下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【22】
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mixi日記2019年10月22日から
テーマサイトは下記。
【「~だそう。」は言葉足らず?】毎日ことば
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このメルマガを読み始めてかなりたつ。
たまーに興味深い記事があるけど……。あまり他者の文章の悪口ばかり書いているとバチがあたりそうなんで省略。
===========引用開始
伝聞の意味の表現ですが…
今回の出題者はしばらく前から、テレビの情報番組のナレーターなどが「一番人気のメニューなのだそう。」などと言うのを聞くたびに「どうして『……だそうです』と言わないんだ」といらついてチャンネルを変えてしまっていました。
「そうだ」というのは伝聞の助動詞で、終止形はもちろん「そうだ」。丁寧に言うと「そうです」。「そう」で止めると語幹だけで、文法的に不完全です。ただし、同じ「そうだ」でも、伝聞とは別の意味である「態様」の助動詞「そうだ」の場合は、「雨が降りそう」で止めても違和感がない人が多いのではないでしょうか。若干くだけた感じはあるのですが、書き言葉でもコラムなどではよく使われていそう(です)。
しかし、伝聞の意味の「そうだ」の「だ抜き」となると、昔はあまり見た記憶があり ませんでした。それがここしばらく、新聞の文章でも目につくようになりました。そし て若い校閲記者の書いた文章にも「だそう。」が登場しました。
国語辞典では、新しい用法や意味を積極的に採用する「三省堂国語辞典」が第7版(2014年)で「そう」を「『そうだ(助動詞)』の語幹」として立項し、「新作のロールケーキも人気だそう」という用例を載せています。もはやこの使い方は認知されているのでしょうか。皆さんの感じ方はいかがでしょう。
===========引用終了
この話はずいぶん昔に書いたことがある。
曖昧な記憶だと、誰かが青木雨彦のコラムを引用していて、その中に「だそう。」という文末があった。「そんなみっともない書き方するかな」と疑問を感じて原本をあたったら、ちゃんと「だそうだ。」になっていた。「だそうな。」だったかな。
むずかしい話は抜きにして、「だそう。」は美しくない。自分でも使わない。
ただ、これは
「態様」は「~そう」OK
「伝聞」は「~そう」NG
ってことではないのでは。あくまでも「だそう。」がNGってことなのでは。「伝聞」であっても
「Aさんも来るそう」ならぐんと異和感が弱くなる。文法的に考えると……メンドーなのでパス。
疑問を感じつつネット検索したら、興味深いブログがヒットした。
【伝聞の「そう。」が急増している】違いのわかる日本語――日本語教師の日本語メモ
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===========引用開始
伝聞の「そう。」が急増している
伝聞+「そう。」
という形の言い切りがコラム記事などで急増しているように思われる。
数学的に一番早いトランプの切り方と回数 : ギズモード・ジャパン
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机にバラけて混ぜ混ぜする原始的方法ながらに1分執念で続ければ教授のテストをクリアするぐらいには混ざるのだそう。
2015年4月4日の「皆既月食」は桜と一緒に楽しめるかも! | TABIZINE
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国立天文台によると2015年4月4日の皆既月食は、皆既食だけでなく部分色のはじめから終わりまでを日本全国で見ることができるのだそう。
(いずれも下線部強調は引用者)
ここは本来「混ざるのだそうだ。」「見ることができるのだそうです。」のように、語末に断定の言葉が来なければならない。
ネギマフラーで喉をいたわる - デイリーポータルZ:@nifty
https:/
何でもネギには抗菌・殺菌作用のある成分が含まれていて、喉の炎症を抑える効果があるのだそうです。
