わが友よ
正義は前進せよ!
君の人生は
永遠に勝負だ。

君よ
見たまえ!
苦戦を乗り越え
勝ち抜いた人こそが
歴史上の偉人たちだ。

古代ローマの哲学者
ボエティウスは語った。
「あなたがたも
勇ましく
偉大な先達(せんだつ)の示す
崇高な道を歩むがよい」

君よ
諸天善神も
毎朝毎日見ている。
君が一歩を踏み出せば
諸天善神も勇んで
君と一緒に
動き始めるのだ。

君よ
君の人生を
勝ちまくれ!
それが
君の使命だ。、
君の晴れの姿だ。

ああ重苦しい雲が
垂れ込めてきた。
激しい暴風雨が
迫り来る予感の
曇天の朝だ。

しかし
君よ
すべてを
悠々と乗り切れ!

雨であれ
嵐であれ
汝自身が強く輝く
黎明の心境でいけば
すべてが
君の勝ちだ!

中国の国学(こくがく)大師と仰がれる
饒宗イ(じょうそうい)博士も
私との対話のなかで
語っておられた。

「私は何度も
困難の壁に
ぶちあたってきました。
『忍辱』によって
苦難に立ち向かい
克服するまで諦めずに
奮闘してきたのです」

いかなる事態になろうと
いかなる艱難(かんなん)の
連続であろうと
天空に雲一つなき
大晴天の
君の生命の宇宙を
輝かせていくことだ。

そのために
今日も前進だ!
今日も決戦だ!
今日も勝利だ!
これが人生の英雄だ!

万有流転(ばんゆうるてん) ──
大宇宙の運行は
瞬時たりとも
止まることはない。

四百年前
あの天文学の先覚者
ガリレオ・ガリレイは
彼方の天座(てんざ)を見つめつつ
我らの地球が
回転していることを
おごそかに宣言した。

彼は叫んだ。
─ 地球は
常に変化し
絶えず生成している。
だからこそ
高貴なのだ。
賞讃に値するのだと。

万物は
間断(かんだん)なき前進から
生まれ出ずる。
前進こそが
宇宙を貫く黄金則なのだ。

ガリレオ自身が
真理の探究の軌道を
雄々しく突き進んだ。
過酷な迫害も忍び
失明の試練も耐え
勇敢な弟子とともに
誠実な愛娘(まなむすめ)とともに
最後の最後まで
知性の格闘を続けたのだ。

勇気と英知という
至高の人格の光を
彼は金星の如く
鮮烈に放っていった。

「日月天(にちがってん)の
四天下をめぐり給うは
仏法の力なり」と
御聖訓には仰せである。

大宇宙を
前進せしめゆく
究極にして
根源の力こそ
妙法である。

この大哲理を
若くして受持した君よ
何があっても
前へ前へ!
たゆみなく進むのだ。
堂々と!
朗らかに!

法華経の寿量品には
「未曾暫廃(みぞうざんぱい)」 ──
未だ曾て暫くも廃せず(いまだかつてしばらくもはいせず)
と説かれる。

師匠は
衆生を救わんがためにしばしも
仏の仕事を止めない。
常に勇気凛々と
戦い抜くのだ。

法華経の会座(えざ)において
師匠は弟子に
「勇猛精進」を示された。
弟子も師匠に
「勇猛精進」で応えた。

師匠も
勇猛精進!
弟子も
勇猛精進!
恐れなき前進において
師弟は
不二となるのである。

日蓮大聖人は
末法万年尽未来際の
令法久住(りょうぼうくじゅう)のために
御入滅の時まで
戦い通された。

病の身を押されて
武州池上(ぶしゅういけがみ)へと
歩みを進められ
若き門下とともに
烈々たる破邪顕正
そして
立正安国の大闘争を
示してくださったのだ。

「必ず三障四魔と申す
障(さわり)いできたれば
賢者はよろこび
愚者は退く」とは
権力の魔性と戦う
池上兄弟へ打ち込まれた
御金言である。

いかなる宿縁であろうか
御本仏が
魂魄(こんぱく)を留め置かれた
この大東京の大地で
創価学会は誕生した。
学会こそ
仏意仏勅の教団たる
重大な符合が
ここにもあるのだ。

創価の師父(しふ)
牧口常三郎先生は
本陣東京を中心として
常に最前線を奔走された。

牧口先生は
語っておられた。
「仏法を伝えたい
友人がいれば
私に会わせなさい。
それがそのまま
折伏になるのだ」

この率先垂範(そっせんすいはん)の
燃え上がる闘魂と
断固たる責任感で
創価の師弟は
戦い勝ってきたのだ。

その師を仰ぎ見て
不二の弟子たる
戸田城聖先生は
感嘆された。
「牧口先生の思想は
いつでも
若竹の如く
伸び続けている」

軍部権力の
狂暴なる迫害にも
創価の師弟は
師子王の如く悠然と
微動だにしなかった。

金剛不壊(こんごうふえ)なる
この師匠の生命と
弟子の一念が合致するとき
無窮(むきゅう)の前進の力が
湧き起こるのだ。
あらゆる障害をも
突破しゆく
師子奮迅の力が
漲り溢(あふ)れてくるのだ。

創価とは ──
師とともに
目覚めたる民衆が
一人また一人
頭(こうべ)を上げて胸を張ることだ。

そして
生きる喜びと
尊極なる生命の誇りに
満ちて闊歩(かっぽ)しゆく
希望の大行進である。

それは
人類が願い
求めてやまなかった
幸福の前進である。
正義の前進である。
人道の前進である。
平和の前進である。
文化の前進である。
教育の前進である。

最も正しいゆえに
権力の魔性は
嫉妬に狂い
襲いかかってくるのだ。

しかし
いかなる悪口(あっこう)も
いかなる陰謀も
いかなる弾圧も
我らの異体同心の前進を
阻(はば)むことはできなかった。

私は青春時代
わが師・戸田先生と
幾たびとなく
大文豪ゲーテの言葉を
語り合ってきた。

「新しい誓いのたびごとに
古いつきあいを
新たにしよう!」

「われわれの屈託のないつきあい
心からの仲間意識の
すこやかさ!
これからも
いつに変らず
心と心を寄せ合おう
われわれの友情には
つまらぬことで
水が入ったりしないのだ」

