みかん村の物語 第一話 | クルミドコーヒーのブログ
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西国分寺駅前
くるみをテーマにした
こどもたちのためのカフェ

その村は、クルミドの森から見て西

水面に、日の光がきらきらかがやく

それはそれはうつくしい海に囲まれた島にありました

 

その島のいたるところにはみかんの木があって

春夏秋冬一年中、オレンジや黄色の実をみのらせ

島中はいつも

さわやかなみかんの香りに包まれていました

 

名前は、みかん村

 

その村に暮らす人々は

世界のことをとても深く理解していました

その世界を表現することばを

たくさん持っている人たちでした

 

海の色ひとつをとっても

ただ青いというだけではありません

トロリとした翡翠色

磨きたてた青銅の鏡の色

紺碧

瑠璃色

畳を敷いたような青

など

 

二つとして同じもののない

その瞬間にだけあらわれる景色や心情を

ぴたりといい当てるゆたかなことばたちを

たくさん持っていたのです

 

このみかん村の人々に

「みかん、食べない?」と

聞いてみたとしましょう

そうしたら

どんな人にもこう聞き返されるはずです

 

「え、どのみかん?」

 

だって

ひとくちにみかんと言ったって

清見と

ポンカンと

せとかと

ネーブルと

八朔と

セミノールと

いよかんとは

ぜんぜん違うでしょって

 

彼らはそれくらい

世界を正確に感じる

目であり、耳であり、鼻をもっていたのです

 

でもそれは

彼らが神経質で

細かなことに執着する性格であるということとはまったく違って

美しいものをみて美しいと感じる心と

そのありがたさに

人一倍の敬意を払う謙虚さとを

あわせもっていたということなのです

 

そんな彼らの大好きなあそびが

しりとりでした

 

りんご、ゴリラ、ラッパ…という、あれです

 

(つづく) →第二話はこちら