「○○そうだ/そうです」には2種類あり、様態をあらわす場合は「○○そう。」と言い切ってもかまわない。しかし、伝聞の場合は「そう。」が使えない……というのがこれまでの用法だったのだが、どうもここ数年で「伝聞+そう。」の言い切り形が増えているように思われる。詳細は続きで。
様態と伝聞
この2種類の「そう」の違いは、『みんなの日本語』初級テキストでは
様態の「そうです」:43課
伝聞の「そうです」:47課
で出てくる。つまり、初級後半で学ぶ文法項目ということになる。この初級表現が、コラム系ニュースサイトや旅行雑誌などで崩されているというのは、「日本語の乱れ」なのかそれとも「日本語の変化」なのかという点では議論もあろうが、「従来の規範と異なる表現が現れている」という点では注目に値すると思う。
様態の「そうです」
【接続】
様態の「そうです」は、動詞ます形、イ形容詞の語幹(「い」を取る)、ナ形容詞の語幹(「な」を取る)に接続する。名詞には接続しない。
この場合、「~そう。」と切ってもよい。
「そうです」自体がナ形容詞的に使える。「雨が降りそうな天気」「寒そうにしている」「元気そうで安心しました」等。
【意味】
動詞マス形+そうです:あと少しで発生すると思われる(が、今はまだそうなっていない)事態を表現する。
雨が降りそうです。/雨が降りそう。←雨が降ってはいない。
鉛筆が机から落ちそうです。/鉛筆が落ちそう。←落ちてはいない。
疲れて死にそうです。/疲れて死にそう。←死んではいない。
イ形容詞・ナ形容詞語幹+そうです:実際に確認はしていないが、ぱっと見でそう思われる様子を表現する。
外は寒そうです。/外は寒そう。←寒いかどうか確かめてはいない。
エレナさんは楽しそうです。/エレナさん、楽しそう。←本人に聞いてはいないが表情がにこやかなのでそうだと思う。
この料理はおいしそうです。/おいしそう!←一口食べた後には言えない。
今日は元気じゃなさそうですね。/今日は元気じゃなさそう。←「ない+そうです」は「なさそう」になる。
※「イ形容詞・ナ形容詞語幹+そうです」では、見た目そのものをあらわす言葉(見たらわかること)は使えない。したがって、「きれいそう」「美しそう」は不可(きれいかどうかは見ることで確認完了だから)。
※学生によくある間違い。「あなたはかわいそうですね」←「かわいい」と言いたい。誤りポイント①=「かわいそう」は別の単語。誤りポイント②=「かわいい」は「見ればわかる」ことだから、「様態のそうです」は使えない。
伝聞の「そうです」
【接続】
様態の「そうです」は、動詞普通形、イ形容詞+「い」、ナ形容詞+「だ」、名詞+「だ」に接続する。
「~そう。」と切ることはできない。
「そうです」自体の活用は極めて限定される。「×元気だそうで安心しました」は使えるが、「×雨が降るそうな話」「×寒いそうに思われます」等は不適。
【意味】
動詞普通形+そうです:誰かから聞いた話。
(天気予報によれば)雨が降るそうです。(非過去)
(キミーさんの話によれば)テレビが台から落ちたそうです。(完了)
(松本さんの話によれば)桜が咲いているそうです。(現在)
イ形容詞+い・ナ形容詞+だ・名詞+だ:誰かから聞いた話。
(外へ行ってきた鈴木さんによれば)外は寒いそうです。
(本人に聞いたところ)エレナさんは楽しいそうです。
(彦摩呂によれば)この料理はおいしかったそうです。
(報告によれば)子どもたちは元気がないそうです。
(政府によれば)日本の人口は今後も減りそうだそうです。(「そう」のコンボ)
※「新垣結衣はかわいいそうです」「富士山は美しいそうです」「この部屋はきれいだそうです」も使える。誰かから聞いたことであれば成立する。
伝聞の「そう。」の蔓延
以上のように、様態の「そう。」と伝聞の「そうだ。」は大きく性質が異なるのだが、最近は「伝聞+そう。」と言い切る形がよく見られる。個人的には舌足らずな表現に感じられるし、現在もこれが規範とはなっていないように思われるため、外国人留学生にこのような表現を使うように薦めたくはない(ただし、上級で生教材としてコラム等を読むときにこの表現が出てきたら、以上のような解説をつけた上で、理解表現として扱うことはありえる)。
ただし、この表現が発生した理由を、わたしは以下のように推測している。
おなじ「そうです。」で、様態の場合は「そう。」と言い切ることができるため、「伝聞でも言い切っていいのではないか」と規範拡大する人が出てきた。
