のび太のドラビアンナイトⅤの1[★★★]
[初出誌] 『のび太のドラビアンナイト』、「月刊コロコロコミック」1991年1月号、32頁、184コマ
[単行本] 『のび太のドラビアンナイト』、「てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん VOL.11」1991年8月25日 初版第1刷発行、32頁、184コマ
[大全集] 『のび太のドラビアンナイト』、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 4」2011年12月27日 初版第1刷発行、32頁、184コマ
【初出誌vs.大全集】
変更なし
[梗概] 大魔神は宮殿の中庭に降りた。中庭では、鳥が歌い、花が咲き乱れ、噴水は水晶のようなしぶきを上げていた。本物の水に触れるとみんなは生き返ったような気になった。
突然、ライオンのオバケが「ウルル…だれだ、なにをしにここへきた!?」と脅したあと、ひさしぶりのお客でうれしくてついふざけてしまったと言いながら、「ドロン」ともとに戻り、「宮殿の王である船乗りシンドバットと呼ばれる男」と自己紹介をした。
しずちゃんは「まだ生きているのが信じられないくらいだわ。おそろしい砂嵐…。ハンカチで口をおさえても息もできないぐらい…。もうだめかと思ったけど、気がついたら夜があけて嵐もおさまり、あたしもぶじだった。信じるわ! のび太さん、ドラちゃん、タケシさんに、スネ夫さん…。きっと助けにきてくれるわ!!」と信じて懸命に逃げた。
アブジルは「船は沈む。砂嵐にはでっくわす。おまけにだいじな女奴隷にはにげられる」と嘆いていたが、ラクダが「クン クン」と新しい女の子の足あとを見つけた。アブジルは「あの子さえつかまえりゃ大もうけのチャンスが…」と考え、ラクダを「ドドド ドドドッ」とけしかけて、しずちゃんを懸命に追わせた。
宮殿の王さまはさまざまな自慢品を見せてくれた。びんの中をよく見ると、大魔神が入っていた。びんの中から出ると、巨大な魔神になり、ふたを開けた人の命令に従うが、強すぎて使いこなすのがむずかしいとのことであった。
それよりちょっと弱いがランプの精を「ゴシ ゴシ」こすると、「は、はいっ、ご主人さま!! すぐにいってまいります!!」と用事も聞かないでとびだした魔神がいた。
スネ夫が重要な質問があります。「ぼくらがはるばるアラビアにきたのは女の子を…」と言いかけると、王さまは「なんだ、女の子をさがしにきたのか、それならそうと早くいえばいいのに」と言いながら、たくさんのロボットの女の子を呼び寄せた。
王さまが「しょっちゅうネジをまかねばならんのがめんどくさいけどな」と愚痴をこぼすので、みんなは「だめだこりゃ…」と思ってしまった。
しずちゃんはアブジルにつかまり、「ヒュン ビシ」とムチで打たれることになった。このムチで打たれると皮が破れて血が噴き出すんだぞ!」と脅され、二度と逃げられない状況に追い込まれていた。
あわて者の魔神がランプに入るとき、「男が女の子を追いまわしてますけど」と王さまに報告した。みんなは「しずちゃんだ!!」と叫んだ。友だちが奴隷商人にさらわれたことを王さまが知ると、「そんなだいじなことをなぜだまってた!!」と怒鳴りつけたが、みんなは「しゃべらせてくれないんだもの」と抗議した。
王さまは空とぶじゅうたんを出し、みんなでしずちゃんを助けに出掛けた。アブジルはしずちゃんに「ご主人さま、二度とにげたりしません」と言わせようとしていた。
しずちゃんが「そんな…心にもない約束…できません」と拒否したので、アブジルは「強情者!!」と叫んで、ムチで打とうとしていたとき、空とぶじゅうたんの上のドラえもんが笛を吹いて、ターバンにアブジルのムチを奪わせることに成功した。
しずちゃんを取り返そうとしたが、悪党の仲間じゃ名の知れたアブジルにはまったく歯が立たず、あっという間に全員打ちのめされてしまった。それを見ていた王さまは「兵士のタネ」を「パラ パラ」と撒き、たくさんの兵士を出して、アブジルをつかまえることに成功した。
しずちゃんは「信じていたわ。きっときてくれるって…」と大粒の涙を流しながらガッチリとのび太の手を握り、感激の対面を果たすことができた。
アブジルは「シンドバット大王さま」と呼びかけ、砂漠で倒れていたとき助けていただいた者だと感謝の言葉を述べた。
「なんとかお礼をと思って、苦心してかわいい女奴隷を手に入れ、はるばるつれてきたのでございますよ」と告げると、「まだそんな悪いことしているのか!! 人間を売り買いするなんてとんでもないやつだ!!」と叱りつけ、水と食べ物だけを与え、「町へ帰って二度と顔を見せるな!!」といって空とぶじゅうたんで帰っていった。
アブジルは「おぼえていろよ!! アブジルさまをこんな目にあわせやがって!! このうらみは何百倍にもしてかえしてやるぞ!!」と怒りをあらわにした。
しずちゃんはアラビアのお姫さまみたいな服装でみんなに歓迎された。王さまは体力がついたらバクダットに送ってあげようと約束してくれて。「ただし、そのときはわすれ薬を飲んでもらう。この王宮の記憶を消すために」というのが条件であった。
ドラえもんには「どうやってこんなところにこんなりっぱな宮殿を建てたのか。あのふしぎなコレクションをどうやって手に入れたのか…」皆目見当もつかなかった。
夜寝ていると、「トントントン」と声が聞こえたので、のび太とドラえもんがその音のするところへ行ってみると、王さまが「アブジルのことがみように気になってね。千里眼の池でようすをみようと…」としていた。あまり調子がよくないので、「トン トン」と叩くと、丘の上のアブジルが映し出された。
アブジルは船乗りがなにも目標のない海の上で、星の位置から方角をみさだめる道具を使って、この王宮の方角を調べていたものと思われた。
しかし、「あそこからこの王宮までは歩けば十日以上、「地獄のナベ底」といわれるやけただれた砂漠を横断しなければいけない」ので、そのおそれはたぶんないだろうと王さまはみなしていた。しかし、念のために見張りを厳重にして警戒することになった。
アブジルが食事をしていると、盗賊のカシムがやってきて、黄金宮を探しているけれどもなかなか見つからないので、確かな話かとアブジルに尋ねている。
アブジルは「この前、あそこをでるとき、シンドバッドのやつめ、わすれ薬を飲ませようとした。飲んだふりをしてはきだしてやったのさ」と言いながら、黄金宮に行ける道を知っており、子分になれば連れて行ってやってもいいぞという条件を出した。
アブジル親分にしたがって、岩がゴロゴロして歩きにくい道を歩いていると、大きな岩の前に止まり、アブジルが「ひらけゴマ!!」と唱えると、「ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・」と大きな岩がひとりでに動き出した。
みんなが中に入ると「とじよ、ゴマ!!」と唱えた。アブジルによると、「この空間はわしらの世界とはちがう世界をとおっているのさ」という説明だった。行き止まりになったので、アブジルが再度「ひらけゴマ!!」と唱えると、目の前に黄金宮が忽然と現れた。