父親と娘の2人家族。
妹によく似た姉は、昔、旅先で死んでしまった。
2人は、姉が死んだその旅先に移住してくる。
姉がそこをとても愛していたことを父は知っていたから、確かめたいような気持ち。
しかし、そこは歴史はあれどチンピラの抗争の多発する薄暗い街で、妹は困惑する。
全体的に黄土色というか薄茶色がかった印象の街。
メインストリートは90年代くらいの台湾のイメージ(多分、私が最近「牯嶺街少年殺人事件」に関する記事を読んだからその舞台に近い)。
そんな中で、越してきた妹はパッと1人鮮やかな印象。無邪気で活発。
歴史のある街らしいので資料館でも覗こうかと、本屋を冷やかした後、決して警備や管理が行き届いているとは言えない資料館にやってくる。
展示物は展示台の上に並べられただけで特にパーテーションで囲われてもおらず、壁にある書棚からは好きに資料を閲覧していいスタイル。
ミイラさえ置いてあるだけ。
妹はそこに横たわった女のミイラに最初慄くも、段々その装飾品に興味を向け始める。
ぼろぼろになっているとはいえ、その服や帽子が何となく現代で身につけていてもおかしくないような素材とデザインに見えたからだ。
手編みの帽子は自分にも作れそうねなどと思いつつ、他の展示品に移動する。
実は、このミイラが彼女の姉なのである(突然のタイムスリップネタ)。
姉はこの地で死んだとされているが、遺体は見つかっていない。
妹が書棚の資料に手を出していると、その後ろを若い男がミイラの方に向かって通り過ぎる。
ほぼ同時に、妹を探しにきた父がその部屋の入口にやってくる。
妹に声を掛けようとして、父は突然その穏やかそうな表情を険しいものに変え、奥のミイラの方に向かって「何をしているんだ!」と怒鳴る。
駆け寄って、先刻通り過ぎた若者を取り押さえる。
若者の手には手編みの帽子。
それはミイラの装飾品と全く同じもので、彼はそれを展示品とすり替えようとしていた。
若者はもがきながら呻く。
「バレたことなんてないのに」
「あとこれ一つなのに」
実はその若者は、そこに横たわるミイラ化した姉の恋人だった。
若者は取り押さえされたが、すり替えが未遂だったのと、そもそもそう警備の厳重でない資料館なのですぐに解放される。
妹は、彼に強い興味を示す。
後日。
街の外れではチンピラ達の抗争と、命知らずな遊びが繰り返されていて、私的にレースのようなものも開催されていた。
妹がその近くの書店に用があり、店の前にスクーター(というかカブ?)を停めると、それをチンピラ達に奪われて逃げられてしまう。
彼らはそれを乗り回してレースに参加。
そのレースの元締めをやっているグループの中に、資料館で一悶着起こした若者がいた。
レースでヒャッハーしてる若者達が、最後の方で若者に嵌められて(若者は実は彼らに恨みがある)、集団でバイクごと大きな流れの速い川に転落していく辺りで目が覚めた。