開発担当 楠野博美
海外からロットで注文が入って始めたクレーン系のゲーム作りが、
ものの半年も経たないうちに偽物の登場によって、生産を打ち切る
ことが最近起こったりしました。
せっかく作った苦労の結晶のような発明品がいとも簡単に躊躇なく
模倣されるのですから、海外との取引は何ともやりきれない気持ち
になります。
しかしながら、私はコピー被害者の立場をとりながらも、
考え込んでしまうことがあります。確かにコピー行為は浅ましく、
嘆かわしい行為ではありますが、考えてみれば昨今のモノ作りは、
商品のコピーを奨励しているようにも見えて仕方がありません。
というのは、私の父親でもある先代の社長が作っていた遊園地用
スマートボールやパチンコなどは、コピー被害にはあまり遭いません
でした。
模倣業者がコピーしようとしても骨が折れる上に、例え懸命に
機械のコピーをやり遂げたところで、製品出荷検査で不適合を出して、
結局はその対応に多くの手間暇をかけることになるからです。
先代社長はゲーム機作りに必要な部材を全部自分で作っていました。
会社には手で動かすエキセンやバッタや切断機、それに昇降盤
などがありました。腕と勘頼りで先代が作った部品は精度の面から
言えば、お粗末でした。同じ部品は、2つとなかったし、
ロットによって寸法が変わる特徴も見受けられました。
また、図面を書かずにいきなり材木や板金を加工し始めるシーンも
珍しくなく、日常の出来事でした。
合わない部品があっても、それらの一個一個の部品に修正を施しながら
使っていたことを思い出します。現在では考えられない光景でした。
「過程がどうであれ最終的に動けば文句はない。」という先代の
モノ作りの基本精神は、皮肉なことに他社のコピーの追随を許さない
ところとなっていたのです。
しかし考えてみれば、採算を度外視してまでそんな面倒そうな
模倣品作りを企む人がいなかっただけの話です。
現に当時の先代が作ったギミックやメカ作りが、やがて
手作業から電気作業に置き換えられるようになってからは、
しっかり他社の模倣対象となってしまうところとなり、
先代のモノ作りは、スピード不足、品質不足、センス不足
という理由で、時代においてけぼりを食う羽目になりました。
到来したモノ作りの電気化が模倣品作りをも進化させ、
模倣に対する採算の悪さまで解消してしまったのですから、
これは当時の社長にとって
多分“泣きっ面に蜂”状態だったと思います。
ところで妙な話になるのですが、
現在の楠野製作所では、コピーのしやすい商品作りを目指して動いている
かのような傾向が見受けられます。
何とも言葉足りずで、申し訳ありませんが、簡単に説明しますと、
☆ふた昔前から零細の当社でも1ロット20台から100台単位での生産を
行っています。組み立てを行う下請けさんを持たせてもらっています。
☆当社が下請けさんに求めるのは、スピード化や効率化、それに精度です。
☆それなのに組み立ての現場で目にするものは、従事している労働力が
婦人や経験の浅い方たちで構成されているという矛盾です。
☆それらの状況に鑑みれば、発注元の楠野製作所が目指すべきものは、
自ずとモノ作りを容易に進めるための応援となってきます。
☆具体的言えば、依頼主のメーカーが、単純な部材でできたカンタン構造の
メカやアッセンブリ―の供給を、下請けさんにすることこそ大事と気づく
訳です。
しかし、ここに最も注意を要する落とし穴が出現するのです。それは、
★メーカーの利益のために外注化を推し進め、不慣れな製作担当者にも
扱える部材作りやギミックの簡素化に務める努力が、メーカーの意思に
反して、模倣業者にコピー製品を作らせる動機づけをしてしまうことに
なる可能性もあることを考えなければならないというギャップの存在です。
やはり、
「カンタンコピーを生まないシンプルなモノ作り」は矛盾なのか?
