ウルトラよろい [★★]

[初出誌] 『ウルトラよろい』、「小学二年生」19778月号、7頁、54コマ

[単行本]  『ウルトラよろい』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第16巻」1979125日 初版第1刷発行、7頁、54コマ

[大全集] 『ウルトラよろい』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 92010830日 初版第1刷発行、7頁、54コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 変更なし

 

 [梗概] ドラえもんが「すぐぼくばっかりたよりにして。まけてもいいから自分の力でぶつかってみろと」説教すると、のび太は「ジャイアンのげんこつはいたいんだから。いっぱつなぐられただけで目の前がまっくらになるんだ。せめてよろいでもつけていたらけんかもできるんだけど」と反論してきた。

 

 のび太には勝てないと思ったドラえもんはひみつ道具『ウルトラ・スペシャル・マイティ・ストロング・スーパーよろい』を出し、「これはばかには見えない。それに、ばかな人だと、これを着ても、やくにたたないんだ」と付け加えている。ドラえもんから、「おいまさか…きみこのよろいが見えないほどのばかじゃないだろう」と言われたので、のび太も「み、見えるとも。いやありっぱなよろいだねえ」と答えている。

 

 のび太がジャイアンをぶんなぐってやると言いながら出かけたので、ドラえもんは「まさか本気にするとは思わなかった。『はだかの王さま』の話を知らないのか」と困り果てて、呼びに出かけている。

 

 装着しているような気がしないと思って歩いていると、しずちゃんに出くわしたので、このよろい見えるかと聞いてみると、見えるに決まっているじゃないのと言われた。たまたまよろいの展示されている古道具屋の前でのできごとだった。

 

 のび太はもともとりこうだと思っていないけれども、よろいが役に立たないほどのばかだったら困るので、一度試してみようと思った。目の前のボールと上からペンチがのび太の頭上で、「ガチーン」と衝突したため、試すチャンスを逃してしまった。いつもかみつくイヌの前でよろいを試すため、仁王立ちに立っていたら、「シーザー」ごはんと呼ばれたので行ってしまった。

 

 近くのいた男の子にバットで頭を、思いっきり「パカ」と殴ってもらったけれども、痛くもなく、たんこぶどころか、傷さえできていないので、のび太はよろいを本物だと思った。実際、バットはビニール製であった。

 

 よろいを本物と信じたのび太はスネ夫や安雄やはる夫に、「ジャイアンを見たら伝えてくれ。ぼくがなぐるといっていたって」とふれ回っていた。この話を聞いたジャイアンは「ころしてやるっ。そんな、なまいきなことをいってるなんて、ゆるせねえ」と息巻いていた。

 

 スネ夫は「でも気をつけたほうがいいよ。もんだいはあの弱虫がなぜ、とつぜんえらそうなことをいいだしたか」と忠告した。すると、ジャイアンも、「そういえばおかしい。ひょっとしてなにかすごいものをかしてもらって…」と、めずらしく「ブル ブル」震えだした。

 

 のび太が自信たっぷり、「まっていたぞ、ジャイアン。さあ、どこからでもかかってこい」と戦いを挑んできた。すると、ジャイアンは「さっきはわるかったあやまる。おまえは、男らしいやつだ。これから親友になろうな」といって握手を求めてきた。のび太も「いいとも。けんかはすきじゃないんだ」と鷹揚に答えている。

 

 ジャイアンが「ウルトラ…よろい」の話を聞くと、「そ、そんなすごいよろいならいっぺん着てみたいな」とリクエストしてきた。のび太は「ことわっておくけど、ばかにはきかないんだって」と言いながら、ジャイアンの頭をバットで「ボカ ボカ」なぐっている。顔をゆがめたジャイアンは「いたくない、いたくない。すごいよろいだなあ」と粋がっていた。

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