動詞・形容詞・名詞等への接続が、様態と伝聞でまったく異なるため、「そうだ。」と「そう。」で区別しなくても意味の違いが判別できてしまう。「食べそう。」と「食べるそう。」で意味の違いがわからない人はいない(後者には違和感がつきまとうが、意味は伝わる)。
個人的な見聞の範囲だが、この表現が女性向けの軟らかい文章(コラムや旅行ガイド等)から発生したように感じている。女性向けの文章では、「だ」で言い切るのは乱暴に感じられ、「です」ではよそよそしい。そのため、「老舗の料理はとってもおいしそう!」という文に並べるには、「このお寺は400年前に建てられたそうだ。」「400年前に建てられたそうです。」では文体が合わず、「400年前に建てられたそう。」という、規範から外れた表現をあえて選ぶ意識が出てきたのではないか。
2番目の理由については結構重要だ。今回の事例とは逆に、「同じ形なのに意味の違いがある場合、新しい形を作り出す」という場合がある。有名なのは「ら抜き言葉」で、従来は「食べられる」で可能・受け身・尊敬の3つの意味を同時に扱っていたが、最近のら抜き言葉「食べれる」で可能を別の形として表現し分ける流れが出てきている(「食べれる」を受け身や尊敬で使うことはない)。これは、単純な「言葉の乱れ」というより「合理化」だとも考えることができる。
一方で、意味上の混同がなく、しかも形の違いが残っている(食べそう/食べるそうだ)場合に、共通部分をやや増やす方向に変化することも、また自然なのかもしれない。
わたし自身は「伝聞+そう。」を使うことはおそらく今後もないだろうが。
だれか修士論文でこの件を追究してみてください。
===========引用終了
うーむ。
ほかのエントリーもいくつか読んでみたが、ブログのタイトルがホニャララだけど、いずれもレベルが高い。ただ、いかんせんエントリーがあまりにも少ない。こういう書き手こそ、どんどん発信してほしい。
これだけの文章を読んでしまうと、自分で何かを書こうって気は失せた。(←オイ!)
関連エントリーは下記あたりかな。文字数調整のために、全文を引用しておく。
【「~そうな」のナゾ/「そうだ」のナゾ】mixi日記2010年03月10日
理不尽な経緯で追放されたコミュを時折チェックしている。追放された過程は下記参照。けっこう根にもっているらちい。
【「行かなそう」と「行かなさそう」をめぐって3 独り言です41くらい──日本語教師関連編18くらい※全体公開】2009年10月08日
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【この文、日本語として正しいでしょうか】
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もともとの質問はきわめてシンプル。下記の文がアリかナシか。
女の子がやさしそうに馬の頭をなでている。
非常に素朴な疑問に見えて、考えはじめると深い沼に沈んでいきそう。フツーに考えると「やさしそうに」ではなく「やさしく」になるだろう。それはなぜ?
まずダメモトで辞書からひこうか。
予想どおり読んでも何もわからないので、読み飛ばしてほしい。
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そうだ
[助動][そうだろ|そうだっ・そうで・そうに|そうだ(そうな)|そうな|そうなら|○]
1
a動詞・助動詞などの連用形、形容詞・形容動詞などの語幹に付き、語幹が1音節の形容詞には「さそうだ」、また助動詞「たい」「ない」に付くときは「たそうだ」「なそうだ」の形をとる。様態の意を表す。…というようすだ。今にも…するようなようすだ。「雨が降りそうだ」「彼はいかにもじょうぶそうだ」「自信がなさそうだ」
・「後ニ難ノ起リサウナ事ヲバスルナ」〈天草本伊曾保・鳶と鳩〉
b体言、または活用語の連体形に付く。1aに同じ。
・「最前から見ますれば旅のお人様さうなが、どちらからござんした」〈伎・吉祥天女安産玉〉
・「おせきはどこにゐる。おれは死ぬるさうな」〈伎・夕霧七年忌〉
2 活用語の終止形に付く。伝聞の意を表す。…ということだ。…という話だ。「手術後の経過がよいそうで安心した」「今日の試合は中止するそうだ」
・「女郎も好(い)い男をすてて、醜夫(ぶをとこ)を見えにするさうだから」〈滑・浮世風呂・二〉