■■□―――――――――――――――――――□■■
引用元:シンプルな開発はカンタン模倣を促す
海外からロットで注文が入って始めたクレーン系のゲーム作りが、
ものの半年も経たないうちに偽物の登場によって、生産を打ち切る
ことが最近起こったりしました。
せっかく作った苦労の結晶のような発明品がいとも簡単に躊躇なく
模倣されるのですから、海外との取引は何ともやりきれない気持ち
になります。
しかしながら、私はコピー被害者の立場をとりながらも、
考え込んでしまうことがあります。確かにコピー行為は浅ましく、
嘆かわしい行為ではありますが、考えてみれば昨今のモノ作りは、
商品のコピーを奨励しているようにも見えて仕方がありません。
というのは、私の父親でもある先代の社長が作っていた遊園地用
スマートボールやパチンコなどは、コピー被害にはあまり遭いません
でした。
模倣業者がコピーしようとしても骨が折れる上に、例え懸命に
機械のコピーをやり遂げたところで、製品出荷検査で不適合を出して、
結局はその対応に多くの手間暇をかけることになるからです。
先代社長はゲーム機作りに必要な部材を全部自分で作っていました。
会社には手で動かすエキセンやバッタや切断機、それに昇降盤
などがありました。腕と勘頼りで先代が作った部品は精度の面から
言えば、お粗末でした。同じ部品は、2つとなかったし、
ロットによって寸法が変わる特徴も見受けられました。
また、図面を書かずにいきなり材木や板金を加工し始めるシーンも
珍しくなく、日常の出来事でした。
合わない部品があっても、それらの一個一個の部品に修正を施しながら
使っていたことを思い出します。現在では考えられない光景でした。
「過程がどうであれ最終的に動けば文句はない。」という先代の
モノ作りの基本精神は、皮肉なことに他社のコピーの追随を許さない
ところとなっていたのです。
しかし考えてみれば、採算を度外視してまでそんな面倒そうな
模倣品作りを企む人がいなかっただけの話です。
現に当時の先代が作ったギミックやメカ作りが、やがて
手作業から電気作業に置き換えられるようになってからは、
しっかり他社の模倣対象となってしまうところとなり、
先代のモノ作りは、スピード不足、品質不足、センス不足
という理由で、時代においてけぼりを食う羽目になりました。
到来したモノ作りの電気化が模倣品作りをも進化させ、
模倣に対する採算の悪さまで解消してしまったのですから、
これは当時の社長にとって
多分“泣きっ面に蜂”状態だったと思います。
ところで妙な話になるのですが、
現在の楠野製作所では、コピーのしやすい商品作りを目指して動いている
かのような傾向が見受けられます。
何とも言葉足りずで、申し訳ありませんが、簡単に説明しますと、
☆ふた昔前から零細の当社でも1ロット20台から100台単位での生産を
行っています。組み立てを行う下請けさんを持たせてもらっています。
☆当社が下請けさんに求めるのは、スピード化や効率化、それに精度です。
☆それなのに組み立ての現場で目にするものは、従事している労働力が
婦人や経験の浅い方たちで構成されているという矛盾です。
☆それらの状況に鑑みれば、発注元の楠野製作所が目指すべきものは、
自ずとモノ作りを容易に進めるための応援となってきます。
☆具体的言えば、依頼主のメーカーが、単純な部材でできたカンタン構造の
メカやアッセンブリ―の供給を、下請けさんにすることこそ大事と気づく
訳です。
しかし、ここに最も注意を要する落とし穴が出現するのです。それは、
★メーカーの利益のために外注化を推し進め、不慣れな製作担当者にも
扱える部材作りやギミックの簡素化に務める努力が、メーカーの意思に
反して、模倣業者にコピー製品を作らせる動機づけをしてしまうことに
なる可能性もあることを考えなければならないというギャップの存在です。
やはり、
「カンタンコピーを生まないシンプルなモノ作り」は矛盾なのか?
■■□―――――――――――――――――――□■■
有限会社楠野製作所
【住所】
〒559-0025
大阪市住之江区平林南2-10-41
【電話番号】
06-6681-6116
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大阪市住之江区平林南2-10-41
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引用元:シンプルな開発はカンタン模倣を促す