こんばんは。都議の栗下です。

ここのところブログの更新が滞っておりすみませんでした。というのも昨日経済港湾委員会で行われた質疑で、できる限り多くの声を届けたいということで、そちらの方に全集中しておりました。今日は昨日の質疑の内容についてご報告したいと思います。(実際の質疑動画はコチラ)

今回主に取り上げたのは東京ビッグサイトの問題です。これまでツイッター等で幾度も取り上げさせていただいていますが、2020年はイベント事業者にとって大きな問題が次々と発生しており、それがイベント産業の今後に暗い影を落としています。
質疑概要は文末に載せさせていただくとして、昨日の質疑のポイントを簡潔に伝えたいと思います。


<コロナの問題>

■イベント産業のダメージはやはり深刻
コロナ感染拡大によってイベントの数が減っているというのは多くの方がご存知だと思いますが、「どれくらい減っているのか?」についてご存知でしょうか。昨日質疑を通じて出てきた東京ビッグサイトの前年比月別利用面積はそれを伝えてくれる数字だと思います。

4・5・6月は0件、7月は利用延べ床面積ベースで前年度比1.2%、8月は13.8%、9月は33.9%、10月は41.6%。
 
いかにダメージが大きいかがわかると思います。最も厳しいと言われ、政府も大型支援策を打っている飲食・観光と同様に厳しい。

■キャンセル時の会場費については返還すべき
コロナが理由で利用をキャンセルせざるを得なくなった時に、会場費が返還されるようこれまでも求めてきましたが、「今年度いっぱいのイベントは返還」というのは実は「条件付き」であることがわかりました。6月頃に意思確認をして、開催するとしていたならば会場費は返還されない・・。今このことが事業者に重くのしかかっています。感染者の急増を鑑みて、意思確認後にキャンセルした場合でも返還するよう求めました。

ちなみに昨年は頑なに認めなかった台風等で計画運休が行われた際の会場費返還について、都度質疑してきましたが、これは規定が改められた旨明確な答弁がありました。

■コロナ対策は事業者の大きな負担になっている
緊急事態宣言解除後、イベント開催には通常にも増して多くの人的物的コストがかかるようになりました。
例えば、入退場管理、個人情報登録、検温器、その他の機材、空調費用、ハイブリッド化のためのwifi設備など。
来場者が減って難しくなった運営をさらに圧迫しています。会場としてこれらを後押しする具体的な提案もいくつか行いました。

<オリンピック・パラリンピック問題>

■1年延期で会場スペース問題はさらに深刻に
東京オリンピック・パラリンピックの開催に際して、ビッグサイトがメディアセンターなどとして使われることから、イベント事業者が活用できるキャパが減るという問題がありました。しかし延期になったことによってさらに深刻度合いが増しています。
質疑の答弁の中で、300件以上のイベントが調整を余儀なくされ、その半分以上はまだ調整が終わっていないことも明らかになりました。また調整が行われた145件のイベントのうち61件、半分弱のイベントが面積の縮小を余儀なくされたことがわかりました。
「触れられたくない」というムードではありましたが、やはり事業者に与えている負担というのは明確にすべきです。

■青海展示棟の期間延長について
東京テレポートセンター駅前にできた青海の仮設展示棟は、本来であれば今頃は解体されている予定でした。しかし、オリンピック・パラリンピック延期に伴い一年延長の手続きがとられました。この青海展示棟は、価格が低廉、アクセスも良いということで事業者の大きな後押しとなっています。この青海の仮設展示棟の更なる期間延長についても要望しました。

日本最大の展示会場である東京ビッグサイトでこれらの問題が発生していることで、イベント事業者がどれほど大変な状況にあるのかということを伝えてきました。今、イベント業界は先行きが見えないことによって、事業者は絶望しています。
感染拡大期を脱して回復期に入った時に速やかにイベント事業者を後押しできる支援策を行っていくべきだという提案を最後に行いました。

イベント会場費の減免、これは大阪市や名古屋市ですでに行われ、事業者からは高い評価を得ています。
また、イベント主催者の新型コロナ対策費用への支援。これも横浜市や千葉市をはじめ多くの自治体でやられています。
首都東京がこういった施策を準備市、回復期へと事業者が望みを繋げるようにしていくべきだということを最後に伝えましたが、これは本当に重要なことだと思います。


最後まで読んでいただいてありがとうございます。ただ、やはり質疑は実際に見ていただくことで伝わってくることが多いと思いますので、質疑動画も見ていただければ大変ありがたいと思っております。

この問題の大きさの割に、東京都および議員の問題意識も低いということを、昨日の質疑を通じて感じました。そういう方々のアテンションを集められるように、会場費減免をはじめとするイベント復興に向けた強力な支援施策実現に向けて、この問題を多くの方々に知らせるために、拡散などのご協力をいただけましたら尚幸いです。私も引き続き、全力を尽くします。


