実を見れば毎日が辛かったのは本音です。

自分を盛り上げて、逃避している事も分かっていましたが、

無理にでも逃避させなければ、くじける自分がいることも分かっていたので

余分に、現実を見る事を考えない毎日でした。

今、考えれば自分の現実を見ないで、殺していた時期があるから、靴一足、

木型から作れる自分がいるのだと思います。

若い頃に良い経験をしてきたのだと思いますし。

あのときの事を考えれば本当に良い仕事をさせていただいていると思います。

まだ先を考えて靴を作ろうと考えています。


自分なりの話していない事がたくさんあるのですが、

きっとあの時を通れたか、通れないかで僕の人生も、今の靴作りも無かったのだと感じます。

それと、僕は靴職人ではなく、最初は料理人を目指して中途半端にも修行してきた事が、

役立っているのだと思います。

今でも、良くいじめ、かわいがってくれる る・ぽとふ のシェフや、ビストロ・プロバンスのシェフに感謝します。


おいしい料理を作る料理人を目指しました。

最初は。

今は、おいしい靴を作ります。