のび太のドラビアンナイトⅢの1[★★★]

[初出誌] 『のび太のドラビアンナイト』、「月刊コロコロコミック」199011月号、25頁、145コマ

[単行本]  『のび太のドラビアンナイト』、「てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん VOL.111991825日 初版第1刷発行、25頁、145コマ

[大全集] 『のび太のドラビアンナイト』、「藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん 420111227日 初版第1刷発行、25頁、145コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 変更なし

 

[梗概]  じゅうたんが空を飛んでいるので、みんなからミクジンはぼろくそに攻撃された。しかし、ミクジンは「1783年モンゴルフェ兄弟が熱気球を発明するまで、人間は…」と訴えたが、「じゃあ、あれはいったい何だよ!?」と指摘されると、「知ーらない!!  やーめた!!」とどこかへ行ってしまった。

 

 みんなが風のまにまにただよっている空とぶじゅうたんを追い掛けると、はりこの人形だと判明した。岩の上からラシード王がそれはじゅうたん屋の看板で、きのうの竜巻で巻き上げられたものであると教えてくれた。ドラえもんは「やっと空想世界とつながりができたかとよろこんだのに…」とがっかりしていた。

 

 王からガッカリする前に気をつけろと注意された。「われわれは泣く子もだまる砂漠のサソリ団!!」と名乗る盗賊が現れたので、のび太は「四十人近くの盗賊だ!! 助けて!!」とドラえもんに抱きついた。

 

 「ドドドッ ドドドッ」と親衛隊がやってきたので、王は「砂漠に巣食う毒虫ども! 一匹のこらず狩りつくせ!!」の指令で、首領のカシム以外は全員逮捕された。

 

 王は「王国全土に指名手配せよ。悪者は根だやしにせねばならぬ。だれもが安心して住める国、異国の商人も安心して訪れてくれる国をつくるのだ」と宣言し、ドラえもんたちを異国の話を聞くため、王宮に招待してくれた。

 

 王さまより、どこから、なにを目あてに、このバクダットへこられたのかなと質問を受け、ドラえもんは「インドや中国よりもっと東、海の中の島国からきたことを告げ、のび太は奴隷船に乗せられていると夢みたみなもとしずかの写真を見せた。

 

 王さまより、「チグリスの河口近くにバスラという港町がある。世界中の船のりが集まるところだ。わたしのサイン入りの通行手形をあげよう。なにかに役に立つかもしれない」と手渡された。

 

 港町バラスに着いたが、さまざまな人々が入港し、ごった返しているので、しずちゃんの写真を見せたがまったく手がかりがなかった。「もうくたびれちゃってよ。だれにきいてもしらない、みたこともない…」といった状態であるので、スネ夫が「ね、おじさんも知らないでしょうね?」と写真を見せて尋ねると、「知っている!?」という返事が返ってきた。

 

 「十日ばかり前だったかな。奴隷商人が船にのせた二十人ばかりの中に、たしかにその子がいたような…。船は東へ向かって出帆していった」という情報であった。

 

 「追っかけよう!!」となったが、どうすればいいかと困って話していると、その老人がやってきて、「あんたがたも船を一そう買いなされ」とアドバイスし、たったの百ディナールの幽霊船のような船を紹介された。ドラえもんはミクジンのくれたサイフからいくらでもお金を出すことができたので、その船を買うことにした。

 

 国の役人が「こら、そこの船! 無とどけの出帆は違法だぞ!! あやしいやつ! 連行してとり調べる!!」と宣告されたので、ドラえもんが通行手形を出すといっぺんに許可が出た。その間に、老人は人相の悪い船員ばかりを集めてきて、水や食料を積んで出帆する準備を整えた。

 

 「ザザザーン」と出帆したが、船足が遅いので、ドラえもんは「風神うちわ」で船底から風を送った。強く吹きすぎたので、「ヒャー、速すぎて船がこわれる!!」という状態になったので、かわりばんこにもっとゆっくり吹いてもらうことになった。

 

 夜になると、河口を出て、もうペルシャ湾のまっただ中まで進むことができたが、十日前に出航しているので、なかなか奴隷船に追いつけなかった。船室で寝ようとしたら、クモの巣だらけであったので、「みの虫式スリーピング・バッグ」を帆柱につり下げて寝ることにした。

 

 のび太が寝ていると、しずちゃんがクサリにつながれて、「ギラ ギラ」光る砂漠を歩いているシーンが見られたので、「おーいたすけにきたよ~。しずち~ゃん!!」と叫ぶと、なぜか「ドバーッ ボチャ ボチャン」と海に落下してしまった。

 

 正体を現した盗賊のカシムがバッグのヒモを切り落とし、みんなに「おかげで脱出できた。礼をいうぜ。このカシムさまにであって、命があっただけでもありがたいと思いな」の捨て台詞を残して、船とともにどこかへ消えてしまった。

 

 雨が「ポツリ ポルリ」と降り出し、空模様があやしくなってきた。「ビュゴオオオ…ゴオ ワアーッ 大嵐だ!!」というように海上は大荒れになった。