今回、試乗したのは復活を果たしたホンダのハイブリッド専用車、インサイトです。
<ポリシーはあるか?>
写真は、新しいインサイトを斜め前、正面、背後からの3カットで撮ってみたのだが、トヨタのプリウスと同じようなワンモーション・フォルムを採用しているが、これがどうしてもプリウスの面影を残してしまう点は、デザイン的に非常に残念である。
かつて、同社のミニバン「ストリーム」でトヨタのウィッシュにデザインが似通ったときに、ホンダが広告に使ったコピーが「ポリシーはあるか?」だったのだが、これではホンダも人のことは言えない。ここは意地でも違うデザインを貫いてほしかった。
<なかなかの室内・・・だが>
早速、インサイトに座ってシートはフィットのそれに近く、少しハード目でありながら、適度に包み込む良好なものである。だが、Aピラーが寝ており、フロントガラスの圧迫感が強い。ワンモーション・フォルムにこだわるばかりに運転の快適をそぐのはいかがなものかと思う。正直、ここまで寝かして燃費に影響するかは疑問でこれぐらいならば逆に立てたほうが居住性に良いのではないだろうかと思う。デザイナーには反省を要してほしい。
ドライビングポジションを取ってステアリングを合わせてみたら、よくできている。下の階は回転計、上の階のには速度表示とエコ走行がわかるインジケーターを置く二階建て式のメーターを採用して、なにげに見やすい。この手の車には正直回転計はいらないのではないかと思うのだが、やはりこういうところはホンダのホンダらしいところなのだろうか?
前席でポジションをとって、後席に移ってみた。正直足が長いわけではなく座高が高いのであまり参考にならないかもしれないが、足元には結構な空間が残っている。ただし、ワンモーション・フォルムの弊害か、後席の頭上空間はイマイチで少し圧迫感を感じる。まぁ、この辺は後席に座ると頭髪が触れるプリウスに比べればよくできた方かもしれない。
<予想以上のフィーリング>
エンジンをかけてみると、大体の車の場合、スターター・モーターエンジンを回して少しするとエンジンが目覚めるのが通例だがこのインサイトの場合、とても短いインターバルでエンジンが目覚める。これはエンジンのモーターアシストが影響するものと思われる。これは非常に良いかもしれない。
エンジンはフィットなどで使われている1300ccをベースに、モーターでアシストする仕組みなのだが、今回試乗した車にはナビなどの装備がなく、プリウスのようなエネルギー回生をイメージするものは見ることはできなかったが、速度計にエコを確認できるような仕組みがしてあり、エンジンの使い方によって、速度計の灯りが緑色、エンジンの使い方がラフになると青く表示されるようになっているので、燃費走行がしやすくなっている点は良い。
乗り味は、ベースになっているフィットのそれと変わりがないが、車体の全長が伸びている分、安定性が高いように思われる。目地段差を乗り越えるときの突き上げ感が若干強いように思われるが、納車して間もない車だけにまだ当たりがついていないところが原因ではないかと思われるので、それほど騒がなくても良いかもしれない。
<よくできた荷室>
インサイトのもうひとつほめたい点は、荷室の使いやすさである。
標準で、結構なスペースを確保しているのだが、荷室の仕切り板が二段構造になっていて非常にアイデアがあふれている。さらにはシートを倒すことで平らにはならないものの、ちょっとしたワゴン並みの空間を作ることができる。ちょっとした旅行にも使えるユーティリティ性は特筆に価する。
<これでベースがアンダー200万円!>
このインサイトの売りが「200万円を切る価格」なのだが、確かにベース車両が189万円と頑張ったと思うが、本格的普及にはもっともっとコストダウンが必要なのは言うまでもない。
だが、総じて言えるのは、よくできているという点。まだまだ改良する余地はあるだろうが、現時点でここまで出来れば及第点だろう。
あとは、このインサイトを元に、エンジンを100ccぐらいのものにして、そのエンジンで発電機を回しその電力でモーターを回すプラグイン・ハイブリッド仕様ができても良いのではないだろうか?