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以下、質疑と答弁の概要

●=栗下
⚪︎=産業労働局 商工部長

●都が所有する東京ビッグサイト、今ではイベント主催者や出展企業、来場者にとってなくてはならないインフラ

●2020年はこのビッグサイトの歴史上、過去にない、大きな問題が二つ起こっている、そしてそれらによって、関連する事業者はかつてない危機に直面している。

●まず、一つ目は新型コロナウイルスの感染拡大。イベント産業の実情をするために
 
Q1
昨年度実績と比較した、今年度の東京ビッグサイトの利用延べ床面積の比率は、月別でどのようになっているか伺う。
 
A1
○ 利用状況であるが、今年度の4月から6月までの利用は0件であった。
〇 その後、7月は利用延べ床面積ベースで前年度比1.2%、8月は同じく13.8%、9月は同じく33.9%、10月は同じく41.6%まで回復している。
 
●イベント産業が、巷で最も厳しいといわれ政府も都も大型の対策をとってきている飲食・観光と同様に大変厳しいということがわかった。直近でもまだ例年の半分までも回復していない。

●コロナ禍以降、イベント事業者にとって大きな懸案となっているのが、イベントをキャンセルしなくてはならなくなった時の会場費の問題。これまでも会場費の返還を求め、その都度対応は延長されてきたが、最新の状態はどうなっているのか
 
Q2
キャンセル時の会場費の返還について、どのような対応になっているのか、伺う。
 
A2
○ 施設利用の取消又は変更があった場合、利用者から取消料を徴取する取扱いとしているが、本年2月22日から7月31日までの利用分については、取消料は不要とし、8月1日から11月30日までの利用分については、中止の申し出があった催事の取消料は不要としている。
○ また、12月1日以降の利用分については、東京2020大会延期による利用調整に伴い、中止の申し出があった催事の取消料は不要としている。
 
●今年度一杯(12・1・2・3月)までは、返還の対象であるが、6月頃の意思確認時に「開催する」と答えたイベントに対してはその限りではない。今、その会場費の負担が事業者の大きな重荷になっている。
 
●コロナの先行きを正確に予測するなど誰にもできない。新型コロナ対策として事業者が迅速な判断ができた方が良い。全てのリスクを事業者に負わせるのではなく、今後キャンセルを決定したイベントについても会場費返還を行うよう強く求める。ちなみにポートメッセ名古屋では今年度中そういった対応になっている。
 
●話は少し外れるが、昨年の12月に質問した台風などで交通機関が計画運休となり、事実上イベント開催が不可能な場合において、東京ビッグサイトは会場費を請求していた。実際に昨年は、中止になったにも関わらず高額の会場費を請求されたケースがあった。台風時の対応について規定すべきと訴えてきたがどうなったのか。
 
Q3
台風などの緊急災害時のキャンセルの対応状況について伺う。
 
A3
〇 近年、台風等の被害が拡大していることから、今後、都内に大雨や暴風などの特別警報が発表され、かつ公共交通機関の計画運休が実施された場合には、通常は徴取している取消料を徴収しない取扱いとすることとしている。
 
●これは素晴らしい決断。台風が多い季節、また天災に対してもイベント事業者は安心してイベント開催ができる。高く評価したい。
 
●話をコロナに戻すが、現在イベント事業者は新型コロナ対策のために、来場者の大幅減、コロナ対策にかかるコスト増の板挟みに合っている。まず確認するが
 
Q4
東京ビッグサイトでは、新型コロナウイルス流行前と比較し、イベント開催にあたり、どのような条件を満たすように求めているのか、伺う
 
A4
○ 東京ビッグサイトが策定した対応指針及び展示会団体が策定した感染拡大予防ガイドラインに基づき、主催者に対し、来場者へのマスク着用や検温の徹底、展示会の上限人数の厳守などを求めている。
 
●ガイドラインを遵守するためには、多くの条件を満たさなくてはならなくなっており、それが我々の想像している以上に、事業者の重荷になっている。
 
●~事例~
入退場管理、個人情報登録、検温器、その他の機材、空調費用、ハイブリッド化のためのwifi設備など。
 
●これらが、来場者減で弱っている事業者をさらに苦しめている。それをサポートする意味でいくつか質問する。
 
Q5
東京ビッグサイト内の展示ホール内のトイレに、再度消毒液をおくようになった経緯について、伺う。
 
A5
○ 新型コロナウイルス感染症の拡大当初から、感染防止策の一環によりホール内のトイレに手指用の消毒液を置いていた。
○ しかし、感染拡大に伴い、消毒液の入手が困難となったことから、利用者が多く行き交う入口などの場所に優先して消毒液を設置し、展示ホール内のトイレの設置を一旦取りやめた。
○ 現在は、消毒液の入手が容易となったため、ホール内のトイレへの設置を11月上旬に再開している。
 