◆語源は、「さま(様)」の音変化、あるいは「相」の字音ともいう「そう」に断定の助動詞「だ」の付いたもの。1aの「そうだ」は室町末期から用いられ、古くはbのように体言や活用語の終止形にも付いて用いられた。一方、2の「そうだ」は江戸時代からみられるが、活用は連用(そうで・そうに)、終止(そうだ・そうな)、連体(そうな)の三形だけである。12とも会話文などでは、語幹に助詞「よ」「ね」「さ」を付けて「降りそうよ」「降るそうよ」などと用いることが多い。なお、1 の終止形「そうな」は、室町・江戸時代に用いられたが、現代語でも古風な表現に用いられる。「そな」となる場合もある。
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辞書が役に立たないとなると、危険を承知で主観を書くことになる(笑)。
問題になっているのは、形容詞に「そうだ」がつくケース。ほかの品詞に関してはとりあえずパスする。
いくつかの側面があると思う。
1)主観か客観か
トピのコメントを見ると「感情形容詞」「属性形容詞」とか呼ぶのが一般的らしい。
ほぼ同じことなんだが、ちと疑問があるので主観と客観と呼ぶことにする。トピに出てきた形容詞とよく使う形容詞を主観と客観に分ける。
●主観(感情形容詞)
痛い/うれしい/面倒くさい/気持ちよい/おいしい/たのしい/
●客観(属性形容詞)
明るい/暗い/長い/短い/やさしい/厳しい/偉い
主観か客観かまぎらわしいものもあるが、イチバンわかりやすい判別法は「~がる」と言えるか否かではないか。この判別法だと「おいしがる」「たのしがる」は微妙な気もするが。
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簡単に言ってしまうと、「主観」は「~く」「~そうに」の両方の形がとれる。一方「客観」は「~く」の形が主で、「~そうに」になることは少ない。「客観」は「そうだ」と相性が悪い気がする。
「客観」が「そうだ」とセットになるのは、原則として「~そうなN」の形ではないか。あとは「~そうに振る舞う」の類い(演技をしているニュアンス)、「~そうに見える」(推量)などではないか。それ以外は「~く」が基本。
o( ̄ー ̄;)ゞううむ
相当乱暴なことを書いている。
「やさしそうになでる」が不自然な理由になってないかな。
2)「主観」+「そうだ」→「客観」
「主観(感情形容詞)」は個人の感情や感覚を表わす。ところが、これに「そうだ」がつくと、「客観(属性形容詞)」的なニュアンスになる。考えてみれば当たり前で、「そうだ」は「…というようすだ」などの意味だから、客観に決まっている。
1)で書いたように、「客観」は「そうだ」と相性が悪いのも、「客観」に「客観」を加えるからではないか。「やさしそうになでる」のように「(鬼のような性格を隠して)演技として」のニュアンスになってしまうことさえある。
「17」の疑問に答えましょう……こんなふうに書いて間違ってたら、また赤恥か……(泣)。
「おいしい」自体は「主観」なので、「おいしそうに」にしても何も問題はないはずです。もちろん、ヘンな文脈や例文を作れば不自然になりますが。
1)「*この調味料を使えば、おいしそうに召し上がれます。」
2)「この調味料を使えば、おいしそうにできあがります。」
3)「金のフォークを使えば、おいしそうに召し上がれます。」
1)が非文になる理由はうまく説明できませんが、おそらく主観と客観が混在しているからでしょう。「使えば」「召し上がれる」が主観的なのに、「おいしそうに」が客観的に思えます。元々これと対比されていた「女の子がおいしそうにパンを食べている。」がおかしくないのは、女の子の様子を客観的に見ているからだと思います。なぜこのような対比が出てきたのか……。
2)は、文法的にはOKだと思いますが、内容がちょっと不自然では。「調味料」は「客観」(見た目)にはあまり関係がありません。少しかえます。
3)はなんとか「おいしそうに召し上がれます」を使うための例文でしょうか。そもそも言葉の組み合わせがヘンなので、このまま自然に使える例文が浮かびません。あえて解釈するなら、「食べる様子がおいしそうに見えます」くらいの意味なのでしょうか。
1)-1「この調味料を使えば、おいしく召し上がれます。」
2)-1「三つ葉などの葉ものを添えれば、いっそうおいしそうになります。」
3)「偉い」は「珍しい」?
