あいあいパラソル[★★]
[初出誌] 『無題』、「小学五年生」1976年9月号、8頁、52コマ
[単行本] 『あいあいパラソル』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第12巻」1976年12月25日 初版第1刷発行、8頁、52コマ
[大全集] 『あいあいパラソル』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 5」2010年1月30日 初版第1刷発行、8頁、52コマ
【初出誌vs.大全集】
タイトル『無題』が『あいあいパラソル』に変更
「あー、あぶなかった」が「ああ、あぶなかった」に変更[382(2)]
[梗概] のび太がしずちゃんの家に遊びに行くと、ママから「矢部小路さんの家へ」行っているとのことであった。のび太は「コーシャクのやつが転校してきてから、しずちゃんあいつとばっかりくっついているんだ」と、大きな不満を持っていた。
しかし、「ちょっとばかり家が金持ちで美男子でスポーツマンで頭がよくて…」と数えていくと、のび太はうらやましくなってきた。
のび太がコーシャクの家に行くと、「矢部小路さんとお話しいてると時のたつのをわすれるわ。ぼくたち気があうんだね」という、ふたりの会話と姿をバッチリ目にすることになった。
ドラえもんマンガにおいて、コーシャクの登場はこの作品が最初で最後となった。しかも、ふたコマの登場のうち、手と足のみ描かれたひとコマだけでも、しずちゃんを魅了した状況が手に取るようにわかった。
心配になったのび太は家に帰って、ドラえもんにしずちゃんがほんとにぼくのおくさんになるかどうかを再確認している。すると、ドラえもんから「そうともかぎらない。未来なんてちょっとしたはずみでどんどん変わる」と言われたので、のび太は顔を真っ赤にして、「無責任だぞっ」と怒鳴りだした。
のび太に強力な恋のライバルが現れたので、ドラえもんも「男なら正せい堂どうと自分のみりょくで勝負しろ」と励ました。しかしながら、のび太から「みりょくでぼくが勝負できると思う?」と、ストレートに尋ねられたので、ドラえもんも「思わない」と言わざるを得なかった。
そして、ドラえもんはいつものように、ひみつ道具『あいあいパラソル』を出さざるを得ない心境になった。このカサの下に五分間一緒にいると、向かって左側の人が右側の人を好きになるというものである。
このカサを持って出掛けると、しずちゃんに会ったので、カサをさすと、しずちゃんが雨でもないので、みっともないわといって逃げ出してしまった。ドラえもんはもっと頭を使って、例えば、カサを木に吊してその下で立ち話をするという案を出している。
のび太がしずちゃんを呼びにいっている間に、ひとりの紳士がドラえもんに山田さんの家を知らないかとやってきた。ドラえもんが詳しく説明していると、その紳士は「心から愛しておるよ」と叫んで、逃げるドラえもんを追い掛けだした。
しずちゃんに出会ったので、ほんの五分でいいからとお願いしても、矢部小路さんとこへもどるので、またあとでねと言われてしまった。ぼくは失恋する運命なのかとションボリして歩いていると、雨が降り出したので、矢部小路の家の前で待つことにした。
矢部小路の家に向かうとき、ジャイアンが強引にカサの中に入ってきた。のび太も最初、「あ、あの…まずいんだけど」と言い掛けたが、「なにっ、こまってる友だちを見すてるのか」と凄まれてしまった。
時間がどんどん立って、のび太はジャイアンに「おれはもうおまえをはなさないぞいいだろう」と激しく追い掛けられることになった。ドラえもんも紳士に追いかかれれている光景を見て、矢部小路にカサをさしてもらっているしずちゃんは「なにをしてるのかしらあの人たち」と不思議そうに見ていた。
[S0554・A1214・057609]