●消毒液を置くようになったことは、良いこと。トイレにペーパータオルを設置を希望する声もある。設置を求める。
 
●ソーシャルデイスタンスの確保に苦しむ事業者がある。通常より広くなった待機列のためにホールをかりて高額の会場費を払ったケースが複数件確認されている。
Q6
ソーシャルディスタンスを保つため、主催者が待機列の場所を確保する取り組みに対し、施設管理者であるビッグサイトとして可能な限りの協力をするべきと考えるが見解を伺う。
 
A6
○ 東京ビッグサイトでは、催事の開催に当たり、主催者から待機列の配置案を事前に提示いただいている。
○ その中で、展示ホール内で充分な間隔の確保が困難な場合には、他のホールで開催されている催事に影響が出ない範囲で、共用部を待機列用スペースとして提供している。
○ 様々な制約がある状況を十分踏まえ、主催者からのご相談に対し、適切に対応していく。
 
●最大限の配慮をお願いしたい。また、他の要望についても事業者に寄り添った対応をするよう求める。
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●2020年二つ目の大きな問題は五輪延期に伴って、一般の会場利用に大きな影響が出ていること。2020年開催でもそもそも大きな負担となっていた。そこでいくつか確認していく。
 
Q7(利用できない期間)
東京2020大会の延期により、東京ビッグサイトが利用できなくなる期間は確定しているのか、伺う。
 
A7(商工部長答弁骨子)
○ 東京2020大会の延期に伴う国際放送センターやメインプレスセンター等の工事着手日や完了日が確定していないため、利用制約期間も確定していない。
 
●まさに今オリンピック組織委と調整中ということ。利用不能になる期間を最小限に抑えられるよう調整に臨んでもらいたい。
 
Q8(利用調整の状況)
五輪延期によって影響を受けたイベントの件数はどれぐらいあったのか、そしてその後の調整は現在どの程度すすんでいるのか、伺う。
 
A8(商工部長答弁骨子)
○ 今年度に開催予定の催事のうち、調整対象となる延べ63件の催事主催者に対して開催時期の変更等を依頼し、既にすべての調整を終了している。
○ また、来年度に開催予定の催事のうち、調整対象となる延べ244件の催事主催者に対して開催時期の変更等を依頼し、現時点で82件の調整を終了し、残りの162件についても、現在調整を進めている。
 
●約300件のイベントが調整を余儀なくされた。大きな影響である。
 
Q9(利用調整による面積減少)
調整が完了した中で、延べ床面積が減ってしまったイベントはどれくらいあるのか、伺う。
 
A9(商工部長答弁骨子)
○ 調整が完了した145件の内、利用延べ床面積が減少することになったのは
61件である
 
●半分弱の事業者に対して、希望の面積をあてがうことができていないということ。延べ床面積の減少は事業者にとって大きな影響。広報をはじめ、準備にかかる費用も毀損されている。五輪延期がさらに大きな負荷になっているのがわかった。
 
●そんな中で、我々から青海展示棟の存続を要望し、一年延期が実現した。
 
Q10(青海展示棟の延長手続き)
青海展示棟の延長手続きはどのように行ったのか、伺う。
 
A10(商工部長答弁骨子)
○ 青海展示棟の整備については、平成30年3月に、建築基準法に基づく仮設建築物の許可申請を行い、令和3年3月までの期限で許可を受けた。
○ その後、東京2020大会の延期を受け、今年5月に、同法に基づく再度の許可申請を行い、撤去期間も含めて令和4年3月までの期限で許可を受けた。
 
●青海展示棟はコストも低廉で、アクセスも良く、多くの事業者の支えになっている。更なる延長についても検討するようお願いする。
 
●今日は二つの問題を取り上げてきたが、どれだけイベント事業者が厳しい状況に陥っているのか分かってもらえたと思う。
 
●特にここ2週間の感染者増で業界にはさらに沈鬱なムードが広がっている。国のガイドラインも2月末までは据え置きの決定がされた。
 
●イベントは継続性が命であり、赤字になっても開き続けなければならないという傾向もあり、明日が見えない中、事業者は本当に苦しんでいる。そこに「希望」となる支援策が必要。
 
●いずれくるコロナからの回復期を見据え、インテックス大阪で行われているような会場費用の半額減免を行うべきである。名古屋においてもすでにスタートし、三大都市で実はやっていないのは東京だけ。
 
●新型コロナ対策でのコスト増をサポートする施策をやっている都市も多い、横浜市、千葉市、福岡市、手厚い補助を行っている。東京は、現状、対象が中小企業組合やオンライン展示会への支援になっており、とても追い付いているとはいえない。
 
●大阪市、名古屋市の取り組みでわかるように、これらは都市圏でこそ必要な施策である。東京はこれでよいのか?五輪の影響で特に厳しい影響をうける東京のイベント産業には、本来他都市よりも充実した支援を行うべきである。
 
●いずれ来る、回復期にむけてこれらの施策を用意できるよう引き続き求めて、次の質問に移る。