ひとつ引っかかっているのは「偉い」。ほかの「客観(属性形容詞)」と違い、「偉く~する」にはしにくい(「偉くなる」は例外、「偉く暑くなる」の類いもちょっと違う)。「偉そうに」の形が圧倒的に多いはず。しかも、かなり余計なニュアンスが加わる。
これに関してどう考えればいいのかは不明。
【付記】
「そうだ」関連だと、過去にこんなことも書いている。
こういうヨタ話を読むと、「そうだ」のナゾがいっそう深くなる(笑)。
34)【デス・マス体が書きにくいワケ3】(2009年05月03日)
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理不尽な追放劇のもとになった下記も「~そう」の話か。
73)【「行かなそう」と「行かなさそう」をめぐって 独り言です38くらい──日本語教師関連編16くらい】(2009年10月04日)
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75)【「行かなそう」と「行かなさそう」をめぐって2 独り言です40くらい──日本語教師関連編17くらい※全体公開】(2009年10月07日)
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「~だそう。」は言葉足らず?
毎日ことば〈2〉
mixi日記2019年10月22日から
下記の追記に青木雨彦の話が出ていた。コメント欄もおもしろいので、全文引用しておく。
34)【デス・マス体が書きにくいワケ3】(2009年05月03日)
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■デス・マス体が書きにくいワケ3
一応下記の続きだと思う。
【デス・マス体が書きにくいワケ2】
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このテのことに興味のある方は、下記もご参照うえ、ご意見をいただければ幸いです。
【日本語アレコレの索引(日々増殖中)】
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下記のトピで妙な問題に出くわした。
【「〇〇ですとか、××ですとか」に違和感を感じる。】
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「(名詞A)ですとか(名詞B)ですとか」は文法的に是か非か。
おそらくこれが間違いと断言する人はいない。ただ、たしかになんかおかしい。文法にスゴく詳しい人なら鮮やかに説明ができるのかもしれない。文法●痴の身としては、異和感を抱えて悶絶する。いつにもまして自信はないが、とにかく書いてみる。
むかーし、疑問に思ったことと根っこは同じかもしれない。それは、「(名詞)だそうだ」は正用か否かということ。そのときは、断言調の「だ」と伝聞調の「そうだ」の組み合わせが奇異に感じられるだけだろう、と判断した。無神経な表現ではあっても間違いではないと思った。考えがとっちらかってそれ以上のことはまとまらなかった。
当時に比べて記憶力と思考力が著しく低下した現在は、その分考えが限定されるので、糸口が見えるかもしれない。少し考えてみたい。
「(名詞)だそうだ」がヘンな理由のひとつになりそうなこと……「(名詞)ですそうだ」とは言わない。
似たような印象の言葉を並べてみる。
1)(名詞)だそうだ ×(名詞)ですそうだ
2)(名詞)だとすると ×(名詞)ですとすると/×(名詞)ですとしますと
■逆の例
3)(名詞)ですか ×(名詞)だか
△(名詞)であるか
○(名詞)か
【参考】
【「~ですかね?」は口語で使いますか?】
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■どちらもOK
4)(動詞)そうだ。 ○(動詞)そうです。
5)(動詞)そうだし ○(動詞)そうですし
※似ているようでもなぜか下記はヘン。しかも4)5)は連用形(ex.降り)でも連体形(ex.降る)でもOKなのに、6)は連用形(ex.降り)しか入らない気がする。
6)(動詞)そうだと(思う) ×(動詞)そうですと(思います)
こうして並べてみても、よくわからないorz。
なんとなく思うこと。
「(名詞)ですとか」は3)と同類ではないか。なんとなく使われているので、「だとか」も「ですとか」もさほど異和感がない。しかし厳密に考えると、△「(名詞)であるとか」か「(名詞)とか」が本来の形ではないか。
「(名詞A)か(名詞B)か」(A or B)とは言うが「(名詞A)だか(名詞B)だか」とは言わない(意味がかわる)。「(名詞A)ですか(名詞B)ですか」とも言わない。
ここから類推すると、
(名詞A)とか(名詞B)とか 本来の形
(名詞A)だとか(名詞B)だとか あくまでも許容
(名詞A)ですとか(名詞B)ですとか ほとんど×
ということではないだろうか。
これもデス・マス体の欠陥のひとつに加えていいのだろうか?
