天気予報では明日は二日ぶりの晴天のようだ。その上、世間は秋の四連休。どこか行かざるを得まい。晩飯時、「ちゃん(息子)明日は下関駅何時か?」
近頃の嫁の歩き方、おかしい。ちんば引きやがる。片足の俺なら分かるが。右の膝が痛いと行き付けの前田病院に行って潮田医師に診て貰ったのだが、体重のせいであって異常はないとの診断。体重を減らすことと歩くことに精励するように言われた。でも全くやってないが。歩くのは観光地に行ったときくらいだ。特に下関。夏はさすがに汗たらたらで辛かったが、この時期、暑さも和らいで歩くには絶好の気候だ。
みもすそ川駐車場、満車であっても暫く待てば停められるから助かる。国道9号線の横断歩道を歩いてみもすそ川公園に渡る。さすが連休、賑わっている。
「ねぇ何処まで歩くん?唐戸まで?」
「いやまだ分からん。唐戸まで歩いてからの気分次第じゃ」
嫁、もろに嫌な顔をして、「まさか!門司駅まで歩くつもりなん?」
実は俺ら家族、去年の今頃、門司側に車を停めて関門人道トンネルを潜って海峡を渡り、みもすそ川から門司駅まで数回歩いた。息子は無職、自動車学校で大型免許取得中だった。このときは二種免許までは取らせるつもりはなかったのだが、単なる成り行きだ。
大型免許・牽引免許は取得したものの、実際、大型トラック運転手というと底辺というイメージが付き纏う。運送会社のMTMでの酷い仕打ちが結構効いていたのかもしれない。中型トラックも大型トラックも結局は同じ穴の貉だろうと。
家族三人でのウォッチング中、眼前をSNDNのバスが次々と通り過ぎる。すべてのバスのリヤガラスには「バス運転手急募」と貼ってあった。今考えると、バス運転手を目指す切っ掛けとなったのはこのステッカーだろうな。特に、11月大型二種教習中は、SNDNのバスが通る度、息子が何とかバス運転手として独り立ちしてくれることを切に願った俺だ。やっと念願が叶った。感無量だ。
「お前ぇ医者に歩けってきつく言われとろうが」
只管歩いた後は、お決りのマンションの植え込みの縁で休憩。歩きながら、赤間神宮が視界に入ると必ず境内に目を向ける。今日もほとんど人影がない。賑やかな場所を好む俺はこういうときは素通りだ。
姉妹都市広場から海峡沿いを歩く。ここだけは土日人が多い。全て寿司バイキング目当てだ。そう言えば、去年亡くなった親友の成澤、親孝行でよくここに鳥巣から連れて来てやっていたという。葬儀のとき、ここで撮った写真があった。でも、成澤も友達甲斐のない奴だ。まぁ、俺は土日仕事ではあったが、出て来ることを一度でも連絡してくれば、顔出せたかもしれないのに。
人だかりの唐戸市場の出入り口に目を遣る俺に、「早く行くよ。そげん物欲しそうに眺めとってもどうせ寿司食わんのやろ」と、嫁が皮肉を飛ばしやがる。
2021年9月2日・2024年3月11日修正