大雪山がやってきた [★★]

[初出誌] 『公園でスキーを!!』、「小学六年生」197910月号、17頁、101コマ

[単行本]  『大雪山がやってきた』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第19巻」1980725日 初版第1刷発行、17頁、103コマ

[大全集] 『大雪山がやってきた』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 72010428日 初版第1刷発行、17頁、103コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 タイトル『公園でスキーを!!』が『大雪山がやってきた』に変更

 「………………」コマ挿入[521(1)]

「文字なし」コマ挿入[521(4)]

 

【単行本vs.大全集】

  「アハハ、今ごろ行ったって、人が多くてすべれないだろ」が「アハハ、十月からスキーだって、アハハ」に変更[508(2)]

 「人が少ないから、のびのびとすべれるんだ」が「十月中ごろからすべれるんだ」に変更[508(3)]

 

「帰ってきたら、名スキーヤーぶりを公開するから楽しみにね」が「冬には名スキーヤーぶりを公開するから楽しみにね」に変更[508(4)]

「そんな!!ぼくだけすべれなくて、はじをかいちゃうよ!」が「冬になってぼくだけすべれなくて、はじをかいちゃうよ!」に変更[509(7)]

 

[梗概] スネ夫がスキーの話を始めると、のび太が「アハハ、今ごろ行ったって、人が多くてすべれないだろ」と茶々を入れた。スネ夫は悠然と、「飛行機でひとっとび。北海道の夕日岳へ行くんだよ。

 

  人の少ないから、のびのびすべれるんだ。…。帰ってきたら、名スキーヤーぶりを公開するから楽しみにね」と切り返している。のび太やジャイアンはもちろんのこと、しずちゃんまでも複雑な心境で家路についた。

 

 次の日、北海道のスネ夫から「雪質がいいんだ。フワフワ軽くて。すべれないきみにこんなこといってもわからないだろうけど」と嫌みたっぷりな電話がかかってきた。

 

  頭にきたのび太は「ぼくも負けずに夕日岳で技術をみがくぞ」と宣言したが、「どこでもドア」が故障して使えないので、なんとかドラえもんに頼んで、今まで使ったことのないひみつ道具『空間入れかえ機』を出してもらっている。

 

 この機械を使うと、「チョークでかこった部分を、ほかの場所ととりかえる」ことができる。のび太の部屋をチョークでできるだけ広くくって、夕日岳のゲレンデを持ってくることにした。ドラえもんは「いつものようにすぐいやになって、投げだすなよ」と釘を刺して、どこかへ行ってしまった。

 

  のび太はスキーをはいて「ヤッホー!!」と叫びながら、滑り出すと、「ツル ゴロ ゴロ ゴロ」といつものように転がり出した。さらに、調子が出たと思ったら、「ドン」と本棚に激突してしまった。

 

 二階に上がってきたママから、手紙の投函を頼まれたが、体が痛くてそれどころでなかったので、夕日岳の代わりにポストを呼び出すことにした。うまく用事を済ますことができたので、空き地を出したり、しずちゃんの部屋を出したりした。

 

  しずちゃんが世界中の地図を持っていたので、パリのシャンゼリゼ大通り、アマゾンの原始林、エベレストの頂上、アフリカのサバンナの一部を次から次へと出して楽しんでいた。

 

 ハワイのワイキキビーチで泳ぐことになり、しずちゃんが泳いでいるかたわらで、のび太は浮き袋に腰を落とし、のんきに「アロハオエ~」と歌っていた。

 

  帰ってきたドラえもんに怒鳴られてしまったが、のび太に狭くて、スキーなんかできるわけがないと言われたので、それももっともだと思い、今夜うんと広い夕日岳を持ってくることにした。

 

 夜になると、チョークで公園をスッポリ囲んで、公園を雪山に替えてしまった。一面の銀世界で滑っても、相変わらず、「ゴロ ゴロ」の連続であった。

 

  のび太が「ねえドラえもん、ぼく、思うんだけど…。もう少しうまくなってから練習したほうが…」と甘ったれるので、ドラえもんは厳しくにらみつけて、死の特訓を開始した。

 

 厳しい指導のため、のび太の「死ぬう。たすけてえ」の悲鳴は何度何度も、広いゲレンデにこだましていた。一方、スネ夫の一家は道に迷ってロッジに帰れない状態になっていた。

 

  ママが「ゲレンデなんかつまらない、ツアースキーをやろうなどと、キザなこというからざます!!」と腹を立てて叱りつけると、スネ夫も「キザは親ゆずりだい!!」と反論している。

 

 明日になると、パパは会社の仕事、ママはPTAのお茶の会、スネ夫は学校だと騒いでいると、目の前に一台のタクシーがやってきたので、パパが「夕日岳のロッジまで」と頼むと、運転手は「夕日岳のロッジってどこの?」と尋ねるので、パパと運転手の間で、「北海道の大雪山山系の夕日岳に決まってるでしょうが。

 

  タクシーじゃ、料金が大変ですよ。金にはかえられない。やってくれ!!」といった会話が続いた。

 

 のび太が「やだよ、もう」と泣き出すので、ドラえもんが「根性がないなあ。もとにもどすよ」と言って機械を操作していた。そのとき、かたわらの道路を走るタクシーから「はやく! はやく!」という声が聞こえてきた。

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