今や
世界百九十二カ国・地域に
創価の人間主義の連帯は晴れ晴れと広がった。

私が招へいを頂き
二度の講演をした
ハーバード大学は
行動する人間を
前進する知性を
育(はぐく)んでこられた。

近代ハーバード大学の父
エリオット学長は
毅然とモットーに
掲げている。

「上を向け
下を向くな
前を向け
後を向くな」
「そして
手を差しのべよ」

この学長は
若き教育者に尋ねた。
「君は戦えるかね」
青年教育者は
「イエス」と答えた。

すると学長は
さらに念を押した。
「すべての人が
君に反対するとき
君を支持する人が
一人もいないときでも
君は戦えるかね」

この一人立つ
学長の巌(いわお)の如き奮闘が
原動力となって
ハーバード大学は
比類なき
大発展を遂げたのだ。

エリオット学長は語った。
「私は寂しいと
思ったことがない。
いつも
戦っていたからだ」

学び戦い
そして前進する人生には
悲哀も感傷もない。
常に充実があり
発展がある。

御聖訓には仰せである。
「月月・日日に
つより給へ
すこしも
たゆむ心あらば
魔 たよりをうべし」

トインビー博士も
文明の衰亡は
成長への躍動を
失うところから始まると
喝破されていた。

社会であれ
個人であれ
傲り高ぶって
「愚者の楽園」で
安閑と休息するところに
敗退がしのびよるのだ。

かのルネサンスの巨人
レオナルド・ダ・ヴィンチは
錆ついてボロボロになった
剣(つるぎ)の絵を描いて
「自分を鍛えないので」と
添え書きを残している。

前進を止めた心は
愚痴と不満に囚(とら)われる。
ゆえに
歓喜と使命に輝いて
前進を続ける人間が
妬(ねた)ましくて
仕方がなくなるのだ。
これが
提婆達多の本性であり
どす黒い怨嫉の生命だ。

戸田先生は叱咤された。
「たゆまず流れ出ずる
水の信心であれ!
溜まり水は
動かないから
腐ってしまう。
人間も同じだ。
進まざるは退転である」

腐臭を放つ
浅ましい退転の輩の
嫉妬や裏切りなど
笑い飛ばしていけばよい。

戸田先生は断言なされた。
「誰が何と言おうと
強く強く
同志と一緒に
前へ進むのだ」
「仏から最大に賞讃され
大功徳を受けるのは
大勇猛心で
進んだ人である」

正義の行進は
断じて
停滞してはならぬ。
逡巡してはならぬ。

大聖人も
光を当てておられた
唐の大詩人・白楽天は
善人が前進すれば
悪人が後退すると
謳い上げている。

善が弱まれば
悪が蔓延(はびこ)る。
そこに
社会の混迷の元凶がある。
「立正安国」とは
正義が前進することだ。
正義が勝利することだ。

それは
紀元前の六世紀
ローマで
ある邪悪な輩が
謀略によって王となった。
その悪党と一族は
横暴の限りを尽くした。
人々は「傲慢王」と
恐れおののいた。

その時
決然と立ち上がった
一人の英雄がいた。
青年時代から
仇討ちを胸に秘めた
ルキウス・ブルートゥスだ。
「わが身に能う限りの力で
追及しよう」と
邪悪を攻め抜く魂は
炎の如く
燃えたぎった。

その渾身の叫びに
熱血の青年は結集し
傲慢王の一族は
ついに追放されたのだ。

そして
それまでの古き王政は
世界の歴史に光る
新たな共和政へと
大転換したのである。

一人の勇気から
正義は前進する。
正義が勝ち誇れば
すべてが
変わっていくのだ。

黙っていては
何も動かない。
行動しなければ
何も変わらない。

かつて私は
いわれなき
誹謗中傷の渦巻くなか
高熱に苦しみながら
『私の人生観』の
執筆を続けた。

原稿用紙を
一枚書くごとに
「正」の字で
数を記録していった。
一枚また一枚
一日また一日
「正」の字を
積み重ねながら
完成させていったのだ。

その「正」の字を
記録した紙は
幾山河を勝ち越えた
わが家の宝となった。

ともあれ
戦いは
もうこれくらいでと
油断したならば
そこから負ける。
最後まで
粘り抜いた方が勝つ。
走り切った方が勝つ。

あの電撃的な
米中の新時代を開いた
周恩来総理と
キッシンジャー博士は
お二人とも
私の敬愛する友人である。

歴史に薫る外交交渉で
キッシンジャー博士は
語られた。
「変化は
生命の法則のようですね」

その発言に
周恩来総理は応じられた。
「問題は
変化が前進しているか
後退しているか
ということです」

博士も
そして総理も
創価の民衆の前進に
平和の希望を
託してくださっていたことは
ご存じの通りである。

さあ
わが友よ
人生は前進だ!
正義は前進だ!
人類史の新しい地平を
我らの勝利で
断固と開きゆくのだ!


二〇〇九年六月三日
学会本部・師弟会館にて

初代・牧口先生の
生誕百三十八周年を
記念して
わが広布に走る
一千万の同志の
無事故と御多幸を
心より祈りつつ
合掌


桂冠詩人
世界桂冠詩人
世界民衆詩人