レッドイリーゼの23[牝1] <美>手塚厩舎
父ハービンジャー×母レッドイリーゼ(母父ハーツクライ)

  母系

母はクラブで募集され、芝スプリント~マイルでデビュー勝ちを含むJRA2勝。母の半兄には、同じくクラブ馬でスプリント重賞2勝を挙げたレッドアンシェル(マンハッタンカフェ)がいます。

 

牝系は3代母Magnificient Styleのラインから欧州を中心に繁栄を見せており、一族からはGⅠ2勝を挙げ、種牡馬としてもDesert CrownやEnableといった名馬を輩出したNathanielを筆頭に、愛オークス馬なども出ている活力ある母系です。

 

本馬は母の2番仔。初仔は現在消息不明で、果たしてどうなっているのか、デビュー出来るのかは不明な状態です(どっかに情報あるんかね)。

生産育成はノーザンファーム。牝系のクオリティの高さ故か、この一族はみなノーザンファームに残れていますね。

ここしばらく国内ではヒット(2勝以上)した馬が出てきていないので、ここいらでひと頑張りをみせてもらいたいところです。

 

 

  血統

父はKGVI & QESを11馬身差で圧勝したハービンジャー。種牡馬としては日本で8頭のGⅠ馬を送り出すなど活躍しました。そんなハービンも今年で18歳。今年は遂にPrivate入りし、種牡馬としてもほぼ引退に差し掛かっています。つくづく後継が立たなかったのが残念です。

 

産駒はどちらかというと欧州系らしいパワータイプが多く、スタミナを活かした持続力が目立ちます。逆に瞬発力を求められる上がり勝負には弱い印象ですが、これは皆さんご存じのハービンジャー産駒特融の”緩さ”が原因。

繋ぎや飛節といったサスペンション部分に、他の馬では見られないような緩さを持つのが弱点であり特徴です。それゆえに始動が遅くなったり、体が大きくなりすぎると脚元に影響が生じる産駒は少なくありませんでした。

どちらかというと、成長力に秀でた晩成傾向の馬という印象で、現代の日本競馬が求めるものとアンマッチな点が、後継が残らなかったことに繋がっているのかもしれません。

 

本馬はそんなハービンジャーと、母父ハーツクライの組み合わせ。このハーツクライというのも緩い馬として知られていますので、この配合は緩い×緩いということになります。

 

じゃあ緩々でダメなのかというとそういうわけでもなく、緩いの種類が違う。ハービンジャーの”緩い”は戦術のとおり関節部の緩さですが、ハーツクライの"緩さ"はトモや筋肉の緩さ。

このハーツ的な緩さは、ハービンジャー由来の欧州的なパワーで補えるものと思っているので、そこまで相性が悪いとは個人的には考えていません。実際、トニービン的な緩さのネジを絞めるという意味では、ハービンジャーの持つDanehillの血は非常に有効です。

 

本馬の場合、母系から更にStorm CatとRobertoの血を導入。

いずれも米国的な速攻タイプの血で、スタミナ・パワーや前向きさを伝えますので、比較的晩成傾向なハービンジャーとは相性が良い血ですね。

 

 

  馬体・歩様

欧州的なパワー系の馬体が多いハービンジャーですが、走っている馬は比較的スラっと見せる日本向きな体付きの馬が多いです。ペルシアンナイトなんかは、まさにそんな感じでしたね。

その点で言うと、本馬は丸みはあっても重苦しさはなく良いと思います。

 

 

飛節がしっかり伸びるハービンジャーらしい歩様で、広いストライドでしっかりと歩けていて、前肢の出も良いですね。早生まれということもあるでしょうが、トモにも緩さはそこまで感じず、全体的に血統から受けるイメージよりもしっかりとした作りでした。

 

 

飛節も思っていたよりもしっかりしていましたね。ただし、やはり繋ぎは緩々です。実にハービンジャーという感じ。とはいえ全体としては、父と母の特徴をしっかりと受け継げているのかなぁといった印象です。

 

  厩舎

みんな大好き手塚厩舎。私も大好き。この世代が4世代目ですが、この仔を含めて3世代で出資しています。今回もお世話になります。

 

美浦のトップ厩舎の一画で、クラブ馬比率44%とかなりクラブ偏重の厩舎ですね。社台系クラブはもちろん、ラフィアンやウインといった日高系のクラブ馬でもGⅠを制するなど厩舎力は高く、馬に合わせて条件を選び、積極的に数を使おうとしてくれる厩舎というイメージで、個人的には非常に好印象を持っています。

 

調教パターンとしては、CWでの6F追いが非常に多く、長い距離を走らせてスタミナを付けさせつつ、上がりもしっかり求めるという中身の濃い調教を付けている印象。

脚元をやっちゃうとCWが使えず坂路主体になってしまうので、厩舎の持ち味を活かすという意味では脚元がタフな馬だと(当たり前ではありますが)より馬の良さを引き出してくれるというイメージがありますね。

 

嶋田騎手が所属ではありますが、クラブ馬には殆ど乗っている印象がありません。

ルメールや戸崎、武史といったリーディングジョッキーのほか、津村騎手とも相性が良い厩舎です。

レース選択や騎手選択でのストレスは、比較的少ない厩舎なんじゃないかな?

 

 

  まとめ

特大ホームラン、という感じの馬ではないですが、1つ勝ってくれれば長く楽しめる1頭なんじゃないかと思います。配合の字面から受けるイメージより馬はしっかりしているので、秋口デビューくらいをイメージして進み具合を見ていきたいと思います。

 

唯一の心配は、東サラと白老ファームの相性が良くないこと。過去5世代で募集されて中央勝ち馬はゼロです。過去にはレッドフレイがOP入りしたりもしているので、ここいらで一発当てて欲しいですね。

 

 

 

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