『記者ハンドブック』への疑問 | tobiの日本語ブログ それ以上は言葉の神様に訊いてください

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mixi日記2020年06月19日から

 発端はFB。

https://www.facebook.com/akira.takahashi.14/posts/3306078789415839
『記者ハンドブック』によると、「たとえば」は「例えば」になる、という話から始まった。
 FBでのやりとりを見ると、
 渡辺真知子もちあきなおみも米米くらぶも「たとえば」をつかっている(笑)。
 まず当方のコメントを回収する。
===========引用開始
 古書(←オイ!)にも〈本書では、「文頭に用いられて少しでも前の文に関係するニュアンスのある言葉」を、すべて接続詞として扱います(たとえば「そのあとに」「おそらく」など)〉と書かれています。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1442.html
「たとえば」ば辞書的には「副詞」でしょうが「接続詞的用法」があると考えて問題ないでしょう。あまりこだわっても仕方がありません。
 個人的には迷わず「たとえば」ですね。こういうときは記者ハンなんぞ無視。(←オイ!)
 接続詞は原則ひらがななら「従って」はどうする、などと言ってはいけません。個人的には「したがって」も使いません。
「逆に」(これも辞書的には接続詞ではない?)はどうする、などと言ってはいけません。却下します。
「反面」(記者ハン的には「半面」?)はどうする、などと言ってはいけません。却下します。
「次に」「第一に」「その上」……etc. すべて却下します。
「たとえば」がほかの言葉と少しだけ事情が違うのは、類似表現に「たとえ嵐が来ようと……」の類いがあることでしょうか。こちらは漢字で書くなら「仮令」ですかね。両者の区別を明確にする意識で、
「たとえ(仮令)」
「例えば」
 と使い分けたのかもしれません。 
===========引用終了

 ここから始まって、『記者ハンドブック』に従わない例、という話になる。
===========引用開始
 個人的には、ひとつ加えたい。
「かねてより」(記者ハンは重複表現扱い)
「かねて」だけだと、なんかジジむさい。
https://ameblo.jp/kuroracco/entry-12600825104.html
===========引用終了
===========引用開始
【表記の話17──「ほか」「他」「外」】分別教〈2〉
https://ameblo.jp/kuroracco/entry-12605137915.html
「貼る/張る」
「癒し/癒やし」
「他/外」
『記者ハンドブック』が悪いというより、常用漢字表が悪いんだけど……。 
 天災と迷惑コメントは、忘れた頃に……。
 ああ、この「頃」がまた難物で。 
===========引用終了
===========引用開始
もしかすると、記者ハンに従うなら「不要品回収」かも。
===========引用終了

 問題はサイゴンのミュンのホーチミンの「不要品回収」。
 まず『記者ハンドブック』(第16版※13版だ)からひく。
===========引用開始
ふよう
=不用〔使われない〕予算の不用額
=不要〔必要でない〕不要不急
 〔注〕使い分けに迷う場合は「不要」を使う。
===========引用終了

 ここで問題です。「ふようひん」はどちらでしょう。
 この記述では判断できない。迷っているんだから「不要品」なんだろうか。
 ちなみに世間で目にする例は「不用品」が多い。
 こんなときに朝日の用字用語が行方不明(泣)。
 ぎょうせいの『例解辞典』は「不用品」にしている。
 念のため、例のサイトで辞書を見ると、「不用品」という言葉は立項されていない。日国が「不用の品物」、『明鏡国語辞典』が「不用品」という例をのせている。
 これは「不用品」が妥当か、と考えはじめたとき、イヤなものを目にする。
 『記者ハンドブック』の15版(※12版だ)には下記のようになる。
===========引用開始
ふよう
=不用〔使われない〕不用品、予算の不用額
=不要〔必要でない〕不要不急
===========引用終了
 つまり、「不用品」という用例を削除して〔注〕を加えている。これは「不要品」を推奨しているとしか思えない。
 見なかったことにする。(←オイ!)

 

【20200620追記】

 自分の『記者ハンドブック』をめくると、いろいろ書き込みがある。

 ↑で書いた「頃」の記述も疑問だけど、もっとヒドいのがあった。

 P351-352。

「橋ができる」

「橋が出来上がる」

※「出来上がる」は複合語だから、ということらしい)

 ウーム。

 こりゃまだまだあるな(笑)。 

 

 P.303の「薦める」と「勧める」の使い分けもどうなんだろう。

 行為は「勧める」で、事物は「薦める」って……。

 まぎらわしい場合がありそう。

 ビタミンB群の摂取をすすめる。

 これは行為だから「勧める」?

 ビタミンB群をすすめる。

 これは事物だから「薦める」?

 当方は「薦」を使う気になれない。

「お薦めの一品」あたりは相当イヤ。

 これも記者ハンだと「1品」なのかなぁ。

 

 こうひとつ、ややこしい例を思いついた。

「酒をすすめる」

 一般には「酒を(飲むことを)すすめる」の意味だろう。

 だとしたら、行為だから「勧める」。

 でも事物ともとれそう。

「土産に郷里の銘酒をすすめる」なら明らかに事物だから「薦める」。

 

 さらにもうひとつ。これは記者ハンにある例文。

「読書をすすめる」は行為なので「勧める」。

「良書をすすめる」は事物なので「薦める」。

 こんな使い分けできるか!

 

「分別教」は嫌いだあ。

https://ameblo.jp/kuroracco/entry-12597938270.html

 

【20200705追記】

P443から。

「診察」の場合は「医者に診てもらう」「患者を診る」「脈を診る」。

 でも「診せる」は使わないらしい。なんで?

 

 

 

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