年末からずっと仕事と実家の手伝いで忙しかった。


まぁ毎年恒例なので、慣れてしまったけど。


実家の手伝いをしてると、牡蠣剥きに来てるおばちゃんに


『親孝行やね』とか言われる。


自分でもそう思ってた。



でも、そうじゃない気がした。




先々週末、牡蠣祭りの準備のために、帰省したときのこと。


休憩がてら、地べたに座って、ふと周りの景色を見ていた。


子供のころは、畑と舗装されていない道しか見えなかった風景。


親の仕事といえば、底引き漁やいかなご漁で、


今のように牡蠣の養殖はしていなかった。



その頃は、年末になるとおもちをついたり、おせち料理を作ったりと

のんびり過ごしてたと思う。



瀬戸内海の漁獲量が年々減少していくなか、始まった牡蠣の養殖。


冬の寒い中、日が明ける頃に海に出て行くおとん。


年末は、シーズンで一番値が良いため、休みもなく大忙し。


そして、年の暮れを感じることなく迎える新年。


大学に入るまでは、何かと理由をつけて手伝わんかったなぁ。



…そんなことをぼんやり考えてた。




一昨年、還暦を迎えたおとん。


昔と比べたら、ずいぶん細くなったなぁ。


でも、漁師の仕事は、年をとっても変わらない。


体一つで勝負せなあかん。


あと、10年経ったら、どうなってるんやろ。


続けてるんかなぁ、漁師。


そんなこと思ってたら、急に寂しさが込み上げてきた。



漁師の息子ができるほんまの親孝行は、継いであげることかもしれん。


でも、俺はそれを選ばなかった。


大学院まで出してもらって、ほんま感謝してる。




だから、せめて忙しい時は、何があっても駆けつけたい。


一緒に仕事してるときは、いろんな話がしたい。


あとどれくらい手伝うことができるかわからんけど、


少しでも長く漁師が続けられるように。。。