のび太と雲の王国Ⅱの2[★★★]

[初出誌] 『のび太と雲の王国』、「月刊コロコロコミック」199111月号、25頁、141コマ

[単行本]  『のび太と雲の王国』、「てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん VOL.121994725日 初版第1刷発行、29頁、163コマ

[大全集] 『のび太と雲の王国』、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 52012328日 初版第1刷発行、29頁、163コマ

 

[梗概] ドラえもんが「テキオー灯」を浴びて、水の中へもぐると、ばかに浅い海底で、この辺だけが丘みたいになっていて、まるで島の上の方だけがちょん切ったみたいな状況であった。

 

 雲の王国に戻ると、さっきまいた草のタネがもう生えて、一面緑になっていたけれども、王国が完成するには、ドラえもんの計算によれば、あと、二・三年かかりそうであった。

 

 パパの友人が会社を設立し、あっという間に大会社になるので、今から株主になっておけば、かならず値上がりして大もうけできるという話をしていた。

 

 ドラえもんが、「会社を作るには資金がいるだろ。そこでお金を出してくれる人を集めて株をわたして…。その会社がもうかったら、お金をだしてくれた株主たちに配当金を…」と詳しく説明してくれた。のび太にはある考えが閃き、ドラえもんの手を取って「天国は近づいた!!」と喜んでいた。

 

 次の日、のび太はジャイアン、スネ夫、しずちゃんを家に集めて、雲の王国の話をした。そして、ひと株百円で株を買ってもらって資金にし、株式王国にするという案を発表した。

 

 しずちゃんは一株、ジャイアンは半株、スネ夫はへそくりの一部を出して、ドーンと三百株買ってくれた。ドラえもんはさっそく未来デパートに行って買い物をすることになった。

 

 雲の王国に行ってみると、みんな美しさに感動し、これが雲の上とは信じられないといった心境であった。道具も材料もそろったので、王国建設工事をスタートさせた。

 

 そして、みんなに、「ここが王宮の丘。このへんに野球場、そのとなりに東京ドームほどのカラオケホール、テニスコートやディスコ、気のきいたレストラン、わたしのおうちは湖のほとりに」というように設計図を書いてもらった。

 

 アフリカ・ケニアの草原では、密猟者が象牙を高く売るために、水辺に集まったゾウを鉄砲で撃とうとしていた。そのとき、「キ~ン」という音ともに、ゾウはもちろんのこと、密猟者たちもいっしょに空に吸い上げられてしまった。

 

 ブラジルのアマゾンの熱帯雨林でも、「キ~ン」という音ともに、ヒョウだけでなくジャングルの草木も「ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ…ガク ガク ズ・ズ…」と三日月の出ている夜空に吸い上げられてしまった。

 

 お城の城壁の上からながめると、主な建物はほとんど完成していた。ドラえもんはプラモのソーラーカーを「ビッグライト」で大きくして、ひとり一台の車を用意していた。この車を使って王国の主な建物を見学し、湖を一周するハイウエイのドライブを楽しんだ。

 

 各人は自分の好きな家を選んで、自分たちの好きなことをはじめた。のび太はさっそく昼寝をはじめ、しずちゃんはバイオリンの演奏に没頭していた。スネ夫は雲ロボットとテニスを、ジャイアンは雲ロボットと「みこみのあるやつはジャイアンズのレギュラーにしてやる」といいながら野球を始め出した。

 

 ドラえもんとのび太が「一キロ四方の密林が突然消えました」というテレビのニュースを聞いていると、「ズシ~ン」とすごい音がしたので、のび太は地震と騒いで逃げようとした。ドラえもんは王国が風に流されて、高い山にぶつかったかもしれないと考えて、「地下室…じゃない雲下室の底の底へ」急いだ。

 

 ドラえもんが「ガ・ガ・ガ…」と扉を開けると、雲の下はものすごい吹雪であった。山の頂上が引っかかっていたので、懸命にはずそうとしていたら、のび太が「へんな物がちかづいてくるよ!!」と絶叫した。