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黒田社労士雑記帳

香川県で社会保険労務士をしています。

社労士業務、労働・社会保険分野情報、その他雑記的なことを書きたいと思います。

先日、デジタルファースト関連のセミナーを聞きに東京へ行ってきました。

 

最近このデジタルファーストやデジタルガバメント、法人ワンストップ化などICT関連のニュースをよく耳にするようになりました。

 

そして、それと一緒に士業への影響は!?というようなワードも添えられています。

 

7月3日の日経新聞には次のようなものが掲載されました。

税・社会保険の書類不要に 企業、クラウドにデータ

 

以下引用

政府は2021年度を目標に企業による税・社会保険料関連の書類の作成や提出を不要にする検討に入った。源泉徴収(総合2面きょうのことば)に必要な税務書類など従業員に関連する書類が対象。企業は給与情報などをクラウドにあげ、行政側がそのデータにアクセスし、手続きを進める形に変える。官民双方の事務負担を減らして生産性を高め、スタートアップ企業の創業も後押しする。

 

 政府のIT総合戦略本部(本部長・安倍晋三首相)が来年3月末までに実現に向けた工程表を示す。7月に財務省や厚生労働省、総務省などの関係省庁を集め、検討会議を開く。企業が従業員に関連する膨大な行政書類を作成し、提出してきた従来の手続きを転換する。法人税や消費税など企業自身の納税に関する書類は今回の改革には含まない。

 

特に、税・社会保険料関連の書類の作成や提出を不要にする検討に入った。というところ、サラッと恐ろしいことが書かれています。

書類の作成どころか提出も不要にされたらもう士業の存在価値ってなに?という感じですよね・・

 

この背景には、今後マイナポータルや法人共通認証基盤が企業とより深く結びつくことで手続きの簡略化が劇的に進むという流れがあるようです。 (社会・雇用保険手続きは企業が1つのID/PASSによって管理できるように?)

 

また、これに合わせてe-gov自体を無くしていく(目標は2021年だが懐疑的・・)という計画もあるようです。

 

 

現状ではAPI対応の電子申請ができるベンダーソフトがものすごい勢いで一般企業へ売れています。

はっきり言って単純な得喪手続きであれば、わざわざ社労士へ頼まなくともソフトから申請したほうが早く簡単にできてしまうと思います。

ただし、単純ではない手続きや内容の記述や計算結果に自信が持てないような手続きをする場合、申請は簡単でも誤った申請をやり直すとなると余計な労力を必要とします。

 

そう言ったところから、今後の社労士のあり方として、企業のもっと深い部分へ入り込み、単純な提出代行といった1号・2号業務以外の会社経営から見た様々なサポートをしていくといったことが中心になるかと思います。

そしてそこには間違いなくIT・ICT、AI、クラウドシステムといった最新のデジタル技術は必須となっていくと感じました。

 

 

今週末はいよいよ50回目の社労士試験ですね!

よく考えたら今年は平成最後で50回の節目の試験なんですね。

受験生の皆さま、もう焦ってもしょうがないです。体調を整えることに専念して、取れる問題を確実に取ることを大事にされてください。


⬆︎は香川会の50周年記念バッチです✨

ご無沙汰しております。

 

西日本での豪雨によって各地で甚大な被害が出ています。

被災された方々が一刻も早く安心して暮らせるようお祈り申し上げます。

 

うち(香川県西部)は運よく被害も少なかったです。

ご心配していただいたかたに感謝いたします。

 

 

さて、顧問先の従業員さんから、今回の豪雨被害によってJRが運休して出社できなかったので、その日は出勤扱いにしてもらいたいと申し出があったそうです。

 

結論から言うと、こういった天災や天変地異によって出勤できない場合は、会社の責任ではないため、賃金を支払う必要はありません

 

これはノーワーク・ノーペイの原則(民法第624条(報酬の支払時期))からも言えますし、労働基準法26条の休業手当にも当てはまらないからです。

 

ただし、労働協約、就業規則等に労働者が出勤できなかった場合の賃金の支払について定めがある場合は、それに従う必要があります

 

厚生労働省作成「平成28年熊本地震に伴う労働基準法等に関するQ&A」 → リンク

↑のQ10-2にも記載されています。

 

≪以下抜粋≫

労働契約や労働協約、就業規則等に労働者が出勤できなかった場合の賃金の支払について定めがある場合は、それに従う必要があります。
また、例えば、会社で有給の特別な休暇制度を設けている場合には、その制度を活用することなども考えられます。
このような定めがない場合でも、労働者の賃金の取扱いについては、労使で十分に話し合っていただき、労働者の不利益をできる限り回避するように努力することが大切です

 

 

このような考え方は、例えば電車が遅延して会社に遅刻してしまった際に、遅延証明書を提出すれば定刻に出勤したとみなされるといった就業規則の規程などと同じかと思います。

 

本来電車の遅延は、使用者の責に帰すべき事由には当てはまらないため、遅刻扱いとして賃金控除しても法律上は何も問題がありません。

ただ、こういった場合に公共交通機関の遅れという本人さんの事情を勘案して温情措置という意味合いで規程を作られている企業さんはたくさんあるかと思います。

 

ですので、頭から法律上出勤扱いにする必要はない!と決めるより、避難指示が出ていたかや合理的な経路が他になかったかなどを考慮しつつ労働者の不利益を回避できるよう会社も心掛ける必要があるかと思います。