育児休業は法律ではいったいいつまでと決められているのか?
延長やパパママプラス制度などの特別な場合を除き原則として一歳までとなっていますが、この一歳までが法律によって少し解釈が違います。
この記事はそんな微妙に細かい話しです。
産休・育休についての該当する法律についてはこちらの投稿もご覧下さい。
まず、育児・介護休業法における育児休業終了日は「一歳の誕生日の前日」になるんですが、雇用保険法における育児休業給付終了日というのは、「一歳の誕生日の前々日」になります。
ハローワークのリーフレット(PDF)
↑の資料(3P)にも一歳に達する日までとは~という説明があります。
なので、社会保険の免除申請をする時の終了日は前日、育児休業給付金支給申請書の終了日は前々日となり、別にこのことを覚えてさえいれば困ることは無いのですが、なぜ1日の違いがあるのか気になります。
気になるとどうしても調べなくてはいられない性分なので、ちょっと確認してみました。
根拠となる条文
育児・介護休業法に順じている社会保険料免除については、
以下の育児・介護休業法第九条にこう書いてある、
-----ここから条文抜粋-----
3 前条第三項後段の規定は、前項第一号の厚生労働省令で定める事由が生じた場合について準用する。
-----ここまで条文抜粋-----
上記の条文はちょっと分かりにくいので少し用語の説明をしときます。
育児休業終了予定日というのは決められた日付ではなく、育休というのはまず、その期間の初日と終了日を明らかにしなさいという決まりがあり、その終了の予定日という意味です。
つまりこの育児休業終了予定日というのはいつまででもいいのです。
ただし、いつまででも休暇を取れるはずもなく、条件があるよ!というのが次の二項で記載されている。
それによると、育児休業終了予定日とされた日の前日までに子が一歳に達したらその日に終了するとある。
つまり、いくら長く休むつもりでも子が一歳に達した日に終了してしまうのです。
ここで、一歳に達した日なんだから誕生日ではないのか?と思われるかもしれませんが、「年齢計算ニ関スル法律」によって、年齢の起算日は出生日とするとあるので、一歳に達した日というのは誕生日(出生日)の前日となる。
こういったややこしい根拠をもとに、育児休業終了日は「一歳の誕生日の前日」となっているようです。
では、雇用保険法における、育児休業給付終了日の根拠はというと、
以下の雇用保険法第六十一条の四にこう記載がある。
-----ここから条文抜粋-----
(育児休業給付金)第六十一条の四 育児休業給付金は、被保険者(高年齢継続被保険者、短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者を除く。以下この款及び次款において同じ。)が、厚生労働省令で定めるところにより、その一歳(その子が一歳に達した日後の期間について休業することが雇用の継続のために特に必要と認められる場合として厚生労働省令で定める場合に該当する場合にあつては、一歳六か月)に満たない子を養育するための休業をした場合において、当該休業を開始した日前二年間(当該休業を開始した日前二年間に疾病、負傷その他厚生労働省令で定める理由により引き続き三十日以上賃金の支払を受けることができなかつた被保険者については、当該理由により賃金の支払を受けることができなかつた日数を二年に加算した期間(その期間が四年を超えるときは、四年間))に、みなし被保険者期間が通算して十二箇月以上であつたときに、支給単位期間について支給する。
-----ここまで条文抜粋-----
これもややこしい言い回しですが、つまり、一歳に満たない子のための休業なら支給される訳で、一歳(一歳に達した日)に満たない(未満)ということは、一歳に達した日の前日であり、誕生日の前々日ということになります。
こういった複雑な根拠のもとに終了日を決めることになったようです。
これにあわせて、押さえておきたいのは実際の社会保険料の免除期間については、「育児休業等を開始した日の属する月~育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月」とあります。
この規定も受験生を苦しめるややこしいものなんですが、育児休業等が終了する日=原則誕生日前日となるので、単純に「誕生月の前月」なんですよね。
なので子の誕生日が月末や月初の場合はちょっと気をつけたいところではあります。
以上、解釈や内容に間違いがありましたらご指摘下さい。