のび太とブリキの迷宮Ⅴの2[★★]

[初出誌] 『のび太とブリキの迷宮』、「月刊コロコロコミック」19931月号、35頁、240コマ

[単行本]  『のび太とブリキの迷宮』、「てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん VOL.131993825日 初版第1刷発行、39頁、265コマ

[大全集] 『のび太とブリキの迷宮』、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 52012328日 初版第1刷発行、39頁、265コマ

 

[梗概] ネジリン将軍が「ドタ ドタ」と駆け込んで、皇帝陛下への大至急の知らせを持ってきた。「航路ヲマチガエテマイ子ニナッタ巡視船ガアリマス。北極海ヲウロウロシテイタラキリノ中カラミナレヌ島ガ…。ナントソレガ、ぶりきん島!!」というものであった。皇帝はただちに「機動部隊出動!!」を命じた。

 

 ジャイアンとスネ夫は初めて潜水艦に乗り、本当に目的地に付けるかどうか心配しながらの旅となった。皇帝の機動部隊は「キリガデテキタ。モウスグ北極海ダ。ぶりきん島ハ、近イゾ。全艦全速力!!」で進行し、皇帝は「ミテオレ人間ドモ、コンドコソ最後ノヒトリマデモ!!」と檄を飛ばしていた。

 

 海の底に捨てられたドラえもんは、鳥かごのようなかごに閉じこめられていたが、のび太から救い出される夢をみていた。ドラえもんは「ここは海底のゴミおき場? ぼくはもう…ガタガタ…。こわれちゃって…。せめてもう一度…、のび太…」とつぶやくのが精一杯であった。

 

 スネ夫が潜望鏡でのぞくと、大都会のシーンが目に入ってきた。メカポリスに近い無人海岸に到着し、ロボットに変装して町に出かけることになった。のび太たちは大迷路の中でガイド・マウスを信じて歩いていたが、なかなか目的の中央ホールに近づくことができなかった。

 

 大迷路の中には、オアシスという休める場所があるので、タップが用意してきた食べ物や飲み物を出してもらった。タップの口の中にはお皿やコップも入っていて、ドラえもんのポケットみたいであった。

 

 食事をしていると、突然、「ズ・ズ・ズ~ン ドサ ドサ」とナポギストラーの機動部隊の艦砲射撃を受け、皇帝は「ドカン ドカン ドカン ドカン」と激しく攻撃し、「ウテ!! ウテ!! 島ヲマルゴトフットバセ!!」と命令した。

 

 サピオたちももっともっと深いところへ逃げ込んだが、天井に裂け目ができ、大迷路が崩れだした。機動部隊は全軍上陸し、戦車に乗った皇帝は「さぴおト仲間タチヲサガセ。ヒトリモニガスナ!!」と命ずると、大迷宮の入口を発見したという知らせが伝えられた。

 

 砲撃が止むと、大迷路の中は発電所やコントロールセンターもやられたので、停電になっていた。タップが「ホタルライト」を出すと、目の前でガイド・マウスが大きな岩石の下敷きになって、メチャメチャに破壊されていた。

 

 タップの耳は特別に感度がよいので、ロボット軍が大勢こちらにやってくる足音を聞き取ることができた。ガイド・マウスを破壊され、道はわかっていなかったけれども、ひとまずもっと奥へ進まざるをえなかった。サピオのカプセルが破壊されていたので、タップがサピオをおんぶしてあくまでも前進することになった。

 

 ジャイアンとスネ夫は人間がつかまってどこに押し込められているか見当もつかなかった。人間がひとりもいないので、パトロールのおまわりさんに尋問され人間であることが見破られ、追われることになった。

 

 レストランに入っても、テレビのニュースで、人間が二人この町に流れ込んだと報道され、主人から怪しまれて、追い掛けられることになった。

 

 夜になり、腹ペコであったので、町を歩いているといいにおいがしてきたので、行ってみると、パンやスープなどを作る工場であった。ジャイアンとスネ夫がパンやハンバーグを「ガツ ガツガツ ムシャ ムシャ モグ モグ ハグ ハグ」と腹いっぱい食べることができた。

 

 お腹がいっぱいになったので、人間たちのつかまっている場所をつきとめようと考えていたら、スネ夫にすばらしいアイディアが閃いた。この食料は人間用であるので、食料の山にまぎれてついていけば、人間の居所をつきとめることができるというものであった。

 

 大迷宮の中では、ガイド・マウスが使えなくなったので、方向がまったくつかめず、何日経過したか、夜なのか昼なのかもまったく見当がつかなくなってしまった。オアシスに着いたと思ったら、グルグル歩きまわって結局もとに戻ってしまった。

 

 サピオは「すまない…。地球人のきみたちまでこんな目にあわせて…」と謝ったあと、タップにトランクを出すように命じた。「ジャキーン ジャキーン ジャキーン」とドアが現れると、ロボット軍がこないうちに、このドアをくぐって、うちに帰りなさいと命じた。

 

 しかし、しずちゃんやのび太は友だちを見捨てるわけにはいかないとがんこに反対した。サピオは「ぼくはチャモチャ星人だもの。最後まで戦う義務があるんだ」と言うと、タップに命じて、ふたりを「ボカ」とドアの向こう側へ蹴り飛ばさせた。

 

 「ジャキン ジャキーン」と閉じて、トランクは「パッ」と消えてしまった。のび太はしずちゃんに「ジャイアンにも、スネ夫にも、ドラえもんにも!! あえなくなっちゃったんだ!! ワ~!!」と泣き崩れた。

 

 ジャイアンとスネ夫はうまくトラックに乗り込み、目的地に無事着き、ほかのロボットと同じように荷物になり自分の足で倉庫へ移動しようとしたとき、警備用のロボットイヌに「ワン ワン ワン ワン」と吠えつかれ、人間であることがばれてしまった。

 

 運搬用のトラックを奪い、スネ夫が運転をし、ジャイアンが警備員の攻撃をかわしながら、全速力で逃げることのできるところまで徹底的に逃げた。

 

 のび太はひさしぶりに家に帰ったので、ママに気づかれないように「ソロリ ソロリ」と自分の部屋に入ることができた。疲れたので、ドラえもんのベッドルームである押し入れに入ってひと眠りしようとした。

 

 「るす中ぼくがかってにあがりこむと、カンカンにおこったっけ。プライバシーをのぞくなって! 当人は秘密のつもりでもぼくはどこになにがあるかちゃんとしってたんだけどね。足もとには四次元くずかご、そしてまくらの下に…」と寝っ転がって考えていたら、ひょっとして今も…という気になり、さがしてみるとさがしていたものを見つけることができた。

 

 しずちゃんのところへ行って、「ジャジャーン これなに」と聞くと、「パンツ」という答えが返ってきたが、実際はドラえもんの「スペア・ポケット」であった。のび太が「この中の四次元空間はドラえもんのおなかのポケットにつながっているんだよ」と説明すると、しずちゃんはすぐに納得してくれた。

 

 のび太がポケットに足を突っ込むと水びだしだったので、しずちゃんから「ドラちゃんが今どんな状況にあるかわからないでしょ。海の中かもしれないし真空の宇宙空間かもしれない」と注意されたので、「テキオー灯」を使って、ポケットの中へ改めて入ると、のび太は消えてしまった。