とりあえず、デス・マス体に関するインネンを、下記にまとめはじめた。
【関連トピ紹介】7──デ・アル体とデス・マス体をめぐる難儀な話
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【20111110追記】
下記の部分に関する資料を見つけた。
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むかーし、疑問に思ったことと根っこは同じかもしれない。それは、「(名詞)だそうだ」は正用か否かということ。そのときは、断言調の「だ」と伝聞調の「そうだ」の組み合わせが奇異に感じられるだけだろう、と判断した。無神経な表現ではあっても間違いではないと思った。考えがとっちらかってそれ以上のことはまとまらなかった。
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■2000年4月20日の感想文から
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【引用部】
事は現代における殺伐な夫婦関係である。このシビアな問題を、「オシマイ」「言っちゃナンだが」「エラそう」「ナンテ言っては」というカタカナを使い、データの結果を「だそうな」と。“伝聞”にして、意味をやわらかく軽くし、親しみを感じさせるといった“工夫”が、“青木節”の“芸”なのだ。(『ダカーポの文章上達講座 完全版』p.102)
青木雨彦のエッセイを解説した文章。真っ先にひっかかったのは、〈「だそうな」と。〉の部分。新書判を確認すると、句点はない。そうなると、この一文は読点が5つもある長文になる。気にはなるが、さほど判りにくくはないので放っておこう(3つの目の読点はないほうがマシだし、1つ目の読点はなくてもいいと思うけど)。次の問題は「だそうな」。個人的な意見として、語感の強い「だ」に伝聞の「そう」がつくのは嫌い。まあ、趣味の問題だから「しょうがない」と考えて原文を確認したら、「だそうな」なんて出てこない。原文にあるのは「出たそうな」と「だったそうな」。この違いは大きい。「だそうな」ではなく「そうな」にすればいいだけのことじゃん。
この解説は読点過多のほかにも問題が多い。「殺伐な」はたぶん日本語ではない。“”の多さも気になる。とくに「工夫」についているのは意図が判らない(「芸」にも必要なさそう)。こんなわけの判らん解説で持ち上げらたんじゃ青木雨彦も浮かばれないだろうな。
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【続きは】↓
【デス・マス体が書きにくいワケ4──デス・マス体のナゾを考えるヒント】
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●コメント欄のやり取り
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カさん
2009年05月04日 03:10
質問です!
> 「(名詞)だそうだ」は正用か否か
いま竹取物語の新解釈のプロットを書いているんですが、
たとえば、街の人が
「あれがかぐや姫だそうだ」
って噂しあうのはありですか?
「美しんだそうだ」
のような「(形容詞)だそうだ」は正用ですか?
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tobirisu2009年05月04日 08:52 削除
カさん
そうだ。肝心の「だそうだ」の話が何も進んでいない。
これに関して語るとき、わすれてはいけないのが『そうだのうた』(なのか?)。
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「そうだのうた」
(長野バージョン)
そうだそうだ
そうだ村の村長さんがソーダ飲んで死んだそうだ
葬式饅頭でっかいそうだ
中にはあんこがないそうだ。
(新潟バージョン)
そうだそうだ
そうだ村の村長さんがソーダ飲んで死んだそうだ
葬式饅頭でっかいそうだ
オイラが行ってもくんないそうだ
(東京バージョン)
そうだそうだ
そうだ村の村長さんがソーダ飲んで死んだそうだ
葬式饅頭うーまいそうだ
中にはあんこがはいってないそうだ。
================================
父が言うには、北海道バージョンは、また少し違う。
そうだそうだ
そうだ村の村長さんがソーダ飲んで死んだそうだ
そうだそうだ
葬式饅頭でっかいそうだ
そうだそうだ
(ここが思い出せない……)
この件については稿を改めたほうがよさそうです。
とりあえずの回答。
>「あれがかぐや姫だそうだ」
「(名詞)だそうだ」は間違いではないと思います。でも個人的には使いません。理由はふたつ。
1 「(名詞)ですそうだ」が×ってことは、「名詞)だそうだ」も許容の可能性がある
2 「だそうだ」という語感に重複感があって無神経な感じがする。まだ罪が軽いと思われる「(動詞)だそうだ」も極力使いたくない
「あれがかぐや姫らしい」とかじゃダメですか?
