(勝手)馬手を捻ること  第九條 徒免の事 日置流弓目録六十ヶ条第九條 | KenさんのBLOGS

KenさんのBLOGS

日常、弓道、ダイビング
仕事、ゼミ、もろもろ

勝手を捻ること

日置流弓目録の第九條に「詰めの事勝手にあり」と云うのがあります。
第九條  詰めの事勝手にあり
矢束を短むる事、一寸の披五分之詰め、音輪を用ゆる事

詰めとは掛けを内へ捻る事で、射手詞で「ツメ」とも「セメ」とも言います。
打起から会まで引き付ける間に詰めます。之は最も大事な技である。と述べられています。

詰めが戻ると掛腰が折れたり、又は勝手の臂が下がり過ぎて矢束が引けすぎる、その癖を直す場合に特に詰めるようにすれば掛腰が折れたり引きすぎも治るものなり。

勝手を捻る事は。


●勝手が締まり安定する。
勝手を捻る事によって手首が伸び、手繰る事がなくなります。その結果、臂の落ちすぎやゆるみなどの射癖が無くなります。
前回紹介した写真の様に弓手の甲が上を向く(手の平が外を向く)ように捻ると関節が固定され,手首は横方向にはあまり曲がらなくなります。


●弽解き、切る離れ
高速度フィルムシリーズで,馬手の離れを別方向から。
秒間3000コマで映した物を10コマ送りで再生しています。
http://www.flipclip.net/static/swf/frames/CompactXXLarge.swf?coreURL=http://www.flipclip.net/static/swf/PlayerCore3/core.swf?&seqURL=http://www.flipclip.net/api/clips/c64b952cb242efd30022ff44de36a396/sequence/480x360&modPath=http://www.flipclip.net/static/swf/PlayerCore3/module/&autoPlay=

和弓は蒙古式の取掛です。親指を弦にかけ、人差指と中指で親指の頭を押さえ、弦が弦枕から外れないように内側に捻を加えます。
 
イメージ 1引くに従い、弦の張力は増し、親指が起こされる力も大きくなります。
また、弦を捻ると、弦がテコ(バール)のような働きをし、親指は起こされます。
この時、親指の帽子を押さえていた人差し指と中指は、親指の上を滑りながらずれて、キチキチ、ギチギチ、チチチチなどの音が出ます。
このずれながら三指が開かれて行く事を、弽解きと呼んでいます。
 
弦が弽の弦枕と分離するのを離れと称します。
会は、親指が起こされる力と、他の二指が親指を押さえている摩擦力が釣り合い、安定しバランスを保ち、弦が分離しないでいます。
離れはこの安定を破らなければいけません。
 
釣り合いを破る方法には二種類あって、自分で力を弱めて手を開く方法と、その摩擦力以上の力を加える方法です。
さらに引きを伸ばす(矢尺をとる)事と捻る事によって、親指が起こされる力が増し、おさえている力(摩擦力)に打ち勝ち離します。
この様な離れは親指は弾かれ、鋭い切る離れになり、残身では勝手の甲は上を向きます。
 


●捻る事は伸合
勝手を捻ると弦がくの字に曲がります。弦の長さが短くなって,弓が湾曲します。
矢尺を伸ばして弓を引いた事と同じ事です。
弓が湾曲すればそれだけ反発力は増します。
 
 

イメージ 2●捻った方が強い力で引く事ができる。
 
筋肉の構造なのか?神経系の問題なのか?または、反射の影響か?は解りませんが、捻らず平付けで引くよりも前腕を回内して捻って引いた方が引く力が大きくなる。と言われてます。
 
しばらく前の「新体育」という雑誌に載った調査データーがあります。
 
回内(捻って)して引いた時の力を100とすると、回外(平付け)時では平均で85程度であり、全て下回っています。

以上の様に、右前腕を回内し、勝手を捻る事は、目録でも述べているとおり、大変重要であると言えます。

浦上栄は著書の中で
詰合より彀、即ち離れの機に至る迄を延合と云う。他流では會と称する。この間に弓手では弓を伏せ且つ捻りつつ押し、馬手では弽に捻りをかけつつ引く。これを押引と云う。かくすれば両手の平均と緊張を保持し得、また離の時機をを誤らず、自然の軽い離れを生じ、矢色を防ぎ、貫通力と命中率を高める事が出来るのである。
と述べています。