>「美しんだそうだ」 のような「(形容詞)だそうだ」は正用ですか?
辞書をひいて出直してきなさい。
「(形容詞)だそうだ」以前に、「美しんだ」が正用か否かお考えください。
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カさん
2009年05月05日 04:18
> そうだ村の村長さんがソーダ飲んで死んだそうだ
それじゃあ死なないだろう、と普通に突っ込んでしまいました。
ちなみに、わたしは小豆のあんこは苦手なので、
あんこの入ってない葬式饅頭は大歓迎です!
昔、『日本むかしばなし』で、やたらと「~~だそうだ」のような
言いまわしが使われていた気がします。
小学生の頃に見ていただけなので覚え違いかもしれませんが、
昔話だと「~~だそうだ」が、それっぽい気がしてました。。。
たんなる思いこみなんでしょうか。
1よりは2にほうが、私には説得力があります。
> 「あれがかぐや姫らしい」
すごく自然な気がします。
なるほど、現代語(?)っぽい感じでありなのか。
と目から鱗がぽろぽろ落ちて行きました!
> 「美しんだ」
ひょっとして方言だったんですか?!? ネットの辞書にはありませんでした。
確かに「美しいだそうだ」とか「重いだそうだ」とは言いませんよね。
ちょっとショックです。
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tobirisu2009年05月05日 21:47 削除
カさん
当方も『日本むかしばなし』はほとんど見たことがありませんので、推測で書きます。
そりゃ「~だそうだ」の形も使われてはいたでしょう。でも少なかったと思います。
さらに言えば「(名詞)だそうだ」はほとんどなかったと思います。
上の『そうだのうた』を確認してください。
「(名詞)だそうだ」は1回も出てきてません。「~だそうだ」が使われているのは「(動詞)だそうだ」だけです。
ムヤミに引用したわけではないんです(ホントは単なる偶然ですけど。必然かな?)。
昔話を想起してください。
「それはそれはきれいな女の子だそうだ」って言うと思います?
「それはそれはきれいな女の子だったそうだ」と言うんじゃないでしょうか。
>確かに「美しいだそうだ」とか「重いだそうだ」とは言いませんよね。
それってお国なまりですか?
で、正しい形はわかったのですか?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
カさん 2009年05月05日 23:48
『そうだのうた』
> 「~だそうだ」が使われているのは「(動詞)だそうだ」だけです。
確認しました。
最初はたんなる○○○ギャグだと思っていたんですが、
確かに「(動詞)だそうだ」だけ使われていますね。
では、ここで研究結果の発表をいたします!
「美しんだそうだ」の正しい言葉は 「美しい+のだ」だと思います!
「のだ」を調べると、
【のだ(連語)】〔準体助詞「の」に断定の助動詞「だ」の付いたもの。
話し言葉では「んだ」「のです」となることも多い〕
(れんご 【連語】(1)二つ以上の単語が連結し、一つの単語と等しい働きをするもの。
「我が君」「いけない」「もひとつ」「えたり」「とかや」の類。)
「(形容詞)+ のだ + そうだ」は変だから、
「美しんだ + そうだ」は変ということが分かりました!
> 「それはそれはきれいな女の子だったそうだ」と言うんじゃないでしょうか。
なるほど~。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
#日本語 #敬語 #誤用 #慣用句 #言葉 #問題 #間違い #二重敬語
#日本語 #敬語 #誤用 #慣用句 #言葉 #問題 #間違い #二重敬語
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